初月の商談目標15件を達成。新規事業のインサイドセールス立ち上げでコールへの不安を解消

三菱電機株式会社

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営業プロセスの刷新やインサイドセールスの導入は、多くの企業が取り組むべきテーマです。しかし新規事業をスケールさせようとした際、従来型の対面営業に依存してしまい、分業体制やデジタル活用が進まず、結果として営業が非効率になるケースは少なくありません。

本記事では、三菱電機の新規事業において営業部門を新設し、未経験のメンバーを起用してインサイドセールスチームの立ち上げに取り組んだ事例をご紹介します。明確な成果目標と期限のもと、営業プロセスをいかに構築し、実行していったのか。同社ビジネスイノベーション本部の前田さま・比留間さま、そして立ち上げを支援したグロースパートナー事業の林に話を聞きました。

サマリー

  • 新規事業の分業体制とインサイドセールス組織の立ち上げを支援
  • 組織のKPI設計と個人スキル習得を並行し成果創出を支援
  • マーケ・営業の連携を仕組み化し再現性ある営業基盤を構築

新規事業を支える、省人化・自動化型の営業体制づくり

ビジネスイノベーション本部のミッションと役割を教えてください。

前田さま:ビジネスイノベーション本部は、三菱電機の新規事業創出・創出支援を担う部署です。個人の役割としては、生産現場向け対話ソリューション「MelBridge®」をはじめとする新規事業の推進に加えて、デジタル活用による、少人数で効率的に成果を生み出す営業体制の確立に取り組んでいます。直近の動きとしては、2024年10月に新しく営業部門を新設し、2025年から「MelBridge®翻訳サイネージ™」の事業化を推進しています。

三菱電機株式会社 ビジネスイノベーション本部 グループマネージャー 前田雅幸さま

比留間さま:同部署の営業部門でインサイドセールスを担当しています。これまで販売現場や秘書業務を経験してきて、インサイドセールスはまったくゼロからのスタートでした。現在はお客様の課題に即した提案ができるよう、日々試行錯誤しているところです。

新しく営業部門・インサイドセールスを立ち上げた背景を教えてください。

前田さま:メーカーとして長年続けてきた営業スタイルは、新規事業に適さない側面がありました。たとえば「MelBridge®翻訳サイネージ™」のように、幅広い業界・業種のお客さまに広くご案内して受注につなげたい事業では、従来の対面型の営業は非効率です。実際に一社一社を訪問する方法ではターゲットが広すぎて効率が悪く、さらに契約単価に対して営業コストのバランスが合わないという課題も顕在化していました。

そこで、SaaS企業が実践するような効率的な営業手法を導入し、営業部門を新設しました。売上をスピーディに立ち上げるために、新たな営業スタイルの確立が不可欠だったのです。

ディスプレイに伝達事項を多言語で表示する「MelBridge®翻訳サイネージ™」。生産現場で外国人スタッフとの円滑なコミュニケーションが可能となる

営業部門の立ち上げにあたり、どんな課題に直面されましたか。

前田さま:社内でも前例のない取り組みのため、「営業部門立ち上げのノウハウ不足」が大きな課題でした。特に属人的な営業活動を避けるトークスクリプトの型化、インサイドセールスとフィールドセールスの役割分担と目標設定、シームレスな分業体制の確立は急務でした。

加えて、難しかったのはインサイドセールスの職務定義です。今後、組織の拡大にあたり、担当者のキャリアパス設計は不可欠です。しかし、社内にインサイドセールスの専門知識を持つ人材が不足しており、必要なケイパビリティをどう獲得していけばよいかがわからなかったのです。

比留間さま:私はそもそもインサイドセールスの経験がなく、実務面においてどう話せばお客様に響くのか、成果をどう測ればいいのか、すべてが手探り状態でした。常に「お客様に電話して、断られたらどうしよう……」と不安を抱えていました。しかし、新しい事業を本格的に展開していくタイミングだったので、インサイドセールスを体系的に学ぶ前に、実践を始めざるを得なかったのです。

