上場企業向けファイナンスの最前線
企業スクリーニング・情報収集・株価分析を高速化し、投資判断の質を高めるSpeeda
株式会社ファンドクラウド
上場企業のエクイティファイナンスでは、ターゲット企業の抽出、財務指標の一括把握、株価・出来高を踏まえた流動性リスクの評価が案件化の成否を大きく左右します。とくに、時価総額1,000億円未満の中小型上場企業の資金調達は、流動性の低さや開示情報の分散がネックとなり、従来の手法では実務負荷が大きい領域です。
ファンドクラウドは、この“未開拓市場”に挑戦し、増資ニーズの高い企業の特定、財務・非財務情報の統合、株価分析にもとづく資金調達手法の設計をスピーディに行う体制を構築。その基盤として、Speedaを活用しています。
本記事では、上場企業の資金調達における課題、企業探索からデューデリジェンスまでの具体的な情報収集プロセス、そして従来10〜20時間かかったリサーチ業務を5分に短縮したSpeedaの活用術を、事業開発トップである河合様に伺いました。

ファンドクラウドの挑戦「未開拓市場を切り拓く」
ファンドクラウドの事業・河合様の役割について教えてください。
河合様:ファンドクラウドホールディングスは、2020年に設立された事業開発及び投資会社です。金融事業を担うファンドクラウド、不動産・事業開発を手がけるファンドディベロップ、地域資産の創出に取り組む共創Xの3社で構成され、それぞれの分野に精通した専門家が、多角的なサービスを展開しています。私は昨年から、上場企業向けのファイナンス案件に関する新規事業開発に注力しており、資金調達を希望する上場企業の株式等を当社が引き受け、市場で売却することでキャピタルゲインを得るビジネスモデルを推進しています。
日本には3,800社以上の上場企業がありますが、そのうち時価総額1,000億円未満の企業が約3,000社を占めており、多くが公募増資や転換社債といった一般的な手法による資金調達に課題を抱えています。仮にそのうちの1割(約300社)が資金調達ニーズを持っていたとしても、既存のプレイヤーだけでは対応が難しいのが実情です。そこに私たちは大きなビジネスチャンスを見出しています。

情報収集の“非効率”を想定して導入を決断
Speeda導入に至った背景を教えてください。
上場企業向けのファイナンス案件に取り組むうえで、事業成長に不可欠な「情報収集の課題」に備える必要がありました。私自身、前々職の投資銀行時代からスピーダを活用しており、利便性と網羅性をよく理解していたので、実質「決め打ち」の形で社内導入を強く後押ししました。
Speedaは、財務・マーケット情報などの定量データに加え、適時開示、非上場企業の決算資料、プレスリリースなどの非財務情報も一元的に取得できる点が非常に優れており、情報収集の効率化に不可欠だと判断したからです。
想定された「情報収集の課題」とは何ですか?
主に3つの課題を想定していました。
1つ目は、財務データの収集負荷です。約3,000社の上場企業の中から資金調達ニーズが高い企業(たとえば、前期赤字、低時価総額、IPO直後の成長企業など)を効率的に抽出するには、有価証券報告書や決算短信から損益計算書・貸借対照表・キャッシュフローなどを一つひとつ確認する必要があり、膨大な時間と手間がかかります。
2つ目は、マーケットデータの収集・分析の非効率です。投資後のリスク管理や売却タイミングの分析に欠かせない株価や出来高の情報は、Bloombergのようなプロ向けのデータベンダーから取得するか、Yahoo!ファイナンスなどから手動で取得するしかなく、前者はコストに、後者はリアルタイム性や網羅性に課題があります。
3つ目は、非財務情報の分散です。企業の株主構成、ファイナンス履歴、M&A履歴といったプロファイリングに必要な情報が散在しており、個別調査は非現実的です。
こうした情報収集の“非効率”は、投資機会の探索、リスク評価、顧客向けの提案に至るまで、業務全体のスピードや質に影響を及ぼす要因になります。
最大2日かかるリサーチ業務をわずか5分に
Speedaの導入・活用によって実感している効果を教えてください。

