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テクノロジートレンドを捉え、未来を見通す4パターン - 概要編:
未来を構造化するフレームワーク"TREnd Model" -

TREnd Model

一見、予測不能なテクノロジートレンドの未来は、
構造的に整理することで見通せる

すべての領域でソフトウェア化が進み、顧客、ステークホルダーの価値観も「サステナビリティ」を重視する方向に変容し、競争環境が加速度的に変化し続けている。そして、ソフトウェアを通じて顧客価値を探索し、絶え間なくアップデートし続けるスピードの速さが企業の勝敗を決めている。

我々はそのような外部環境に適応し、「顧客起点で、変化にスピーディに対応する経営」をアジャイル経営と定義した。

競争環境の加速度的な変化。その大きな要因が、AIやノーコード、エッジコンピューティング、次世代電池など、飛躍的な進歩を遂げる先端技術だ。これらが次々と登場し、分野横断的にモノ・サービス・データを繋いで新しい価値を創り出すことによって新たな産業を生み出し、または既存産業に大きな影響を与えている。

先端技術が巻き起こす潮流は「テクノロジートレンド」と称され、今や競争環境の変化の最大の要因とも見なされている。アジャイル経営を実践する中で、競争環境の変化を予測することは不可欠であり、それは、「次のトレンドは何か?」、「このトレンドが既存産業に影響を与える時間軸はどの程度か?」、「このトレンドが普及期に入るには何が課題か?」というようなリサーチテーマに帰着する。

これらのリサーチテーマは、トレンドの現在と進化の方向性がわかり、その普及期までの推移の動態を捉えることができれば解決する。

今回、我々はテクノロジートレンドの「フェーズ」と「3つの課題」を定義し、その解決手段となる「TREnd Model(トレンド・モデル)」を提案する。それにより、トレンドの未来と現在の位置がわかるだけでなく、その進化を4パターンに分けることができるようになる。つまり、トレンドの未来は見通せる。

たとえば、トレンド「MaaS」の進化の動きと現在の状態を描くと、次の図のようになる。「MaaS」は電車、タクシー、バスなどの多様な交通手段を適切に組み合わせ、予約から決済までを一括で可能にする複合サービスだ。

本トレンドの動きは、基礎的な技術が確立した後、政策がさらなる技術進展や顧客への普及を後押しする「政策推進型」のパターンである。

「MaaS」が初期普及に向けて現在直面しているのは、規制・政策課題だ。「MaaS」が普及するにはリアルタイムの道路情報、車の位置情報といった移動・交通に関する大規模なデータの収集・オープン化・統合が必要だ。そのためには、政策支援が期待される。なぜなら、特に公共交通機関の運営主体は自治体が多く、交通インフラの情報も自治体・政府が保有しているからだ。これらの情報を利用しやすく、統合などをすることによって、「MaaS」でシームレスに交通手段を提供できるようになる。

規制・政策課題に目途が付くと、次は顧客課題の解消に専念することになる。この時のポイントの1つは「より多くの交通手段の情報を取得できるか」という利便性だ。そのため従来の交通情報などに加えて、将来「MaaS」に関わるであろうモビリティトレンドの発展状況も把握する必要がある。たとえば、「配車サービス」、「自動運転(特に自動運転タクシー)」、「空飛ぶクルマ」などだ。実は、これらのモビリティトレンドは「MaaS」とは異なる「規制遅行型」の進化パターンを持つ。

「配車サービス」などは同じ進化のパターンを持つものの、各トレンドが直面している課題は異なり、フェーズを進む速さにも違いがある。それでも、同様のプロセスを経て市場へ普及するため、先行するトレンドから、後続のトレンドで起こる課題の見通しを立てやすくなる。

また、このモデルで整理すると「MaaS」が連携を強化する最初の候補となり得るのは、既に初期普及が始まっている「配車サービス」だとわかる。そして、後続のトレンドがどの段階になったら連携をしていくかなど、見通しを立てることができるのだ。

ちなみにモビリティトレンドは現在9つあると考えるが、実は全て「MaaS」か「配車サービス」のいずれかと同じ進化のパターンをたどる。

このように一見バラバラに見えるトレンドの進化のパターンを一定数にまでに集約できれば、複数トレンドの普及度合いや課題の違いを把握できるようになり、経営の見通しをつけやすくなるはずだ。

我々はこの発見をSPEEDAオリジナルのフレームワーク「TREnd Model(トレンド・モデル)」としてまとめた。

トレンドの時間経過に伴う普及の「フェーズ」を定義し、対応する「課題」を識別することで、個別トレンドの進化する方向性と現在の位置を捉えることができるようになる。さらに、定義した二軸で各トレンドを整理していくと「規制遅行型」のような一定のパターンに集約され、複数トレンドの関係を把握できるようになり、経営の見通しをつけやすくなるのだ。

本稿では、多数あるトレンドの中でもとくに存在感が高いテクノロジートレンド(以下、トレンド)にフォーカスし、その未来の見通し方を解説する。

第二回「テクノロジートレンドを捉え、未来を見通す4パターン」

第二回「テクノロジートレンドを捉え、未来を見通す4パターン」

目次:

  • トレンドを見通す鍵は「フェーズ」と付随する「課題」の識別
  • トレンドの「フェーズ」を定義する。ポイントは出口が2つ
  • トレンドの「課題」は、「技術(T)」・「規制(R)」・「顧客(E)」の3つ
  • 「課題」がトレンドに大きく影響するタイミングは「フェーズ」によって異なる
  • トレンド進化の4パターンを示すTREnd Model
  • トレンドの未来と現在を掴む、2ステップ

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