SPEEDA EXPERT RESEARCH

エキスパート100人が創出する500以上のアイデアをもとに、新規事業の高速化を実現

  • Expert Idea 500
社名 株式会社電通
https://dentsu-bds.com/
特色 「Integrated Communication Design」を事業領域としたコミュニケーション関連の統合的ソリューションの提供、経営・事業コンサルティングなど
業種 広告・マーケティングサービス、及びコンテンツ・ビジネス
企業規模 6,000名超
主な利用シーン エキスパート・ネットワークを活用したアイデア創出・意思決定支援(Expert Idea 500)のソリューションを開発
インタビュイー
坂巻 様

電通ビジネスデザインスクエア
変革デザイン第1グループ

坂巻 様

主なミッション
顧客の組織課題解決や事業開発などをクリエイティブな視点から推進

  • Expert Idea 500

Summary

サービス共創の背景
電通のクライアント企業における新規事業検討のスピードアップを図るため、意思決定を支援する方法を模索していた。有識者100人の集合知でクライアントの意思決定を支援するサービス「Expert Idea 500」を構想。そのサービスの鍵となる「専門家ポートフォリオ」作成において、SPEEDA EXPERT RESEARCHのエキスパートネットワークを組み込むことが有識者の質・量共に最適だと考え、ミーミルとの共創に至った。
抱えていた課題
  • クライアント企業の新規事業をサポートする際に、事業案が具体的になるほど、検討するべき要素が多くなり、意思決定に時間がかかっていた。
  • これまでも有識者にアドバイスを請うことはしていたが、個別に聞いていると時間がかかり非効率的であった。場合によっては検討要素が増え、より意思決定が難しくなることもあった。
  • クライアントが不安なく、具体施策を意思決定できる手法が必要だった。
活用サービス
  • SPEEDA EXPERT RESEARCHのエキスパート・ネットワーク(新規事業検討のアイデア収集及びエキスパートによるアイデア評価を支援)
アサインエキスパート
  • 案件、テーマによって最適な複数カテゴリから100名以上のエキスパートをアサイン。例えば、ヘルスケア系のデバイス開発をしている方、医大や工学系大学でヘルスケアの研究をしている方、ヘルスケアのスタートアップの創業者、プロダクトデザイナーなど。
導入効果
  • テーマに応じて選出された多様な業界100人以上のエキスパートから500以上のアイデア収集を実現。
  • 500以上のエキスパートのアイデアがあること、さらにそのアイデア評価もエキスパートたちによって行われるので、アイデアの網羅性と適切さがしっかり担保されているため、自社で出し合った新規事業アイデアの発展や成功が見えずに悩んでいた「Expert Idea 500」を活用するクライアント企業からの高い評価を得ることができた。

クライアントが納得して、スムーズに意思決定ができる状態をつくる

坂巻様の主な担当業務について教えてください。

私が所属する電通ビジネスデザインスクエアは「愛せる未来を、企業とつくる」をミッションに掲げ、電通内に2017年に設置された部署です。
あらゆる領域のスペシャリストが集まり、クリエイティビティの視点で顧客企業の組織課題の解決や新規事業の開発を支援しています。

私自身は長年、楽器メーカーで商品企画を担当していました。長く楽器の開発を続けているうちに、楽器以外の事業の開発に携わりたいと思い、4年前に電通ビジネスデザインスクエアに参画しました。

現在は、クライアントの新規事業や新規サービスの創出をサポートしながら、 2020年4月にリリース(※1)した新規事業の検討をサポートするサービス「Expert Idea 500(エキスパートアイデア500)」の運用を担当しています。

※1 「Expert Idea 500(エキスパートアイデア500)」リリース

「何をするのか」、具体策を検討しはじめるとプロジェクトが停滞する

新規事業創出を支援する上で感じた課題を教えてください。

クライアントの新規事業創出をサポートする際、ビジョン・ミッション・バリューや事業領域は比較的スムーズに決まります。企業が目指すべき姿や役割など複雑なことを抽象化したうえで言語化することは電通の得意領域ですし、これから伸びる産業や事業領域はある程度の検討がつくからです。

しかし、具体的なサービスや事業施策を決めようとすると、うまく進まなくなることが多いです。検討に時間が掛かるのは当たり前で、とても質の高いアイデアが出ても途中で頓挫することさえありました。そんな状況を打破する良い手はないかとずっと考えていました。

