2017年上半期資金調達レポート(概要)2017.11.15

2017年上半期資金調達レポート(概要)2017.11.15

entrepediaの2006年から2017年6月30日までのデータを対象とし、特に2017年上半期(2017年1月1日~2017年6月30日)にフォーカスした国内未公開ベンチャー企業の資金調達動向を概観する。

Atsuko Mori

2017年上半期資金調達レポート(概要)

2017年上半期資金調達レポートは概要、投資家タイプ、クラスターの3つに分け、今回は概要を報告する。

2017年上半期の資金調達総額は前年同水準

2017年上半期の資金調達金額は、1,083億円(前年同期比▲2.1%)と2016年と同水準で推移している。
2017年上半期に資金調達を行った社数は、金額不明の企業を含めて531社であった。前年の4割程度の水準で推移しており、下半期のトレンドが大きく変わらなければ、前年対比で減少して着地する見込み。社数は2015年をピークにして減少してきている。

1社あたりの資金調達総額は拡大傾向がつづく

続いて、資金調達額の平均値と中央値を確認する。2017年上半期における、1社あたり資金調達金額の中央値は80百万円、平均値は247百万円であった。これは、前年同期と同程度の水準である。
中央値は2006年の46百万円から、2017年上半期の80百万円へと、およそ2倍に拡大している。したがって、各社の資金調達額が全体的に上昇していることがうかがえる。
また、社数の減少傾向も勘案すると、2017年上半期は、ベンチャー企業に対する投資の選択と集中が引き続きみられたと推察される。

中央値の上昇要因は設立1年以降の資金調達額の上昇

では、中央値を企業の年齢別に分解するとどうなるかをみてみる。各社の資金調達(増資ラウンド)があった時点の年と企業設立年の差を設立後経過年数と定義し、資金調達年別の中央値推移を確認する。
たとえば、2012年に設立した企業が2014年と2016年に1回ずつ増資を行っていた場合、2014年の増資ラウンドは設立2年、2016年の増資ラウンドは設立4年にカウントされる。
中央値の推移をみると、全体の中央値の傾向と同様に2013年以降、設立1年以上の中央値が上昇している。ベンチャー企業にとっては、過去よりも資金集めをしやすい環境になっていることがうかがえる。
しかしながら、「設立1年未満」の中央値に大きな変動はない。これは、設立時には相対的に大きな金額は必要ないからとも考えられるが、この時期のベンチャー企業の資金調達の難しさが反映されている結果ともみられるかもしれない。

2回目の資金調達が増える

同様に、企業の年齢別に資金調達の社数をみる。増資ラウンド時点で「設立1年未満」の社数が全体を通じて多い。これは、「会社設立」をカウント対象に含めていることも影響していると考えられるが、特に2012年は社数の割合がピークである。これは、第一次シードアクセラレータ(注1)の活躍によるものである。
資金調達額が増加に転じた2013年以降、増資ラウンド時の割合は、「1年以上3年未満」と「3年以上5年未満」が増えている。
2017年上半期は、「1年以上3年未満」の社数割合が27.0%(前年比+3.2%)と過去最高である。2014~2016年に設立した企業の2回目の資金調達が多い状況であったと考えられる。
この背景には、第二次シードアクセラレータ(注1)の支援も示唆されるだろう。

2017年上半期資金調達最大額は100億円

2017年上半期において、資金調達金額が判明したもののうち、合計10億円以上の資金調達を行った企業は21社あった。医療・バイオ系、Fintech、人工知能を扱う企業が比較的多い。また、設立から3年以内の企業も目立つ。
該当する21社の同期間における資金調達の件数を確認すると、3件以下が19社(うち1件が9社)であった。ここから、複数の資金の出し手からというより、特定の資金の出し手がリスクをとって支えている様子がうかがえる。
直近半期で最も多くの資金調達を行ったのは、武田薬品工業からカーブアウトした、スコヒアファーマの会社設立に伴う調達であった。ただし、本順位は金額が判明しているものが対象であるため、今後調査が進み金額が判明するなどの要因により、順位は変動する可能性がある。
なお、集計期間対象外ではあるが、2017年8月4日にトヨタ自動車が、Preferred Networksに105億円と大きな追加出資を行った。Preferred Networksは、IoTにフォーカスした深層学習技術の研究・開発・販売などを行っており、これまでにファナックやパナソニックなどからも出資を受けている。ここからも、ベンチャー企業の資金調達の上限が拡大していることがうかがえよう。
今回の調査で得られたその他の調査数値はentrepediaで公開している。2017年上半期資金調達レポート(投資家タイプ)、2017年上半期資金調達レポート(クラスター)は来週以降に報告する予定である。
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