惣菜から考える食の外部化と多様化2017.06.23

惣菜から考える食の外部化と多様化2017.06.23

量り売り方式による惣菜を中心に、消費者の選択肢の多様化と中食市場の動向を取り上げる。

Yasuko Tashiro

惣菜から考える食の外部化と多様化

増加する惣菜市場

日本惣菜協会によると、2014年の内食、中食、外食の食市場の市場規模は68兆4,514億円となった。そのうち、中食は9兆2,605億円と食市場全体に占める割合は約14%だが、10年前の2005年と比較すると、内食、外食が微減しているのに対し、中食は22.2%の増加となっている。
同協会では惣菜が増加している要因として高齢化や単身世帯の増加、女性の社会進出を挙げている。

ファミリー層が減少し単身者・高齢者世帯が増加

そこで、まず世帯数の推移を見てみると、単独世帯、高齢者世帯の増加が顕著である。
日本の総世帯数は2015年で約5,000万世帯で、単独世帯、高齢者世帯はそれぞれ総世帯の約1/4を占める。直近大きな動きはないものの、1986年は単独世帯が総世帯の18%、高齢者世帯が6%であったことから、両世帯、特に高齢者世帯が大きく増加したことがわかる。

共働き世帯が専業主婦世帯の1.6倍に

次に就労状況別の世帯数を見てみると、夫のみが就業している専業主婦世帯は減少しており、夫婦ともに就業している共働き世帯数は一貫して増加傾向にある。
1980年は専業主婦世帯が共働き世帯の約1.8倍であったが、それぞれの世帯数は1992年に初めて逆転し、1997年からは完全に共働き世帯数が専業主婦世帯を上回り、2015年は専業主婦世帯687万世帯、共働き世帯1,114万世帯となっている。
量り売り式惣菜メーカーの代表としては、ロック・フィールドと現在はイオンの子会社となったオリジン東秀、柿安本店などが挙げられる。以下それぞれの概況に触れる。

業態拡大が進むロック・フィールド

ロック・フィールドは神戸を拠点としており、「神戸コロッケ」やサラダを中心とした「RF1」を百貨店や駅ビルに展開している。同社の売上高、店舗数を見てみると、売上の7割を占める主力事業のRF1はどちらも近年減少傾向にあるが、全体としては増加している。これはRF1から、いとはんなど各ブランドの商品を幅広く揃えたグリーン・グルメへの業態変換を図っているためである。
なお、同社の2015年度の売上高は499億円と過去最高であり、営業利益は過去最高の2011年度をわずかに下回ったが、ほぼ同水準の25.5億円となっている。

イオングループとして拡大を図るオリジン東秀

オリジン東秀は、1994年から単価を揃えた惣菜の量り売りと弁当の併売をするオリジン弁当を開店、首都圏と大阪市内を中心に直営の路面店を展開する。2006年にはイオンの子会社となり、全国のイオンおよびダイエーの食品売り場にて同社の量り売り惣菜やサラダ、おにぎりを導入している。
売上高は2007年度の508億円から減少し、450億円前後を推移しているが、不採算店舗の整理によるものも大きく、営業利益は回復している。
今後は働く女性をターゲットにした「キッチンオリジン」への業態変換を進めるとともに、現在の店舗展開の基本である駅前立地だけではなく、住宅立地、ロードサイド立地での開店も視野に入れている。

柿安は百貨店外にも進出

柿安本店は三重に拠点を置き、牛鍋店から創業したのち、惣菜のほかには精肉や和菓子も展開している。同社の事業セグメントをみると、精肉事業が37%と主力で、惣菜事業は27%、その他和菓子16%、レストラン11%などとなっている。
同社の惣菜事業は多少の増減があるが、ほぼ120億円前後で推移しているものの、2013年度以降は微減となっている。なお、同社の出店は百貨店が中心であったが、2016年には新宿のエキナカに初めて出店した。今後はエキナカ、エキソトといった駅ビルへの出店を計画している。

