SPEEDA EXPERT RESEARCH

#新規事業開発 お役立ち資料 2022/11/28更新

「FLASH Opinion」活用事例 SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みは?エネルギー業界編

SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みは?エネルギー業界編

今回は「SDGs(持続可能な開発目標)への取り組み」をテーマに、各業界のエキスパートから回答を集めました。SPEEDA EXPERT RESEACHのサービス「FLASH Opinion」では、24時間以内に5名以上のエキスパートから回答が得られます。

ご自身でサービスを利用する場合には、今回のようにまず大きな問いを立ててみて、集まった回答から気になるテーマをFLASH Opinionでさらに深掘りする、または特定の回答者にインタビューを申し込むといった活用法もおすすめです。

FLASH Opinionとは、
SPEEDAから専門家の知見に
かんたんにアクセスできる新機能です。

アナリストが作成したトレンド・業界に関する公開コンテンツを閲覧できるほか、独自質問を投稿することで、24時間以内に5名以上のエキスパートから回答が得られます。

ご利用シーン(一例)

  • ・オープンソースでは得られない業界市場の深い情報・知見がほしい
  • ・戦略策定や参入検討において、市場の将来性を把握したい
  • ・事業や組織の立ち上げ、改善におけるノウハウや自社の打ち手に関するアドバイスがほしい

※独自質問の投稿には別途チケット購入のお申し込みが必要です。

調査概要

SDGs(エスディージーズ)とは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」となります。これは2016年から2030年までの15年間で達成すべき目標として世界各国で採択されたもので、17の目標が掲げられています。

持続可能な社会を目指すSDGsへの取り組みは企業においても重要視され、各業界でさまざまな取り組みがおこなわれています。今回の調査では、実際の現場でどのような施策をおこない、どのような成果・課題があるのかをエキスパートに聞いてみました。

質問内容

世界的にサステナブルへの関心が高まり、企業の環境配慮が強く問われるようになっています。環境配慮のために、あなたが所属する業界や企業で取り組まれていることを教えてください。

専門家・エキスパートからの回答

データセンターの運営

京セラグループでは、北海道石狩市と共同で、ZED(ゼロエミッション・データセンター)の立ち上げを推進中です。

太陽光発電の先駆者である京セラのノウハウとソーラー発電所建設・保守などのエンジニアリングや再エネの予測制御AIの知見、データセンターの運用実績を組み合わせて、太陽光、風力、バイオマス発電を順次連携し発電することでデータセンターを運営します。

また、石狩市という地域の気候特性を活かし、夏場は冬に貯めた雪でサーバを冷却する雪氷冷房を備え節電する予定です。

このように100%再エネで運営するゼロエミッション・データセンターを石狩市に建設することで、電力供給とデータセンターの電力需要の一体化を図り、同時にグリーントランスフォーメーション(GX)を標榜し、企業誘致を図る石狩市の雇用にも貢献することが狙いです。

一方で、環境への配慮は一方向からだけのアプローチでは循環しないという大きな課題があります。例えば、ZEDでも活用する太陽光発電では、パネルの製造工程で発生する有害物質の流出問題や設置場所の土壌問題などマイナス面が指摘されており、太陽の恩恵を受けて発電するプラス面とトータルで考えると本当にゼロエミッションなのか微妙な問題となります。

このように、環境配慮はまさにトータルで循環を考える視点が欠かせません。

このエコサイクルの原点は江戸時代の農業と言われます。農作物をつくるための肥料は人糞や食べ残しを肥料とし、豊かな土壌を作り、豊富な作物を実らせるのです。その繰り返しが環境負荷のない究極のエコですが、現代社会においては、1つの業種でも分業と多機能化が進んでおり、1社の努力ではエコサイクルを回すことが難しいのが現実です。

現代においてエコサイクルを回すには、業界連携・業種連携は必須で、企業の枠を超えたガバナンスコードとその統治機関が必要だと言えます。

エキスパート情報IT企業 経営企画

再生可能エネルギー導入によるCO2排出削減

再生可能エネルギー導入によるCO2排出削減を中心とした取り組みを実施している。

再生可能エネルギー資源は、地方に豊富に存在する一方で、都市部で不足する傾向があることから、地方の未利用土地、工場屋根等に太陽光発電設備等を設置し、余剰分を直接的(フィジカル)又は間接的(バーチャル)に、都市部の需要に応じて供給する取り組みを行なう。

耕作放棄地等に設備を設置する場合は、太陽光パネルの下で農業を行い、地方ブランド化して道の駅での販売、卸売等を行い未利用地の更なる有効活用に繋げるケースもある(その場合、継続的に農作業の担い手および売り先を確保する必要があるため事業の持続性、収益性の確保が課題となる)。

