多様な事業を展開するグローバル企業の技術戦略部門における活用

「ソニーの進化を、情報活用で加速させる
技術戦略支援プラットフォームです」

ソニー株式会社

世界中の国と地域で多様な事業を展開するグローバル企業であるソニー。テレビやカメラなどのエレクトロニクス事業や、CMOSイメージセンサーを中核とするイメージング&センシング事業などテクノロジーを強みとしています。近年は、映画や音楽、ゲーム等のエンタテインメント事業および保険や銀行等の金融事業でも強い存在感を示しています。

ソニーにおける技術戦略を率いる住山様、國弘様、実際に技術戦略の策定・実行を担う大岸様、上田様に、SPEEDAの果たす役割を伺いました。

【サマリー】

  • 2019年、ソニーは企業としてのPurpose(存在意義)を新たに定義し、進化の一歩を踏み出した
  • ソニーの今後10年を決定づける、技術戦略を策定・提言
  • SPEEDAでデスクリサーチの時間を大幅削減、インフォグラフィックやビジュアルで、議論が活性化

 

Purposeに寄与するテクノロジー戦略を提言

ソニーの現在地について教えてください。

住山様:2018年に現会長兼社長兼CEOの吉田憲一郎が社長兼CEOに就任し、2019年1月以降ソニーは「クリエイティブエンタテインメントカンパニー」を標榜してきました。また、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というPurpose(存在意義)も掲げています。

これまでソニーといえば、テレビやカメラ、オーディオといったハードウェアに強いイメージがあったと思います。しかし近年ではグループ会社のパワーも生かしながら、金融事業に加え、映画、ゲーム、音楽などコンテンツ制作や配信事業の占める割合が高まってきました。米・ラスベガスで2019年に行われたCES(世界見本市)でも、吉田自らエンタテインメント事業の重要性を世界へ向けて発信し、大きな注目を集めています。

その中で私はコーポレートテクノロジー部門のトップとして、2020年4月からソニーの技術戦略を率いています。

全体の戦略を踏まえて、コーポレートテクノロジー戦略部門はどのようなミッションを担っていますか。

住山様:コーポレートテクノロジー戦略部門は、ソニー全体の技術の方向性を示す技術戦略部門として、2019年に立ち上げられました。
私たちの役割はソニーのPurposeに寄与し、中長期的な成長に貢献する技術戦略を提言し、社内の連携を通じてその戦略を実行に結び付けていくことです。例えば、サステナビリティ、センシング、AIなどの重点領域について、社内における技術面のプロフェッショナルと議論としながら、経営陣に対して技術戦略を提言します。

國弘様:私は2020年4月にこの部門に異動し、現在は技術主幹を務めています。私たちのミッションは、10年後のソニーとしてあるべき姿を実現するために必要な技術を精査することです。ソニーの未来図と社会の技術動向、社会情勢などすべてを俯瞰した上で、当社にとって本当に必要な技術は何かを見極め、アプローチしていきます。

現在、どのような方向性で技術戦略を定めているのですか。

住山様:世界的な技術トレンドをウォッチしながら、変化の兆しや新しい技術を逃さず捉えなければなりません。進化し続ける技術が、ソニーのビジネスはもちろん、顧客と産業、広くは社会にどのような影響を与えるのか、機会と脅威の両面から分析し、技術戦略策定に生かしています。

國弘様:この部門では会社全体の事業を俯瞰し、コーポレート全体で取るべき技術戦略を策定、経営に提言しています。ソニーグループ全体で使える技術を見出し、重点的に強化すれば、よりソニーの成長は加速するでしょう。

一方で、リソースが限られていますので、注力すべき技術領域を判断する必要があり、それには選択眼が必要です。そこで私たちコーポレートテクノロジー戦略部門は、ビジネス面、技術面から情報を駆使して戦略を策定します。

こうした技術戦略の策定を推進する上で、重要なパートナーとしてDistinguished Engineer(ディスティングイッシュド・エンジニア:以下DE)の存在があります。彼らは各技術領域のエキスパートとして認定された41名の精鋭で、技術面でのエバンジェリストとして、各種メディアで技術についての知見を述べたり、社内で要素技術の開発や部門のマネジメント、技術戦略のアドバイスなどを行ったりしています。ソニーの「技術の顔」として、カメラ、光学デバイス、半導体、UXなどあらゆる分野で、当社のさらなる技術力向上を目指して活動しています。

