非連続成長を創り出す──ソニーペイメントサービス「アライアンス企画部」の挑戦
効率的な情報探索とスピーダ ユーザーグループを通じて生まれた協業事例
ソニーペイメントサービス株式会社


ソニーペイメントサービス アライアンス企画部にて、決済を軸に新たな事業創出をミッションに掲げ、多様なパートナーシップの構築に挑戦している大倉様と新井様。
今回はお二方に、どのようにスピーダを活用し、スタートアップとの連携を進めているのか、そしてスピーダ ユーザーグループを通じて実現した協業事例などについてもお伺いしました。
サマリー
- ・スピーダを用いたスタートアップ・企業リサーチが、アライアンスパートナー探索を効率化
- ・スピーダ ユーザーグループを通じて生まれた社内・社外の協業
- ・ソニーグループ全体のアセットを活かし、より大きな付加価値を提供
非連続成長を実現し、新しい未来を創る
ソニーペイメントサービスにおける「アライアンス企画部」の主なミッションについて教えてください。
大倉氏:
企業の成長には、連続成長と非連続成長という2つの側面があります。その中で、アライアンス企画部は主に非連続成長を担う役割を持っています。
ソニーペイメントサービスは単体でも成長の可能性を秘めていますが、既存事業の枠内で取り組む成長は他の部署が担っています。一方、私たちアライアンス企画部は、新しい会社やサービスを創り出すことで、これまでになかった価値を生み出し、非連続な成長をもたらすことが使命です。
アライアンス企画部はいつ立ち上がったのでしょうか。
大倉氏:
私自身、2018年まで営業を担当していました。その頃、すでに事業開発部という部署があり、その中の事業企画課が2018年に設立されました。この事業企画課が、現在のアライアンス企画部の前身です。
その後、アライアンス営業部という名称を経て、今年『アライアンス企画部』に名称変更しました。前身を含めると、活動は約6~7年目になります。
設立当初から、アライアンスを軸に新規事業全般を担ってきました。例えば、タクシー配車アプリS.RIDEの開発や、マネーフォワードケッサイ株式会社と提携した企業間後払い決済サービスの提供、新しい決済サービスの創出などを手掛けてきました。
どのプロジェクトも、新規事業開発を中心に活動をしておりましたが、事業企画課の時代から、自社単独では難しい領域が多く、他社とのアライアンスという視点を常に持ち続けてきました。
お二方の具体的な業務内容を教えてください。
大倉氏:
アライアンス企画部の役割は、大きく分けて収益拡大と事業領域の拡大の二つを担うことだと考えています。これらは単独で進めることもありますが、両方が重なる領域こそが、アライアンスの“スイートスポット”だと捉えています。
私たちは、そうした領域をターゲットにしながら、チームで案件をソーシングし、推進しています。
アライアンス企画部では、企画立案から運用実行、事業の拡大までを一貫して手掛けています。一つの会社とこれほど深いお付き合いをする部署は珍しいと思いますし、この点がアライアンス企画部のユニークさだと感じています。
新井氏:
弊社の場合、VCやCVCではなく、アライアンスと決済を軸に事業を進めています。その中で、スタートアップとの連携は重要なキーワードの一つです。
スタートアップとの関係構築においては、まずコミュニティに入り込むことを重視しました。ソニーグループ内のCVCからも『どんどんコミュニティに入っていかないと情報は得られず、相互理解も深まらない』と言われるほどで、最初の3〜4ヶ月はその活動に注力しました。
現在では、スピーダ ユーザーグループを活用するなど、コミュニティから得た情報や関係性を基に、スタートアップに限らず事業会社とのサービス拡大や、決済という側面でのどう伴走できるかシナジーを探るネットワーク構築も進めています。
アライアンスパートナーの選定については、どのような観点で見ているのですか。
大倉氏:
アライアンスパートナーを選定する際、常に意識しているキーワードはプラットフォームです。
1対1の関係ではなく、プラットフォームとの関係構築を重視しています。
これにより、1対N、さらにはn対nの関係性が生まれ、成長曲線も直線的なものではなく、二次曲線のような形になります。
また、事業領域については特に限定せず、BtoCやBtoBを問わず、決済が生じるプラットフォームを対象としています。一つの事例ができれば、同様のモデルを他のプラットフォームにも展開できるようになるため、取り扱う商材に関わらず、プラットフォームを軸に動いています。
ソニーペイメントサービス株式会社 戦略企画部門 アライアンス企画部長 大倉悠様
アライアンスを加速させる情報基盤
スピーダ導入の背景について教えてください。
大倉氏:
当初は、スピーダ スタートアップ情報リサーチの無料版を利用し、表面的な情報を取得していました。しかし、アライアンス、特にその中でもスタートアップに注力する方針が決まり、より詳細の情報が必要となりました。
リサーチに多くの時間を割くことは避けたかったため、いくつかのスタートアップのデータベースを使用し比較検討をしました。その中で、最終的にスピーダを選んだ決め手は費用対効果と、データの量と精度です。
データが多いだけではなく、精度が高く、更新が頻繁に行われていること、またUIの使いやすさも重要な要素でした。新規メンバーが加入した際も、特別な説明なしに直感的に使えるという点も高く評価しています。
普段の業務の中で、どのようにスピーダをご活用いただいておりますか。
大倉氏:
