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#新規事業開発 お役立ち資料 2022/11/22更新

「FLASH Opinion」活用事例 2030年までに起こる「最も大きな変化」輸送機械業界編

2030年までに起こる「最も大きな変化」輸送機械業界編

今回は「2030年までに起こる最も大きな変化」をテーマに、各業界のエキスパートから回答を集めました。SPEEDA EXPERT RESEACHのサービス「FLASH Opinion」では、24時間以内に5名以上のエキスパートから回答が得られます。

ご自身でサービスを利用する場合には、今回のようにまず大きな問いを立ててみて、集まった回答から気になるテーマをFLASH Opinionでさらに深掘りする、または特定の回答者にインタビューを申し込むといった活用法もおすすめです。

FLASH Opinionとは、
SPEEDAから専門家の知見に
かんたんにアクセスできる新機能です。

アナリストが作成したトレンド・業界に関する公開コンテンツを閲覧できるほか、独自質問を投稿することで、24時間以内に5名以上のエキスパートから回答が得られます。

ご利用シーン(一例)

  • ・オープンソースでは得られない業界市場の深い情報・知見がほしい
  • ・戦略策定や参入検討において、市場の将来性を把握したい
  • ・事業や組織の立ち上げ、改善におけるノウハウや自社の打ち手に関するアドバイスがほしい

※独自質問の投稿には別途チケット購入のお申し込みが必要です。

調査概要

2030年までに起こる大きな変化を各業界のエキスパートに挙げてもらい、当該業界のキープレイヤー、技術構造、プロセス、仕組み、人材、考え方などにおける変化。変化が起こる可能性、内的要因・外的要因、変化が及ぼす影響などの見解を集めました。

質問内容

2030年までに起こる「もっとも大きな変化」はどのようなことだと考えていますか?

専門家・エキスパートからの回答

EVシフトによる負担増・失業者の増加

カーボンニュートラルをはじめとした環境政策強化によって起こる自動車価格の上昇および自動車関連企業の形態変化にともなう失業者の増加が2030年までに起こる大きな変化だと考える。

脱炭素社会に向けた取り組みの中、自動車産業ではCO2排出量の削減および電気自動車(以下、BEV)の投入が進められている。

それに伴い、化石燃料をエンジン内部で燃焼させるインターナル・コンバッション・エンジン(以下、ICE)搭載車両の販売も規制の対象となる。米・欧州・日本ともに2030年から2030年半ばをめどにICE搭載車両の販売を規制する。この規制の中には、ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も含まれており、欧米に比べてBEVの販売に遅れをとっていた日本の自動車メーカーにとって対策は急務である。

BEVの開発や生産にはICE車両と比較しコストが上昇、そのコストが価格に転嫁されることにより消費者の負担が増加、並びに自動車販売の低下を招く恐れがある。

ノルウェーでは2020年のBEVの販売比率が50%を超えている。BEVの優遇策を実施し、価格上昇を財政で吸収していることが高い普及率の理由の1つと考える。

また、現在のICE搭載車両をすべてBEVに変換することで、自動車の部品点数は激減(ICE車両の1/3や1/10と言われている)し、多くの自動車関連労働者が職を失う(自動車関連企業就労人口の1/3または30万が失業するとも言われている)恐れがある。

これに対し、自動車大国であるドイツはBEV技術のための労働者教育を国主導で行うことによって失業者を減らす対策を始めている。

日本においても成り行きでのカーボンニュートラルの取り組みやBEVへの移行だけではなく、世界各国の政策を考慮した取り組みを行わなければ、自動車価格の上昇や失業率の増加が発生し、ひいては経済の低下を招きかねない。

また、国には今後のエネルギー政策の戦略と合わせて、本当にBEVの推進が最もCO2の削減に寄与するか検討を進める必要があると考える。

エキスパート情報大手自動車メーカー 経営企画室

中国・韓国メーカーの台頭

2030年までに東南アジアにおいて自動車のEV化が進み、中国と韓国メーカーの存在感が増すと考える。

東南アジアは歴史的に日本メーカーが市場占有率の9割を占める牙城であり、これまで中国と韓国のメーカーの存在感は限定的であった。タイとインドネシアは、東南アジアにおけるEVハブを目指して積極的なEV政策を発表し、これに呼応するような形で中国メーカーや韓国メーカーが投資を進めている。