彼らの知見、経験、洞察などを生かしながら、私たちの部門にあるリサーチ体制を総動員して、これからの技術戦略について考え抜きます。

経営層から寄せられるリサーチにもクイックに応えたい

SPEEDAの導入を検討したのはなぜですか。

大岸様:私が率いるチームは、コーポレートテクノロジー戦略部門が立ち上がる前から社内の技術戦略や技術支援を行うグループとして10人弱のメンバーで発足しました。このチームは社内でもリサーチの件数が特に多く、経営ボードや様々な部署からリサーチの依頼を寄せられていました。

日々の業務では、医療や自動運転車など特定のテーマのワーキンググループを立ち上げ、リサーチと技術戦略の立案をしています。このとき技術面では、DEやDE候補など社内に多くのブレーンがいますが、事業領域やトレンドリサーチに関してはリソースが少ないため、なるべく効率よくリサーチしたいと考えていました。

そこで、コーポレートテクノロジー戦略部門が立ち上がるにあたり、より多くのリサーチニーズをカバーし、拡大する部署全体のデスクリサーチにかかる作業コストを削減して、技術戦略を練るという本質的な業務に使う時間をとりたいと考え、SPEEDAの導入を決めました。

上田様:私は、DEなどの技術の専門家や現場のエンジニアなど技術探索をしているメンバーとスモールチームを組み、設定したテーマについて戦略化を検討する業務を行っています。テーマ設定については、既存技術の応用や、事業領域の拡大を目的として設定されます。それに加えて、新型コロナウィルスやサステナビリティなど、時流に沿ったテーマについて検討することもあります。

すでにたくさんプレイヤーがいる領域にトレンドフォロワーとして入るのではなく、自分たちがトレンドセッターになるのが理想です。新たなトレンドセッターになれる領域を日々探索するのが、大きな仕事の一つです。

SPEEDAの導入前にも、デスクリサーチとヒアリングリサーチを行ったのですが、このデスクリサーチに時間的コスト、作業コストがかかっていたため、SPEEDAの活用に至りました。

SPEEDAをどのように活用していますか。

上田様:デスクリサーチの効率化と工数削減に活用しています。主に利用しているのは、企業情報で、中でも国内企業の有価証券報告書やファイナンシャルレポート、それに対応する事業領域を見るときに、頼りにしています。

私たちの部署では、5G、ロボティクス、画像診断AIなど様々なテーマでワーキンググループが発足しています。そのときまず行うのは、担当することになった技術・ビジネス領域をSPEEDAでキーワード検索することです。すると、非常にニッチな分野でもトレンドレポートが素早く見つかり、それをダウンロードするだけで資料ができあがってしまいます。これはリサーチ業務を行う上で、非常に強力な武器となっています。

SPEEDAを見ていると、この1年でトレンドレポートの内容が急速に進化して、フィンテック、フードテック、5G特集など、技術領域別にわかりやすくまとまったレポートが充実してきた印象があります。

特許動向のオプション機能も非常に充実していると感じています。特許の分野にもリサーチツールはありますが、検索キーワードの設定が煩雑で、目的とする情報にたどりつくまで時間と手間がかかっていました。

独自のアルゴリズムで事業と特許を掛け合わせ、事業領域ごとに技術分類して必要な情報を素早く提供してくれるのはSPEEDAだけです。技術別にカテゴライズされた特許から、応用可能な事業領域が一覧でわかる点は特に優れています。

イメージセンサーなど重点戦略技術の、業界内における特許出願数ランキングや、年度別出願数のヒートマップは非常に便利でした。

 ※SPEEDA『特許相関分析グラフ』より抜粋※特許第6747683号


他には、560に及ぶ業界分類も非常に有用です。ソニーの事業領域、技術領域はあまりに広く、情報は多種多様であるほどありがたいものです。ありとあらゆる情報が格納されていることこそ、多様な事業を有するソニーにとって大きなメリットです。

 