また、灯油・重油を多く使用しているホテル、温浴施設、老健施設等にバイオマス熱電併給設備を導入して熱利用および売電することで、施設自体のCO2排出量を減らすと共に、一部をクレジット化し企業、自治体等に販売する取り組みを行なう。
なお、バイオマス燃料調達にあたっては、近隣の間伐材を利用することで、森林整備および地域内での資源循環に資する取り組みとなるよう自治体と連携しながら取り組みを進める。

エキスパート情報再生可能エネルギー関連事業会社 電気主任技術者

脱炭素化加速による企業価値向上

原子力発電所が停止している中、石炭火力発電所などのCO2が多く輩出される発電所を順次廃止し、LNGなどのCO2を排出しにくい発電方法や、洋上風力発電などのクリーンエネルギーの割合を増やして脱炭酸化を加速させています。

また、使命である電力の安定供給はもちろんのこと、スマートメーターやVPP(バーチャルパワープラント)などの新技術の開発にも積極的に取り組み、SDGsを通じて、企業価値の向上を図っております。

エキスパート情報大手電力会社 変電所新設・設計担当

洋上風力発電における取り組み

<建設~運転>
この期間は環境アセスメント制度(法制度)に基づき、事業者が経済産業省、環境省、地方自治体、一般住民に対して環境影響評価の説明などを行う。

プロセスとしては、配慮書、方針書、準備書、評価書といった段階があり、標準的には4〜5年程度だが、それ以上の期間を要することもある。

評価項目としては主に、騒音・低周波音、景観、シャドーフリッカー、植物・生態系、動物・鳥類が挙げられる。洋上風力においては、今まで関連が少なかった漁業との共生も、重要な項目として注目されている。

<撤去>
運転終了後は風車及び関連設備の撤去となる。陸上風力の場合、質量ベースでは約8割が基礎関連の鉄筋コンクリートとなるが、コンクリートのリサイクルについては一般的な業界同様に、リサイクル砕石などの利用になる。基礎以外の風車の構成要素としては、大まかにはタワーなどの鋼製品、発電機などの電機品、ブレードの樹脂製品に分けられ、鋼製品や電機品も一般的なリサイクルと同様の流れになる。

尚、風車には多くの永久磁石が適用されていることが特徴的である(但し、型式による)。多いものでは1ton/MWもあり、発電効率向上のためネオジム磁石にジスプロシウムを添加しているが、これらはレアメタルであるため、リサイクル必須となる。

磁石以外に電機品も含め、レアメタルについては、中国やアフリカにおいて非人道的な手段で採掘されており、SDGsの観点からも都市鉱山からの積極的なリサイクルを進めていく必要がある。

また、ウクライナ危機に端を発した冷戦時代のようなブロック経済の再発リスクもあり、西側諸国若しくは国内のリサイクル・サプライチェーン構築も重要である。

また、風車に特徴的なものとして、ブレードの樹脂製品があり、強化のためにガラス繊維や炭素繊維が添加された繊維強化プラスチック(FRP)が用いられている。

FRPのリサイクルとしては、セメントなどに混ぜる、燃焼して熱をリサイクルする、繊維を分離してリサイクルする、などが挙げられるが、技術・経済的な課題が多く、現状では埋立処分が一般的である。

エキスパート情報風力発電関連会社 プロジェクト担当

発電効率の高い製品開発

私たちはマイクロ水力発電を開発しているメーカーです。お客様は再生可能エネルギーによる発電の導入を急激に進めています。

企業のイメージアップ目的での導入も多く、太陽光発電よりも新規性のあるマイクロ水力発電や洋上風力発電などに注目が向いている印象です。

サステナブルへの関心は高まっており、何か企業でもしないといけないという意識の高まりはあるものの、コロナの影響もあり業績が良くない企業の方が多く、サステナブルに関する投資までできていないのが現状です。

そのため、サステナブルに投資をしても早く費用を回収できるものやすぐに効果が出る取り組みを優先する傾向があります。

私たちのマイクロ水力発電も「手軽にかんたんに低価格で導入できる」という点を積極的にPRするようになり導入が進んでいます。その他の企業でも同様かと思います。

再生可能エネルギーの分野は発電し始めると長期運用(20年〜)を前提としているため、採算性を第一に考えられる企業は導入に踏み切ることができず、結果的に社会からの印象もよくありません。

そのために私たちは小さい企業ではあるものの、大手企業ではできない技術力を高め、発電効率の高いより良い製品をつくることが地球環境への貢献につながると信じています。

エキスパート情報水力発電開発メーカー 代表取締役

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ご利用シーン

  • オープンソースでは得られない、業界市場の深い情報・知見がほしい
  • 戦略策定や参入検討において、業界市場の将来性を把握したい
  • 新規事業アイディアや仮説に対して、フィードバックがほしい

ご相談事例(※イメージです)

  • 半導体市場の産業構造やトレンドについて
  • 新規事業の立案・推進にともなう新規部門のあるべき体制
  • 新規事業の立案・推進にともなう事業投資・M&Aの考え方

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