【2017年最新版】国内ベンチャーのEXIT動向をみる2017.09.10

【2017年最新版】国内ベンチャーのEXIT動向をみる2017.09.10

2017年8月2日にKDDIがソラコムを約200億円で買収したと大きなニュースがあった。米国と比較して日本ではベンチャー企業のM&AでのEXITが少ない、という話はよく知られているが、その状況は変わりつつあるのだろうか。今回はentrepediaのデータを利用して、国内ベンチャー企業のEXIT動向をみる。

Atsuko Mori

【2017年最新版】国内ベンチャーのEXIT動向をみる

 

2016年は総調達額2,120億円で過去最大

まず、国内ベンチャー企業の資金調達動向をみて、規模を確認する。リーマンショック後、社数・金額ともに伸び悩む時期が続いた。2016年、社数は減少し金額が上昇していることから、1件あたりの金額が拡大している。総調達額は過去最大であった。

国内EXITはIPO数が多い

続いて、国内ベンチャーEXIT動向をみる。全体では買収、子会社化、主要株式取得または事業譲渡数が多い。そのうちの約半数がKDDIの事例のような上場企業による子会社化案件であった。IPOよりM&Aの方が件数ベースでやや多いという状況は過去3年に渡り継続している。
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米国ベンチャーEXITはM&Aが大半

ベンチャー投資規模が世界最大である米国の動向をみると、日本とは大きく異なり、EXITはM&Aが大半である。逆の言い方をすれば、日本ではIPOによるEXITの割合が大きい。また、EXIT件数は減少傾向である。

国内EXIT準備期間は買収のほうが早い

また、国内ベンチャーEXITにおいて、設立からEXITまでの平均年数をみる。買収・子会社化・主要株式取得または事業譲渡は、平均年数は8年(中央値6年)であった。IPOでは平均年数は16年(中央値13年)であった 。したがって、買収・子会社化・主要株式取得または事業譲渡のEXIT準備が平均的には早い。
上場企業の子会社化
2014~2016年の間における、上場企業の子会社化案件のうち、最高額はミクシィのフンザ子会社化で115億円であった(ただし、明確に金額確認ができるものに限る)。先日のKDDIによるソラコム買収はそれを上回る大きな規模であるとわかる。

国内ベンチャーIPO時の時価総額

2014~2016年における国内ベンチャーIPO時の時価総額が最も高かったのは、CYBERDYNE(7779)の924億円。
同社は、筑波大学研究センターから発足している。そして、身体機能を改善・補助・拡張・再生することができる世界初のサイボーグ型ロボット「HAL」を開発。医療福祉機器および医療福祉システムのレンタル、リース販売及び保守サービス事業などを展開している。
IPO時の時価総額上位15社はいずれもマザーズ上場。バイオテクノロジー、インターネット広告関連企業が目立つ。

国内ベンチャーIPO企業の騰落率

では、IPO後のベンチャー企業は現在どうなっているのだろうか。初値と2017年7月31日現在の株価を比較してみる。
初値と2017年7月31日時点終値の騰落率が最も高かったのは、アパレルのTOKYO BASEであった。当社は高い成長力と、アパレルが冷え込む中で、日本ブランドに特化して販売する商品力と丁寧な接客が評価されていると考えられる。
反対に初値と2017年7月31日時点終値の騰落率が最も低かったのは、アマゾンフルーツ、アサイーを主商品とするフルッタフルッタである。当社は、上場後2カ月で業績を下方修正。直後にCFOが「一身上の都合」で辞任していることが影響を与えているとみられる。
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まとめ~M&A動向に注目

今回は国内ベンチャーのEXIT動向について、いくつかのファクトを示してきた。
・直近3年におけるEXITは、IPOよりM&Aの方が件数ベースでやや多い。
・米国と比較するとIPOでのEXITの割合が大きい。
・上場会社によるM&Aは、大きくても20億円前後が多かったが、フンザやソラコム買収など100億円を超えるものも出てきている。
・IPO時の時価総額が高かったところはバイオテクノロジー、インターネット広告関連企業が主。
・IPO後、現在株価との騰落率をみると、マイナスは最大でも75%であるが、プラスは858%とプラスの振れ幅が大きい。
米国とのIPOのEXIT割合の違いは、それぞれの国の上場要件の違いなども影響すると考えられる。
現在、日本では大手企業とベンチャー企業の連携が推進されている。これにより、今後、日本でもM&AのEXIT割合が増えていく可能性が大いにあると考える。
 
 
 
本レポートは、entrepediaのデータベースに収録された国内未公開ベンチャー企業のうち、2014年から2016年の間(資金調達額・社数のみ2007年から2016年)に増資およびEXIT情報を持つものが対象です。2017年7月31日時点の収録データを集計しており、今後新たな情報開示や追加の調査によって、集計値は2016年以前のデータも含めて変動いたします。
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