事業づくりの「見えない壁」を突破する Part2 事業機会が「どこにあるかわからない」を突破する
事業づくりでは、誰もがさまざまな壁に直面します。前回の記事では、その原因となる6つの「わからない」を2種類の「見えない壁」に分けてご紹介しました。
ここからは、よくある2種類の「見えない壁」をそれぞれ突破するために、以下のような想定シーンをご用意し、実際に行ったリサーチの過程を解説を交えながらご紹介していきます。
Part1:事業づくりを前に進める!6つの「わからない」を解剖する
Part2:事業機会が「どこにあるかわからない」を突破する ← 本編はここ
Part3:専門家の知見を用いた新規事業の機会探索
Part4:専門家の声を意思決定に活かす方法
Part5:計画策定のためのターゲット市場の市場規模推計
【置かれている状況】
今年4月から中計のコアである新規事業創出を任された若手の中川。
長年、リサイクルにおける流通の効率化に従事してきたが、外部環境変化のなかで事業成長を図るには、非連続な成長を生み出すことは必至。
役員からは、「昨今注目されているケミカルリサイクル、素材のサーキュラーエコノミーのバリューチェーン全体から新たな事業を考えよ」と言われたものの・・・
どこに事業機会があり、その中でもどこにインパクトがあるかまったくわからない状況。
果たして、中川は会社の命運を握る新規事業を生み出すことはできるのか。
【実際に調査する2つのケース】
CASE1:新規事業の機会探索 (素材・化学業界を想定) ←今回はこちらを解説します。
CASE2:計画策定のためのターゲット市場の市場規模推定
CASE1:事業機会が「どこにあるかわからない」を突破する
「事業機会がどこにあるかわからない」という状況は、「どこに焦点を当てれば機会が見つかるかわからない」という見えない壁が原因です。
土地勘のない新たな領域を調べ、事業を作っていくためには、以下のフローを順を追って進めていくしかありません。当然、「わからない」の連続になりますが、0から一つひとつ突破していく方法を説明していきます。
業界領域の概観を理解する
事業を考えるには、お題である「ケミカルリサイクル・素材のサーキュラーエコノミー」の業界概観を知らなければなりません。そこで、まずはSPEEDAを使って、大きなトレンドの一つである「バイオプラスチック」の関連業界についてリサーチします。
【SPEEDAとは】
最新のビジネストレンド概要の把握や国別の業界調査、資料作成や国内外の営業先・協業・投資先企業のスクリーニング等のシーンにおいて、効率的にビジネス情報を取得いただけるプラットフォームです。
実際に活用する機能は「レポート閲覧」「ニュース調査」「エキスパートリサーチ」です。もちろんSPEEDAを利用することで最速かつ質の高い調査が可能ですが、使わない場合でもこの調査フローは有効です。
STEP1:レポートで掴む、バイオプラスチック市場とは
まずはバイオプラスチック業界を俯瞰的に知るために、「どんな市場なのか」「着目すべきポイントは何か」からリサーチしていきます。
主な手段は業界レポートの読み解きです。
SPEEDAでは、信頼できる業界レポートを独自で読みやすくまとめています。そのため、初期仮説構築のマーケット全体像は、このレポートで大方の読み取りが可能です。
今回のようにテーマとなるトレンドが広範囲に及ぶ場合、特にチェックすべき点は以下です。
- テーマの前提知識(概要、背景やカテゴリなど)
- バリューチェーン全体像の把握
- 市場規模とその内訳
これらを見ることで、バイオプラスチックがどのような拡がりを持っており、その中でどの分野が、どのくらいの規模で、どのように動いているかを大まかに把握することができます。
STEP2:ニュースから読み解くバイオプラスチック市場
市場の規模を掴めたら、次は同市場の先進事例や競合の動きについて把握します。ここでは、なるべく専門性と信頼性の高い情報源として報道・ニュースなどを収集することが有効です。
SPEEDAでは、信頼できる業界専門誌の内容を素早く網羅的にチェックできます。そのため、先進事例・実際の状況・競合の動向などに関する情報を短時間で整理することが可能です。(信頼のおける業界レポートなどを複数読むことでも代替できます。)
STEP3:企業情報で見るバイオプラスチック市場
ここまで調べたら、営業先や販売先企業として考えられそうな企業や、代表的な企業の戦略や課題を知ることで、一般的にはどのようなニーズが存在するのかの目処を立てます。
これまでに集めた情報から、企業をピックアップし、ウェブサイトやホワイトペーパーなどにアクセスすることで探すこともできますが、SPEEDAを使えば「プラスチック」に関連するお題を経営課題に掲げる企業などの抽出も容易になります。また、営業先の確認といった使い方にも有効です。
SPEEDAによるリサーチでわかったことのまとめ
さて、ここまでのSTEPでわかったことをまとめると、以下の図に落とし込むことができます。バリューチェーンや、それぞれのおおよその規模を把握することができました。
しかし、事業を考えるにはさらに踏み込んで“現在進行形”で開拓機会のある市場や、喫緊の課題を知る必要があります。
パート3では、現役で活躍する業界エキスパートの知見を獲得し、事業の可能性を見出す方法を実践解説していきます。