情報収集にかかる時間が、劇的に短縮されました。たとえば、企業の財務情報やマーケットデータを個別に収集・整理し、提案資料を作成するには、従来の方法では1〜2日(作業時間として約10〜20時間)を要することもあります。投資銀行時代にはEDINETや各社の開示情報を1件ずつ手作業で調べていたこともあり「非効率で発狂しそうだ」と感じたこともありましたが(笑)、Speedaを活用すれば、こうした作業はわずか5分で完了します。
ジュニアバンカーが手作業で何時間もかけて作成するようなアウトプットを、数回のボタンクリックで自動生成できる機能・データベースは恐ろしく価値が高いと感じています。

「情報を武器にする」金融プロのSpeeda活用術
日々の業務でSpeedaをどのように活用していますか?
河合様:エクイティファイナンスやM&A検討に必要なデータ取得・スクリーニングの基盤として広く活用しています。
まず、「企業を探す」機能では、前期赤字・低時価総額・IPO直後など複数条件を組み合わせた検索条件を保存し、営業ターゲットや投資先候補のリストを毎月自動で更新しています。スクリーニングの工数が削減され、実務上のリードタイムが明確に短縮されました。
財務データは、日本の上場企業を対象にPL/BS/CF/バリュエーションといった主要指標を一括抽出し、社内の分析基盤に統合。データソースを一本化したことで、財務分析・バリュエーション比較の再現性とスピードが大幅に向上しています。また、D/Eレシオや当座比率などの財務指標を軸に動的な絞り込みが可能で、たとえば東証グロース市場の潮流を追う際に、定量条件をセットして保存・再利用することで、反復的な市場分析が効率化されました。
未上場企業の情報収集には、「スピーダ スタートアップ情報リサーチ」を重宝しています。特に、当社グループでの事業会社買収や戦略的出資の検討時における、ターゲット候補の早期把握や定性情報の収集に有用です。
企業のファイナンス支援には、株価や出来高データの活用頻度が高く、流動性を踏まえた設計に役立っています。たとえば、時価総額100億円の企業で10億円の資金調達を検討する際、「出来高ベースで換算すると200日分に相当するため、1週間でマーケットリスクを外すような手法は非現実的。8ヶ月〜1年のプログラムが現実的」といった実務的な判断が可能になります。加えて、株価画面から競合比較グラフを生成し、そのまま営業資料に反映できる点も実務的です。従来手作業だったグラフ作成が数クリックで完結し、アウトプットの精度とスピードの両立が実現できています。

情報収集の“余白”が、新たな投資戦略を生む
今後の展望を教えてください。
河合様:今期は、昨年から準備を進めてきた上場企業向けのファイナンス案件を本格的に展開し、収益拡大を目指します。市場環境は良好で、これまでの手応えからも十分な収益が見込めると考えています。また、今後の重要テーマとして位置づけているのが、事業会社の買収(いわゆるロールアップ戦略)です。ここでもSpeedaは、情報収集の要として引き続き活用していく方針です。現在は主に財務・マーケット情報の取得に活用していますが、今後は市場トレンドや定性情報など、まだ活用しきれていない機能にも踏み込みながら、さらなる事業拡大に活かしていきたいと考えています。
Speedaはどのような方におすすめできますか?
河合様:投資銀行のバンカーをはじめ、セルサイド・バイサイド問わずM&A戦略や事業開発を担う部門には強くおすすめできます。とくに未上場企業の情報収集に強い「スピーダ スタートアップ情報リサーチ」は、他に代替が効かない優れたツールです。また、ファイナンス提案や営業戦略に関わる部門にとっても、ターゲットリスト作成や株価分析の効率化に大きく寄与します。さらに、市場・業界トレンド分析や競合分析を担う方にとっても、強力な武器になるはずです。
情報収集にかかる時間を大幅に短縮し、その分、本質的な思考や意思決定に集中できる──そんな環境を求めるすべてのプロフェッショナルにとって、Speedaは非常に価値の高いツールだと断言できます。

2025年7月インタビュー
※本文中に記載の企業名・役職・数値情報、Speedaのサービス名・機能・仕様等はインタビュー当時のものです
株式会社ファンドクラウド
fundcloudhd.com/業種
金融(銀行・証券・投資)
部署・職種
投資・融資
企業規模
100人未満
主な利用シーン
IR情報の整理、投資家への情報提供他、営業・マーケティング戦略策定
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株式会社ファンドクラウド
顧問
河合皓介