「技術動向・ビジネスモデルをすばやく理解でき、ビジネス視点を持った技術開発が実現しました」
大手メーカーの技術探索・事業開発領域における活用
パナソニック株式会社
創業100年を誇る国内トップクラスの総合電機メーカーであるパナソニックは、「共存共栄」の精神の下、全世界で冷蔵庫、洗濯機といった白物家電から、最先端の美容家電、テレビ、デジタルカメラなど様々な電気製品を製造・販売しています。また、その製品・技術を活かしB2C事業だけではなく、B2B事業も広く手掛けています。
中でも2017年4月に発足したコネクティッドソリューションズ社は、パナソニックグループのB2B事業成長の中核を担います。外部のパートナー企業と新しいビジネスを生み出す辻様、笹井様、徐様、酒井様にスピーダでどのように事業探索を行っているのか伺いました。
サマリー
- ・探索テーマが定まりきらないときに、スピーディかつ手軽にリサーチを行いたい
- ・スピーダのトレンドレポートを見て、話題の技術について動向・分析をディスカッションでき、ビジネスアイデアが生まれやすくなった
- ・質の高い情報をもとにディスカッションでき、ビジネス視点を持った技術開発が実現
パナソニックグループのB2Bソリューションを担う
コネクティッドソリューションズ社のミッションをお教えください。
辻様:私たちは2017年4月に発足した、パナソニックグループ全体のB2Bソリューション事業成長の中核を担う部門です。顧客密着型事業体制を構築し、お客さまのテクノロジーパートナーとして、より良い社会の実現に貢献することを目指しています 「コネクティッド」には、IoTで商品や人を繋げるソリューションを提供するという想いが込められています。中でも「製造」「物流」「流通」「パブリック」「エンターテインメント」「航空」を重点事業領域と定め、日々、お客さまのビジョン実現や経営課題の解決に邁進しています。 コロナ禍ではこれまでも拘ってきた『非接触センシング』の技術を核として、顔認証や行動解析・認識技術を用いた非対面・非接触ソリューションの創出にも力を入れ、数々の現場センシングソリューションを生み出しています。
その中で、イノベーションセンター 共創イノベーション研究部はどのような役割を担っていますか。
辻様:イノベーションセンターはコネクティッドソリューションズ社におけるR&D部門として機能し、中でも私たち共創イノベーション研究部は、大学、ベンチャー、パートナー企業とともに、これまでにないビジネスをお客様と共に創造するためのR&Dエコシステムを築いています。この部門は、オープンイノベーションマインドで新しいビジネスの共創を実現するため、2020年4月に立ち上げられました。 これから社会に貢献する技術を先んじて開発し、自ら仕掛けて未来を創っていく役割を担っています。 現在、私たち共創イノベーション研究部でリサーチを主業務とするメンバーは共創研究課の6名。4名は専属ですが、酒井のように社内副業として他部門から来ているメンバーも2名います。
笹井様:私たちは共創イノベーション研究部の中で共創研究課を担当し、社会・業界などに関するリサーチをリードし、未来で手掛けるべき事業の探索を手掛けるチームとなっています。私は課長として社内外での連携を取る役目を担当しています。
徐様:大きく3つの領域を担当しています。具体的には、社会・技術動向の調査、新規技術の探索、そしてもう1つは中国における技術動向や事例の調査・分析です。
酒井様:未来の業界変革を創造する役割を担っています。最近では、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現へ向けた技術開発を探索することもあります。
テクノロジーに強く、国内外の情報を網羅
スピーダの導入前はどのような方法でリサーチをしていましたか。
辻様:コンサルティング会社に依頼し、スポット的にテーマを絞ってワークショップを行うなどして、テーマとなる領域の情報をリサーチしていました。 ただ、外部のコンサルティング会社へ依頼するときは、探索テーマについて社内の承認が必要となり、フットワーク軽くリサーチできません。現場でリサーチに携わるメンバーが、アイデア段階で手軽にリサーチする方法が必要だと感じていました
笹井様:これまで海外のプロフェッショナルから知見を聞くエキスパートサービスや、社内にある海外の研究所から重要な技術トレンドについて情報を仕入れることもありました。
スピーダのどのような点に魅力を感じましたか。