クライアントは既存事業のプロフェッショナルです。新規事業は既存事業とは違う事業領域を扱うことになりますので、クライアントにとっては知見のない未知の領域となります。

知見のない人達がアイディエーションを重ねても「これだ」と思えるアイデアを創出することは難しいですし、そもそも自信を持って最適なアイデアを選ぶことも困難です。 チャンスがあると思える事業領域について、それに詳しい専門家が網羅的にアイディエーションを行い、アイデアの優劣を決めることができれば、最適解の発見を助け、スムーズな意思決定に貢献できるのではないだろうかと考えました。

そこで、エキスパート・ネットワークを持つSPEEDA EXPERT RESEARCHを共創相手として選んでいただいたということでしょうか?

SPEEDA EXPERT RESEARCHが多様な分野のエキスパートネットワークを構築していることは知っていましたので、一緒にサービスを創ることができれば、クライアントのニーズに合った、より良いサービスができるのではないかと思いました。

「Expert Idea 500」は、 SPEEDA EXPERT RESEARCHと共創することで実現した専門家の集合知によるアイデア創出と意思決定支援の新しいアプローチです。

SPEEDA EXPERT RESEARCHのエキスパート100人の集合知が、
クライアントの新規事業を加速する

「Expert Idea 500」の具体的なサービス内容を教えてください。

「Expert Idea 500」は、主に5つのステップがあります。

まずは、検討している事業領域に関する専門家を100人以上、SPEEDA EXPERT RESEARCHのエキスパートデータベースから選出し、「専門家ポートフォリオ」を作成します。

ステップ2は、クライアントへのヒアリングをもとに、選出された専門家に投げかける「問いの設計」を行います。専門家の発想を引き出す質問の質と、返答しやすい聞き方の工夫がポイントになります。

ステップ3は「アイディエーションと評価」です。
VISITS Technologies社のアルゴリズムを使用して、100人以上の専門家から収集した500以上のアイデアを、専門家たちが相互評価を行い優劣をつけます。
ここまでにかかる期間は、最短で約1.5カ月です。

ステップ4では、「類似するアイデアをカテゴライズして、二次評価」を行います。ステップ3でアイデア全てにスコア(評価)を付けているので、分類されたカテゴリごとの平均スコアを求めることができます。そのスコアやアイデアの数を参考にして、領域を絞り込みます。

最終ステップでは、ステップ4のスコアを参考にブラッシュアップするカテゴリを選択。企業のアセットを考慮しながら、実現性と事業性を高めていきます。

「Expert Idea 500」を使うことで、新規事業の可能性に対してスコアリングができます。それによって検討を早めることが可能になります。

不確実性の高い新規事業に対して、具体的なアイデアを持って推進できる

「Expert Idea 500」を利用されたお客様の反応を教えてください。

まず、アイデアの網羅性に圧倒されますね。

500個以上のアイデアが並んでいる経験自体が殆どないですし、その全てが専門家が考えた質の高いものばかりであることは初めての経験です。
相互評価が終わった段階で、クライアントにアイデアの網羅性を確認してもらうのですが、その際には必ず「今まで考えたことがあるアイデアが抜け漏れなく集まっている」と言ってくださいます。 クライアントの満足度はかなり高いですね。

SPEEDA EXPERT RESEARCHは顧客満足に貢献しています。特定の領域について語ることができる専門家100人を集めることは簡単ではありません。毎回、クライアントと電通でディスカッションを重ねて必要な専門家のタイプはリストアップしますが、集めるのが難しいであろう、攻めの領域の専門家をお願いすることもあります。それでも、SPEEDA EXPERT RESEARCHのリサーチチームから、必ず適切な専門家のみが選出されるので驚きます。

どのような効果を実感していますか?