タイの投資委員会は、次世代自動車製造への恩典を発表し、中国メーカー数社が投資を行っている。中国が推し進める一帯一路構想を背景に、中国企業の東南アジアへの進出が進んでいる。

インドネシアでは、現代自動車とLGとが組み、バッテリーセル工場への投資を発表。来年1月には現地工場で内燃機関車の組み立てを開始する。現代自動車にとってインドネシア進出は悲願であり、東南アジア攻略の要となるであろう。

中国はタイ、韓国はインドネシアと東南アジアの大市場にそれぞれ戦略的な投資を行う構図は興味深い。このような顕在化した動きから、2030年までに東南アジアで中国や韓国メーカーが存在感を増す可能性が高い。また、台湾のFoxconn、タイ石油公社といった異業種からの参入により、充電インフラ、ものづくりの手法に変革をもたらす可能性もある。

車の買い方の変化は、COVIDで加速したオンライン活用がさらに進み、これから世代の中核を担うZ世代の価値観が行動変化をもたらすであろう。

EVやバッテリーの進化はもちろん起こるが、専門家ではないのでここでは触れない。

エキスパート情報大手自動車メーカー 事業戦略企画室

自動車の電動化へのシフト

化石燃料車では使われていなかったリチウムイオン電池サプライヤーなどが新たなキープレイヤーとして登場する。

中国市場を見れば明らかなように、電動モータは内燃機関と異なり構造がシンプルで部品点数も少ないので、各国政府の打ち出した方針と相まって多くの新規参入社が出てくることが想像されるが、10年後まで存続している会社は少ないと思われる。

その大きな原因が、①車両レベルの知識の欠如 ②自動車業界独特の品質保証制度だと考えられる。これらの知識なくして、既存の業界各社と対等に渡り合ってゆくのは至難の業で、最終的にはある程度資本力もあり、これらのノウハウを早急に獲得した数社が生き残れる会社であるように思える。

エキスパート情報大手モーター製造メーカー 品質保証職 マネージャー

大きな変化を引き起こすような潮流はやってこない

アップルカーが発売され、たとえ大きなインパクトはあったとしても2030年までに大きな変化を引き起こすような潮流はやってこないと思う。自動運転も今より格段に進歩を遂げるが、今の運転形態を変容させるほどの変化にまでは至らない。

EVシフトは確実に進行し、当該に伴うサプライチェーンの変化は加速していくだろうが、適度に吸収合併や変容を遂げながら、上手くまとまる方向に進んで大きな変化とまではならないであろう。

一方で、材料や製造キャパ起因のオールEV化の限界が見え、水素かサスティナブル燃料かそれ以外かは予測できないが、新たな軸が確立されて大きな潮流になって動き出すであろうことが「大きな変化」になると予測します。

エキスパート情報自動車メーカー 材料研究開発担当

自動車のモビリティサービス化

自動車業界では、CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)と言われる変化により、自動車という商品が、耐久消費財として購入されるのではなく、移動サービスをもたらす手段として、購入消費されるようになるであろう。空調音響完備の非常に快適な移動であるかもしれないし、何の付加価値もない単なる移動かもしれない。また、目的地までの短時間の移動かもしれないし、立ち寄り地の多い時間のかかる移動かもしれない。もちろん移動(運転)そのものを楽しむものかもしれないし、運転の不要な移動かもしれない。

今は自動車を購入することによって、移動のサービスの内容も固定されてる部分があるわけだが、この先は、その時その時のニーズに合った移動サービスを消費者が選べるようになるに違いない。

それはカーシェアリングやサブスクなどの普及によりもたらされる部分もあるだろうし、自動車の機能のオンディマンド化(Function On Demand)によってもたらされる部分もあるであろう。

エキスパート情報自動車メーカー経験者 輸入車インポーター経験者

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