中食の購入は専門店とコンビニ、スーパーが拮抗

こうした専門店も比較的堅調に推移しているが、近年は他の業態も惣菜分野に注力しており、選択肢は広がっている。
日本惣菜協会によると、専門店が全体の31%と最も多く利用されているが、コンビニエンスストアの割合は年々上昇、2014年にはほぼ同程度の30%となった。
また食品スーパーは25%、総合スーパーと合計すると上記2つのチャネルと拮抗する。

食品スーパーでも惣菜販売高は年々増加

新日本スーパーマーケット協会によると、協会会員の食品スーパーにおける惣菜販売高は年々増加しており、販売高全体に占める割合も徐々に上がっている。
惣菜販売高の伸びは全体の伸びより高く、2016年は全体が対前年比2.6%増となったのに対し、惣菜は5.0%増となった。同協会によると、食品スーパーの目標とする利益率は惣菜が最も高く、2016年調査では37.9%との結果が出ており、食品スーパーでも総菜への注力が続くと思われる。
主要各社の動向をみると、1990年代から展開していた専門店に対し、2000年後半になってコンビニエンスストアやスーパーがプライベートブランド(PB)を惣菜分野に投入した。イオンによるオリジン東秀子会社化と商品供給なども、大きくはこの流れで捉えることができる。
例えば、ミニストップは量り売りの総菜を販売する「ホームデリ」の併設店舗を増やしている。価格は100グラム当たり170円(税抜価格)。独自商品のほか、同じイオングループで総菜の製造販売を手がけるオリジン東秀からも、商品の供給を受けている。
価格帯でみると、コンビニエンスストアはロック・フィールドや柿安に比べて低価格帯に位置する。日常使いが可能な価格と身近にある手軽さでボリュームゾーンを獲得したと考えられる。
 

米飯類が半分以上、一般惣菜は約3割

では、どんな惣菜が購入されているかカテゴリーごとにみてみると、トップはおにぎり、寿司、弁当などの米飯類の53%、次が一般惣菜で32%である。その他、2012年度から調査対象となった袋物惣菜が5%となっている。
袋物惣菜とは、容器包装後低温殺菌され、冷蔵で1か月程度日持ちする調理済包装食品と同協会の調査では定義されており、ポテトサラダ等のサラダ、肉じゃが、鯖の味噌煮などを指している。

袋物総菜を含むPBも堅調に拡大

なお、惣菜そのものではないが、惣菜に近く、便利で身近な食品として、袋物惣菜を含むプライベートブランドも確認しておきたい。
セブン&アイ・ホールディングスが展開するプライベートブランド、セブンプレミアムは2005年7月より販売を開始し、2016年02期では1兆円を突破している。同社は近年の家庭内で調理の手間を省く食の簡便化、外部化を踏まえ、チルド弁当や惣菜などの強化を図っている。

各業態とも次の一手を模索

消費者は基本的に一定の食費、交際費の中で、内食、中食、外食を選ぶことから、食関連は中食に限らず、業態を超え、競争が激化している。今後各社はその戦略を問われることになるだろう。
前述のミニストップのほか、ローソンは店内調理「まちかど厨房」の実施店舗を拡大、ファミリーマートは店舗の近くの小型工場で最終仕上げをする「きちんとキッチン」の実施など、量り売りではないが高付加価値化を図る。
また、ロック・フィールドでは、量り売り総菜以外のパック商品やパウチ商品を展開しており、利便性向上や利用機会拡大を図る。その他、新カテゴリー商品として、朝食用やシニア、子ども向けも計画している。
商品自体のおいしさや安全、手軽さ、リーズナブルな価格設定に加え、食育や廃棄のような社会問題への取り組みも、消費者への訴求要素の一つとなりうる。
従来の量り売りは人件費がかかるものの、単身世帯や高齢者にきめ細かく対応することができ、廃棄削減の観点も利点となる。その点で、比較的高単価な業態とはいえ、まだ拡大する可能性はある。
一消費者としても、選択肢が増え、より一層の食の充実化につながることを期待している。