三菱電機株式会社 ビジネスイノベーション本部 比留間絵美さま

明確な数値目標と期限に応えるため、Speedaの実践知を導入

サービス導入の決め手を教えてください。

前田さま:営業チームとして達成すべき年間の獲得商談数・受注数が明確に課せられていたので、「日々の営業活動のPDCAを回しながらチームの立ち上げに伴走してほしい」という私たちの焦燥感に共感し、その解決策を提案してもらえたことです。

もう1つの決め手は、商談時の営業担当の方の印象です。相談の段階からこちらの課題だけでなく、予算や決裁権といった必要な情報を会話の中から自然に引き出してくれて、高い提案力も印象に残っていました。他の方とお話しても同様に高い傾聴力と提案力をお持ちだと感じたので、Speedaでは仕組み化された再現性の高い営業手法を確立されているのだと実感し、私たちの営業チーム立ち上げをお任せしたいと強く感じました。

特にインサイドセールスに関しては、国内でSaaSが普及し始めた2016年頃からユーザベースがいち早く取り組んでおり、その実績に基づく洗練されたスキルやオペレーションノウハウを取り入れられる点に、期待と安心感がありました。

三菱電機さまのこうした課題に対し、どのように支援方針を組み立てましたか?

林:お話を伺って率直に感じたのは、大枠の方向性はあったものの「想定以上に決まっていない部分が多い」ということでした。

そこで、当初想定していた「KPI設計 → オペレーション設計 → スキル構築 → 会議設計」という順序を見直し、KPIとオペレーションを同時並行で構築する一方で、比留間さんへのスキル構築支援を並行して実施することとしました。また、大枠のオペレーション構築に加え、三菱電機さんが導入していたSalesforceやHubSpot、さらにSpeedaを組み合わせ、最適な形へと細部まで再設計を行いました。

比留間さんの最初のミッションは、商談につながるようアクションの質を高めることでした。そのため最初は日次でトーク内容を振り返り、まずはスキル面を重点的に支援。質の高いアクション件数を着実に積み上げ、成果が出始めたタイミングで週次に切り替え、徐々に自走できる体制に移行していきました。

こうして目の前の数値目標をクリアしながら、同時に全体設計も実施していきました。インサイドセールスは分業体制のなかで事業全体に影響を及ぼす役割を担うため、商談数だけをKPIとするのは不十分です。

今回の支援のポイントにもなりますが、再現性のある取り組みとするために、マーケティングおよびフィールドセールスとの連携強化を提案しました。

具体的には、マーケティング部門との連携では、良質な商談の獲得を目的に、マーケティングリードの質を評価可能とする共通言語を設け、その設計を共同で実施しました。フィールドセールスとの連携では、トスアップ後の商談終了時に営業から所感を収集し、次回以降の商談獲得に活用する仕組みをご提案しました。

インサイドセールスが組織のハブとして機能し続けるためには、自らの所感を積極的に他部門へ共有し、同時に他部門の状況を主体的に収集して業務へ反映させ、組織全体の最適化を図ることが不可欠である旨をお伝えしました。

株式会社ユーザベース グロースパートナー事業 営業マーケティングコンサルティングチーム
シニアコンサルタント 林みず紀

初月に商談目標を達成! ノウハウの体系化でコールの不安を解消

コンサルタントの支援によって、どのような成果につながりましたか。

比留間さま:支援いただいた翌月から、明確な数字の成果を出せました。初月に商談創出目標の15件を達成し、事業全体の売上目標達成に向けたKPIをクリアできたのです。

最初はお客様との会話に苦戦し、アポイント獲得に至らない日が続いたときは正直落ち込みました。それでも日々、林さんが「最初は誰でも通る道です!」と励ましてくれ、細かい質問や悩みを聞いてくれたことが非常に大きな支えになりました。