スピーダは主に、スタートアップ企業の探索やリサーチ、紹介案件の事前調査に活用しています。特に、企業のステージ、株主構成、提携状況の確認といった情報が得られる点が非常に便利です。
新井氏:
私は、スタートアップのソーシングリストの作成や、同業他社の投資動向、投資家検索機能を活用しています。特定のファンドやCVCの投資動向を把握することで、業界全体の動きや投資戦略の分析にも役立っています。また、決済、クレジットカード、シェアリングエコノミー、プラットフォームといったタグを使い、事業シナジーが出やすい企業を迅速に見つけることができています。
さらに、BtoBといったキーワードでは広いので、その中からSaaSや請求受発注サービスなどに絞り込んで検索することで、特定の事業領域でシナジーを生む出せそうな企業に素早くアクセスできる点も大きなメリットです。
スピーダ スタートアップ情報リサーチは私たちのスタートアップソーシングにおける事業サイクルに組み込まれており、新しいアライアンスパートナーを模索する際には欠かせないツールとなっています。
スピーダに対するご要望があれば教えてください。
大倉氏:
スピーダへの要望として、企業の年商データや、複数の投資家による共同投資の検索機能を挙げたいと思います。例えば、特定の2社が共同で投資している企業を検索できるようになると、投資動向やシナジーの分析がさらに進むと考えています。
ソニーペイメントサービス株式会社 アライアンス企画部 企画課 課長 新井智康様
スピーダ ユーザーグループを通して生まれた協業
「スピーダ ユーザーグループ」には積極的にご参加いただいておりますが、参加したことによって実際に生まれた変化などについて、お聞かせください。
新井氏:
最初は契約後に営業担当者からの紹介で、試しに参加してみました。異業種間でこれだけつながれるコミュニティはそうそうないので、今では学びの場として積極的に活用しています。
外部のイベントにも頻繁に参加していますが、継続的に参加し、コミュニティとしてのパイプが強くなっているのはスピーダ ユーザーグループのイベントです。
具体的な成果としては、アライアンスピッチでの出会いから、同じグループ内の企業との協業が実現したケースもあります。例えば、ソニーセミコンダクタソリューションズとの協業は、このようなコミュニティ活動がきっかけとなりました。
ソニーグループは出資先まで含めると100社以上に及びます。営業的な視点で決済を使ってもらうだけではなく、お互いの企業価値を上げるために何ができるか、を考えグループパートナーの価値を上げるのも重要な活動の一つとなっています。
他にも、コミュニティを通して株式会社アリススタイルと資本業務提携を締結しました。
この案件では、代表の村本氏との直接的なコンタクトから、約半年という短期間で契約締結まで至ることができました。
「スピーダ ユーザーグループ」に対して、改善の要望や期待することはありますか。
大倉氏:
外部イベントで参加した中で特に印象深かったのは、eコマースをテーマに100名が集まったイベントです。EC事業者やバックオフィスサポート企業、決済企業など、同じキーワードでスタートアップからエンタープライズまで幅広いプレイヤーが集まっていました。
このように、一つのキーワードでスタートアップから事業会社まで近しいプレイヤーが集まる場があれば面白いと思いました。
同じ業界なので、共通言語を持つため議論が深まりやすく、近しいプレイヤーだからこそこれまで見えていなかった課題を他社から聞くことで、『このような形で力になれる』といった発見が多くあります。また、逆に弊社の課題解決のために有用なサポートを提供してくれる企業とも接点が持てて、自社の事業を拡大していく上で、コミュニケーションコストがかからないと感じました。
特に、弊社のような事業会社の場合、キャピタルゲインを目的とするのではなく、オープンイノベーションの視点から考えると、こうした場にアクセスすることが何よりも早いと感じました。
最後に、大倉様、新井様の今後の展望や夢についてお聞かせください。
大倉氏:
決済業界のアライアンスにおいて、ソニーペイメントがナンバーワンの存在となることを目指しています。その実現に向けて、スピーダをはじめとするツールを最大限活用しながら目指していきたいと思います。
新井氏:
私個人としては、近年の社会変化──特にデフレや人口減少、地方経済の衰退といった課題に対して、ソニーグループの強みを活かしつつ、決済の枠を超えた社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。このような取り組みを通じて、社会的価値の創造と収益化の両立を目指し、持続可能な未来の実現に寄与できればと思っています。
ソニーペイメントサービス株式会社
www.sonypaymentservices.jp/特色
クレジットカード決済業およびその他決済サービス業を手掛ける。クレジットカードデータ処理業、集金代行業、貸金業なども行う。
業種
情報通信・IT
部署・職種
新規事業開発
企業規模
100〜499人
主な利用シーン
事業開発/新規事業開発
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ソニーペイメントサービス株式会社
戦略企画部門
アライアンス企画部長大倉悠様
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ソニーペイメントサービス株式会社
アライアンス企画部
企画課
課長新井智康様