辻様: ちょうど新しいリサーチ方法を検討していたタイミングだったこともあり、試しにトライアル活用してみました。 その内容を見たところ、非常にテクノロジーにも強く、国内外のスタートアップについての情報も豊富。日本語で作業を完結できる点が非常に有用だと思いました。それに加えて、海外の情報や英語でのリサーチもできるというマルチな利便性にとても惹かれました。 SaaS系のツールではありますが、ただ機械的にデータを抽出しているわけでなく、国内外のアナリストの深い洞察に基づく業界・企業分析を読むことができます。こうした総合的な魅力が、スピーダを導入する決め手になりました。
当時、他のサービスをご検討されましたか。
辻様:国内で展開するベンチャーマッチングサービスや、大小様々なコンサルティングサービスも同時に検討しました。しかし、リサーチしたい分野や、取り組むテーマが決まっていない段階でコンサルティングを依頼しても、費用対効果に見合わない場合もあります。 その点スピーダなら、明確な探索テーマが決まっていないときや、初動の段階でクイックに探索したいときも、自分たちの都合のよいタイミングですぐリサーチすることができます。 社内で決裁を通す際も、スピーダを通じて得た知見を企画ブレストをする際の材料にできるなど、様々な広がりが出るため上申しやすいと考えました。
質の高いスピーダの情報をもとに、探索テーマをディスカッション
具体的に、スピーダのどのような機能を活用していますか。
徐様:最も活用しているのは、トレンドレポートです。技術や学会の動向も含めた業界全体の状況を見ることで、新しいテーマを発見する切り口を見出せます。 スピーダのレポートは、ロジックに基づいてストーリー仕立てでまとめられている点が大きな特色だと思います。ロジカルなレポートのまとめ方のおかげで、難しい技術のメカニズムも非常にわかりやすいですね。 最近調べたのは、スマートスピーカーやVR/ARの領域です。メーカーごとの製品比較や技術のメカニズム、マネタイズの仕方までひとつにまとめられています。レポートの内容だけでなく、レポートのまとめ方も、非常に参考になりました。 中国の企業についてリサーチするときは、中国語の資料と同時にスピーダの情報も合わせて読み込むことで、多角的な視点で企業を知ることができますね。
酒井様:同じくトレンドレポートを最も活用しています。私は同じパナソニックでも、もともとライフソリューションズ社で電材・照明・空気清浄機などを扱ってきました。社内複業でコネクティッドソリューションズ社に来ているため、当初、技術のことが全くわからなかったんです。 そこで、トレンドレポートを見てまだ知らない技術の概要を調べ、さらにそこに出てくるキーワードを覚えて検索することで、知見を深めることができました。 例えば私が検索したのは、ブロックチェーンのページです。こうした技術は、本業であるライフソリューションズ社の領域ではまだそれほど使われていないので、スピーダで調べたことにより最先端の情報を仕入れることができてとても助かりました。私の場合は、技術領域について新しい知識を得る上で、スピーダが非常に助かっています。 他にもスピーダの英語で編集されたページから海外ニュースを読むと、検索の幅が広がって知見が深まりますね。
新しいビジネスアイデアを出す際に、具体的に役に立ったことはありますか?
酒井様:社内で企画に生かす際に活用しています。例えば「未来の買い物」というテーマがあった際、みんなでアイデアを出し合い、その後スピーダのトレンド・ニュース・企業情報などで他社の取り組みをリサーチします。他社のアイデアと私たちのアイデアの違いや、できていること・できていないこと、課題などについてブレストし、私たちが取り組むべき未来を描いていきます。 スピーダを使って、未来からのバックキャストと自社の強みのフォアキャストを、接合するようなアイデアを生み出すことができています。
辻様:他業界のビジネスモデルを、他の業界に取り入れてイノベーションをおこせないかと考えることもあります。敢えて、これまで注目してこなかった領域をスピーダで探索し、その分野の技術動向を別の領域にどう転換できるか、スピーダの情報をもとにディスカッションをしています。
笹井様:市場トレンドを見ながら、話題の企業について財務分析から売上や利益、マネタイズの仕組みを紐解くこともあります。話題のビジネスがどこで収益を上げているのか、ビジネスの肝について考える習慣がつきましたね。
ビジネス視点を携えた技術開発が可能に
スピーダの導入成果はいかがでしたか?