具体的な助言を実践に活かすこともできました。たとえば「コールしていて反応が良かったキーワードや他社の導入事例をリスト化し、お客様の業界や規模に応じてトークスクリプトに織り込む」といった工夫です。こうした試行錯誤をするうちに「同じ業種のお客様にはこの事例が響く」という成功パターンを掴めるようになりました。

また、組織としてAIを活用した営業の仕組み構築に注力しているのですが、Speeda営業リサーチの「AIセールストーク機能」で事前調査時間を70%削減し、高度な仮説を持ったトーク展開が可能になりました。

1件商談を獲得するたびに林さんが「比留間さん、やりましたね!!」と自分のことのように大きく喜んでくれたのもモチベーションとなり、単なる数字の達成だけではなく、お客様の事業課題解決に貢献できる仕事なんだという意識へと変わっていきました。

この成果や変化を、営業組織としてはどう捉えていますか。

前田さま:営業ノウハウを伝授してくれる会社は数多くありますが、それを属人化させず、再現性のある形でマニュアルまで落とし込んでくれるパートナーは少ないと思っています。Speedaの皆さんには、私たちの体制や業務フローに合わせてコールの手順や判断基準を整理し体系化していただきました。

現状は1人体制ですが、今後インサイドセールス組織を拡大しようと考えています。そのための具体的なステップや留意点が明確になり、組織を大きくしていくイメージを描くことができました。

組織拡大には、分業体制を円滑に回すためのオペレーション改善が欠かせません。林さんの支援でマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス間でパイプライン情報を共有するようになり、各部門が必要なリード量や商談数を明確に意識できるようになりました。その結果、部門間の連携が強化され、事業目標達成に向けた課題発見と軌道修正がしやすい体制が整いつつあります。

林:インサイドセールス組織については、今後は現場でのトライアンドエラーの積み重ねがより重要になります。事業全体では、マーケティング機能を強化し、翻訳サイネージ事業に合ったリード獲得施策の設計が次のテーマです。パイプライン管理や提案内容の型化をさらに進めつつ、蓄積したリード資産をいかに再活用して成果につなげていくか、引き続き一緒に取り組んでいけたらと思います。

営業プロセスの型化・進化で、次なる新規事業に備える

今後の展望をお聞かせください。

前田さま:「MelBridge®翻訳サイネージ™」のみならず、今後も多数の新規事業が生まれていく構想です。しかし新規事業は不確実性が高く、営業担当を最初から潤沢に配置できるとは限りません。一方で事業開始直後から急成長し、営業リソースを拡大する必要性が高まるケースもあります。必要なタイミングで必要なパフォーマンスを発揮できる営業組織の体制作りが課題だと感じています。

そのためにも、今回のインサイドセールス立ち上げによって営業プロセスの土台が築けたことは、次の新規事業立ち上げにおいても「軸」になるはずです。今後はその軸を各事業に合わせてチューニングできるよう、営業プロセスの型化をさらに進め、体制を一層強固にしていきたいですね。

比留間さま:私は小さな成功体験を積みながら、マーケティングやフィールドセールスとの連携強化に注力したいです。同じ方向を向いて精度を高めることで、リードの量と質の両面で自律的に成果を出していきたいです。

そして将来的にはインサイドセールスの増員を見据え、チーム作りにも取り組みたいです。私のような不安を抱えるメンバーに対して、スキルアップとモチベーション向上を両立させるマネジメントができたらいいなと思います。

三菱電機株式会社

www.mitsubishielectric.co.jp/ja/
  • 三菱電機株式会社

  • 業種

    製造・メーカー

  • 部署・職種

    新規事業開発、営業・インサイドセールス

  • 企業規模

    5000人以上

  • 主な利用シーン

    事業開発/新規事業開発、営業フロント業務

  • 三菱電機株式会社

    ビジネスイノベーション本部 グループマネージャー

    前田雅幸さま

  • 三菱電機株式会社

    ビジネスイノベーション本部

    比留間絵美さま

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