最先端テクノロジー領域のスタートアップに投資 2
DG Daiwa Venturesのミッションをお教えください。
岩永様:幅広いインターネットビジネスを手掛けるデジタルガレージグループ独自のソーシングルートを生かし、有望な投資先を見つけることを主なミッションとしています。特にブロックチェーン、xR、AI、セキュリティ、バイオヘルスという5つの最先端領域について投資を行っています。昨今、ベンチャーキャピタルとはいえ資金面でのサポートだけではスタートアップに興味を持ってもらえません。スタートアップの持つ技術やプロダクトを通じてどのようなビジネスを展開できるか、どのように市場を切り拓いていけるかなど、投資先と共に事業をスケールさせようという想いや姿勢を共有することが重要です。目指しているのは、高い技術力を持つエンジニアが自由な発想でモノづくりに打ち込み、活躍できる社会をつくることです。次世代技術のスタートアップファンドとして、エンジニアやスタートアップの成長をビジネス面から支えていきたいと考えています。
お二人の主なご担当業務についてお教えください。
岩永様:デジタルガレージとDG Daiwa Venturesの両社に所属し、新規事業開発と投資業務を兼任しています。5つの最先端領域の中でも主にxRを担当し、今後伸びる可能性の高い要素技術や、製品化前のプロダクトを持つ将来有望なスタートアップについてリサーチから投資までを行っています。xR領域は、コロナ禍でバーチャルオフィスやバーチャルLIVEのニーズが高まり急成長中です。この機会に、より多くのスタートアップの可能性を引き出したいと思っています。
上田様:DG Labファンドのポートフォリオ管理、経営企画及びIR、スタートアップ投資、全社のバックオフィス業務も担当しています。ファンド全体のパフォーマンスを見ながら、個別の投資案件についても資金とビジネスの状況を常にウォッチしています。
先端技術と新しい領域を掛け合わせてビジネスを創出
DG Daiwa Venturesの投資領域は、最先端の技術分野です。この分野のスタートアップに投資する上で、どのような課題意識を持っていますか?
岩永様:ブロックチェーン、xR、AI、セキュリティ、バイオヘルスの領域は急成長中のマーケットですが、同時に、最先端のテクノロジーやプロダクトをビジネスとして成立させ、スケールさせることが非常に難しい分野です。すばらしい技術を持つスタートアップのビジネス的な価値を見極め、どうすれば成長するビジネスモデルやサービスとして昇華させることができるかを常に考えています。
上田様:そのようにイグジットプランを考える際、買収候補とそのバリュエーションをインターネットでリサーチしていたため、情報を集めるだけで膨大な手間と時間がかかっていました。特に「エイジテック」や「AI画像診断」など昨今登場した新しいキーワードについてリサーチすることが多いため、市場動向など専門的なデータにたどり着くまでいつも苦労していました。当社では、個々人に過去の経験に基づくリサーチノウハウがあるため、リサーチを外部に委託することなくすべて自分たちで行っています。例えば私の場合、監査法人でのスタートアップのIPO支援や会計監査、外資系コンサルティング会社での経験から、独自の切り口でリサーチをしています。現職以前から、SPEEDAでリサーチするのが当たり前となっており、手早く精度の高いリサーチ業務を行うためにSPEEDAが不可欠だと考えていました。
岩永様:当社のプリンシパルはそれぞれキャリアや得意領域が異なるため、情報収集の方法もスキルも人それぞれです。これからは各メンバーのリサーチ方法を社内で共有し、ファンド全体のリサーチ力を高める必要もあると考えています。
現在、SPEEDAをどのように利用していますか。
岩永様:担当するxR領域と親和性の高いビジネス領域をリサーチするために利用しています。業界レポートやトレンドレポートなどのページで、医療、教育、バイオヘルス、あるいは飲食、通信といった事業領域をキーワード検索し、レポートを閲覧して業界動向やプレイヤー調査をしています。最先端技術領域は様々な業界と組み合わせることで、新しいビジネスが広がる可能性を秘めています。他の領域と組み合わせるためのアイデアを考えることが多く、SPEEDAを活用して新しいビジネスアイデアの補強と、その裏付けを行っています。最近、チームメンバーも増え、担当領域も投資先の幅も広がっています。チーム内で投資候補先についてディスカッションするときも、各メンバーの担当領域について充分に理解を深めた上で議論しなければ、その投資先が最適か判断することはできません。その際、事前にSPEEDAでその領域についてインプットしてから臨むようにしています。国内の情報収集に使っているのはSPEEDAだけです。グループプロダクトのINITIALでは、個別の企業情報や投資ラウンド情報をチェックしています。