徐様:リサーチの質が格段に向上しました。例えばスピーダでVR/AR領域をリサーチすると、トラッキング技術の発展がこの領域に大きく貢献していることがわかります。そこからさらにトラッキング技術についてスピーダで調べられるので、一つひとつ検索エンジンで必要な情報を見つけ出す必要がなくなりました。
酒井様:私も同様に感じています。知りたい情報が図やグラフでまとまっていたり、業界のプレイヤー一覧を表で閲覧できたりするため非常にわかりやすいですよね。ひとつひとつの情報を、表やグラフにまとめ直すのはとても時間がかかる作業なので、こうした資料を、社内のディスカッションに活かしています。
笹井様:新しいビジネスを考えるとき、その分析の「軸」を考えるのがとても時間がかかるんです。そういうときに、スピーダのトレンドレポートで分類されているトレンドやそこでまとめられている内容を見ることで、分析の軸を捉えられるところがありがたいですね。 もしスピーダがなければ、情報収集はできても集めた情報をどのような軸で分析し活用に繋げていけばいいのか、探索のヒントを得ることまでできなかったように思います。
今後の展望は。
笹井様:現在は部門全体の未来像やビジョンを策定しているさなかです。お客さまと一緒に様々な未来像を描くために今後もスピーダを活用したいですね。
辻様:ビジョンとは、一度策定すればそれでいいというものではありません。予想もしなかった未来が訪れたとき、常に現実を捉え直して修正する必要があります。スピーダの情報にアンテナを貼っておくことで、ビジョンの軌道修正も容易になるのではないかと思います。
徐様:今後、「Z世代」「α世代」といった社会・文化全体のトレンドも積極的にアンテナを張りますので、スピーダ内のニュースから見られる、NewsPicksの編集部記事も活かして、発想を豊かにしたいです。
酒井様:技術開発にはビジネス視点が重要です。しかし、技術に関わる部門にいるとどうすればビジネス視点を理解できるかわからないことも多いんです。これからもスピーダを使ってクイックにビジネスについて理解しながら、技術開発をしていきたいですね。
2021.3 インタビュー
パナソニック株式会社
holdings.panasonic/jp/特色
創業100年を誇る国内トップクラスの総合電機メーカーです。「共存共栄」の精神の下、全世界で冷蔵庫、洗濯機といった白物家電から、最先端の美容家電、テレビ、デジタルカメラなど様々な電気製品を製造・販売しています。その社内カンパニーの一つであるコネクティッドソリューションズ社では、総合電機メーカーの特色を活かし、「航空」「製造」「エンターテインメント」「流通」「物流」「パブリック(公共)」分野向け機器の開発/製造/販売、並びに、システムインテグレーション/施工/保守・メンテナンス、及び、サービスを含むソリューションの提供を行っています。
業種
製造・メーカー
部署・職種
研究開発
企業規模
5000人以上
主な利用シーン
事業開発/新規事業開発、研究開発
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パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社
イノベーションセンター 共創イノベーション研究部 部長
辻 敦宏 様
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パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社
イノベーションセンター 共創イノベーション研究部 共創研究課 課長
笹井 寿郎 様
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パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社
イノベーションセンター 共創イノベーション研究部 共創研究課 主幹
徐 明強 様
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(複業元) パナソニック株式会社 ライフソリューションズ社 ソリューション開発本部 システムテクノロジー開発センター 感性空間ソリューション技術部 空間制御技術課
(複業先) パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 イノベーションセンター 共創イノベーション研究部 共創研究課 主務
酒井 あゆみ 様