自動車センシングのリサーチにもSPEEDAを活用

CES2020などでも話題となった自動運転車向けの技術戦略にもSPEEDAによるリサーチは生かされましたか。

上田様:CES2020では、モビリティの進化への貢献をめざし、ソニーのテクノロジーを結集した新たな取り組み「VISION-S」とその試作車を発表し、非常に大きな反響をいただきました。そのリサーチには直接的にSPEEDAを利用してはいませんが、当社のイメージセンサーの応用領域として自動運転向けのセンシングは一つの重点戦略領域でした。

SPEEDAを活用して、自動車センシング領域のリーディングカンパニーをリサーチしたり、当社のイメージセンサーが自動車に搭載する上でどれほどの性能を発揮するかについて、技術者と一緒にサーベイワークを行いました。

SPEEDAの導入成果はいかがでしたか?

上田様:SPEEDAのグラフ化機能を使えば、注目している領域の競合企業や重要なプレイヤーの財務情報を、わずか数クリックで綺麗なフローチャートにしてくれます。有価証券報告書というカテゴリの中のR&D投資額という項目をグラフ化することも多々あります。ミーティングの前や、経営陣にすばやくレポートを提出する際、とても重宝しています。


※SPEEDA『棒・折れ線グラフ作成機能』より抜粋

これまではインターネットの画像検索でグラフを探すこともありましたが、情報の過不足が多かったため、結局自分で一からグラフをつくり直さねばならないことがほとんどでした。しかしSPEEDAなら、欲しいデータや必要な年数にチェックを入れれば瞬時にグラフ化されます。必要な情報が的確に掲載されているため、不要な作業をする必要もありません。

例えばあるリーディングカンパニーの10年分の売上高をグラフ化したいとき、それまでは数時間もかけて数値を入力してグラフを作成していました。しかしSPEEDAの導入後は20分程度でグラフが完成するようになりました。


わかりやすいビジュアライズで、クリエイティビティが高まる

こうした様々なグラフィックは、新しいアイデアの創出や活発な議論に繋がっていますか。

上田様: テキストのみの調査レポートでは、日々多忙なメンバーの目には留まりません。インフォグラフィックやバリューチェーンの分析が視認性の高いビジュアルでまとまっているため、複雑な内容についても直感的に理解でき、議論も深まりやすいのです。

SPEEDAから出力される業界のバリューチェーンなどを眺めながら、何を変革すればビジネスの可能性が広がるか、ビジネスをスケールさせるためのボトルネックは何かを議論していると、データ活用おけるデザインの力を実感します。

大岸様:SPEEDAのグラフィックは妄想力や想像力を掻き立て、議論の質を高めてくれると感じています。手間をかけずビジュアルを用意できるため、すべてのメンバーが共通認識を持った上で、議論を始められます。それまで考えていたアイデアがブラッシュアップされ、新しいアイデアが生まれることも増えました。SPEEDAで調査の効率化が実現した結果、クリエイティビティやオリジナリティを発揮するために時間を使えるようになりました。

今後、コーポレート戦略部門ではどのような展望を考えていますか。

住山様:これから先も社会と技術の変化を的確にとらえ続け、ダイナミックな経営判断に寄与するため、技術戦略の策定にSPEEDAを活用していきたいと考えています。

國弘様:10年後のソニーを技術から予測するというこの部門の役割を果たすために最も必要なのは、情報の力です。SPEEDAという武器を使ってあらゆる情報を集め、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というPurposeを成し遂げるべく日々邁進していくつもりです。

 

 

2020.8 インタビュー

www.sony.co.jp/

特色

世界中の国と地域で多様な事業を展開するグローバル企業です。テレビやカメラなどのエレクトロニクス事業や、CMOSイメージセンサーを中核とするイメージング&センシング事業などテクノロジーを強みとし、映画や音楽、ゲーム等のエンタテインメント事業および保険や銀行等の金融事業でも強い存在感を示しています。

業種

その他, システム開発・SIer・ソフトウェア開発, 情報通信・IT, 消費者サービス, 製造・メーカー, 金融(銀行・証券・投資)

部署・職種

新規事業開発, 研究開発

企業規模

5000人以上

主な利用シーン

事業戦略・全社戦略の策定, その他

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