上田様:デューデリジェンスにSPEEDAを活用することが多いです。使い方は主に2パターンです。1つ目は市場・競合リサーチで、デューデリジェンス中のスタートアップについて、その企業が属する業界の市場環境や業界情報をリサーチするために使っています。競合リサーチは、上場済みの同業企業や、国内外の競合相手、その財務分析にも活用しています。2つ目は、イグジットプランを精緻化するための活用です。M&Aをする際の買収候補のスクリーニングや、マルチプル法で企業価値を算出するときの情報収集にも利用しています。日本やアメリカを主戦場とする企業のデューデリジェンスを担当しているため、国別の最新マーケット情報を知ることができるのも、非常に助かっています。同じチーム内には東南アジア企業を担当しているメンバーもいるため、国別情報を駆使し情報収集を行っています。昨今注目しているのはAIとバイオヘルスの業界です。中でも、高齢化社会に向けたエイジテックの領域は成長中で、画像診断などの医療系AIの領域も伸びています。一見調べるのに手間がかかってしまいそうな「エイジテック」「AI画像診断」などの専門的なキーワードも、業界ごとに整理されたサマリーをすぐに閲覧できるため、効率よく業界動向を知ることができると感じています。細かいジャンルも網羅しているのは、SPEEDAのアナリストの底力だと感じます。
投資先のバリューアップやテクノロジーの吟味に時間をかけられるように
導入後、どのような変化がありましたか?
岩永様:情報収集にかかる時間を大幅に短縮でき、収集した情報をもとにソーシング先へのアプローチ方法や、バリューアップのための戦略を考える時間が取れるようになりました。投資候補先のプロダクトやサービスに実際に触れ、技術力の高さや競合優位性を評価する時間を確保できるようにもなりました。人はどうしても思い入れのある企業や技術に対して、主観に基づいた情報収集をしてしまいがちです。しかしSPEEDAの幅広い情報力によって、客観的かつフラットな情報収集ができるようになり、投資候補先を冷静に選定できるようになったと実感しています。
上田様:リサーチ時間を短縮できた結果、投資のフロント業務に携わるメンバーは、ソーシングやデューデリジェンスにかける時間を大幅に増やすことができました。長年SPEEDAを利用してスムーズにリサーチ業務を進めてきたので、SPEEDA以外のリサーチ手段を思いつかないほどです。
投資先をスケールさせ、時代の変化を乗リこなす
今後の展望について教えてください。
岩永様:様々な企業が生み出した要素技術や、プロダクトになる手前の製品などに触れながら、協賛企業と連携してどんどん新しいビジネスをつくっていきたいと考えています。投資ファンドとしては、これからも投資先のプロダクトや事業のバリューアップに貢献するサポートと資金提供を行いたいと考えています。いま、世の中は大きな変化のうねりのただ中にあります。いま通用していた技術も、数カ月後には遅れた技術になりかねません。時代の変化スピードに合わせて、アジリティの高い事業開発を行っていきたいと考えています。
上田様:現在当社では「DG Lab2号ファンド」をファンドレイズを終えたところで、再びソーシング、バリューアップのフェーズへとギアチェンジしていきます。これまで以上にSPEEDAを活用し、より精度の高いソーシングを行いたいと考えています。当社とLP、そしてスタートアップの3社間の力強い連携体制を築いていくことを目指しています。
2020.7 インタビュー
株式会社 DG Daiwa Ventures
dg-daiwa-v.com/特色
デジタルガレージと大和証券グループが合弁で設立した、スタートアップへ投資・インキュベーションを行うベンチャーキャピタルです。ブロックチェーン、xR、AI、セキュリティ、バイオヘルスという5つの技術分野へ投資するDG Labファンドを運営しています。
業種
金融(銀行・証券・投資)
部署・職種
投資・融資
企業規模
100人未満
主な利用シーン
投融資前リサーチ
-
株式会社 DG Daiwa Ventures
シニアマネージャー
岩永 龍法 様
-
株式会社 DG Daiwa Ventures
プリンシパル
上田 真大 様