SPEEDA EXPERT RESEARCHが事業案を具体化することに有効なのは想定どおりですが、中期計画のためのプロダクト・ポートフォリオを作ることに使われたり、10年以上先の産業の未来を具体的に考察することに使われたりもしています。
不確実性の高いテーマに対して、専門家視点でのポテンシャルの高い方向性と具体的なアイデアがアウトプットできることから、未来を具体的に考えることが可能です。このニーズの効果も高いことを感じています。

ある程度大きなクライアントにおいては、アイデアに求められるのは面白さや新しさだけでなく、確信や納得性です。専門家による相互評価によって定量化されているため客観的に判断することができ、クライアント企業が社内への説明も論理的に行うことができる点も役立っています。

ニッチな領域のエキスパートからもアイデア収集ができるから、網羅性が高まる

「Expert Idea 500」における、SPEEDA EXPERT RESEARCHサービス全体の印象を教えてください。

「Expert Idea 500」のプロジェクトにおいて、SPEEDA EXPERT RESEARCHは多様な視点を得る、網羅するのにふさわしいピンポイントの方たちを選出してくれます。
SPEEDA EXPERT RESEARCHのビジネスプロデューサー中川さんをはじめ、リサーチチームの皆さんの丁寧な采配には本当に感謝しています。

例えば「ヘルスケア領域」を検討する際には、医者やコンサルタントに限らず、健康を維持するための食やスポーツ関連の専門家など、「ヘルスケア」のテーマから想起される多様な分野のエキスパートが100人以上揃っていることが「専門家ポートフォリオ」の要です。

ヘルスケアのスタートアップの創業者やプロダクトデザイナーなど、どんなにニッチな領域でも選出していただけるので、1万人以上のエキスパート人材を保有するSPEEDA EXPERT RESEARCHのデータベース層の厚さに驚いています。また、適した人材が見つからない場合も、その場でリクルーティングをはじめてくださいます。

弊社リサーチ西本のコメント

私たちリサーチチームは、質問設計からチームとして一緒に加わり、専門家への質問数の調整や対象者選定を行っております。
オペレーション面でも、期日までに100名以上の方から回答をいただけるようなスケジューリングや、エキスパートの方々への配信文面については特に力を入れて工夫を重ねています。
100人以上の専門家たちの経験をもとにしたアイデアを期限内に集めるのは決して容易なことではありませんが、皆が一丸となり対応しています。

より良い社会を実現するために時計の針を進めたい

今後の展望をお聞かせください。

「Expert Idea 500」の質問設計をさらにブラッシュアップして、専門家からより適した回答を収集できるようにしたいです。聞き方によって回答の質も変わってきますので、そこはSPEEDA EXPERT RESEARCHにも一緒に考えていただきたいところです。

個人的に電通で実現したいと思っているのは、「時計の針を早く進める」ことです。

良いプロダクトって遅かれ早かれ、どこかの会社から出てくるものだと思っています。そのスピードが早いほうが世の中はどんどん面白くなっていくし、それをリリースした企業は成長していくのだと思います。その時に大切なのは、意思決定のスピードです。「これは面白いと思うけど、いいのか、悪いのか、判断できない」と思っている時間が非常にもったいない。

そんな時に、特定の領域に知見があることで、他の人よりも少し先の未来を見ることができる有識者が役立ちます。新しいプロダクトが作る「より良い未来」を私達が生きる今に引き寄せることができるのではないかと思っています。
そのような思いで「Expert Idea 500」を開発しましたし、これからも新しいプロダクトを生み出していきたいですね。

弊社ビジネスプロデューサー中川のコメント

私どもミーミルは「経験知に価値を与える」という創業時から掲げるミッションのもと、多様な業界や先端領域の第一線でご活躍されているエキスパートの方々が持つ知見を社会に流通させることで、様々な企業における新規事業創出やイノベーションの数や確度を高めていきたいという想いを持っています。
この「Expert Idea 500」というソリューションは、これまでにない新しい新規事業創出のアプローチであり、その想いの実現に向けた大きな一歩であると感じています。
特に、クライアント企業のテーマに合わせて最適化された、質の高いエキスパート100名の頭脳を結集した1つの集合体と捉えるだけでも非常に強いナレッジパートナーであるという自負がありますし、これまで様々な質的/量的調査のアプローチを経験している私にとっては、それらの調査手法ではなし得ないアウトプットが生まれるものと考えています。
さらに、集まったアイデアと評価の回答データをもとに電通さんのプランニング・メソトロジーが加わることで質の高いアウトプットを実現し、事実ご活用いただいたクライアント様の満足度が高い状況を生み出すことができていて、手前味噌ではありますが、少しは「経験知に価値を与え」ることができたかなと思っていて、電通さんに感謝の想いでいっぱいです。
今後は、「Expert Idea 500」によってさらに一つでも多くのクライアント企業の課題解決に貢献したいと思いますし、エキスパートの方々の経験知を活用した新たなソリューションを共創していきたいと思います。

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