#営業/マーケティング 2026/1/15更新

都築電気に学ぶターゲット戦略:事業転換を支える、顧客づくりの成功事例

都築電気に学ぶターゲット戦略:事業転換を支える、顧客づくりの成功事例 都築電気に学ぶターゲット戦略:事業転換を支える、顧客づくりの成功事例

変化の激しいビジネス環境において、新規顧客の開拓は、多くの企業にとって喫緊の課題です。しかし、「マーケティング施策で獲得したリードが営業現場で活用されない」といった壁に直面する企業は少なくありません。そんな中、都築電気株式会社では営業とマーケティングが協働で「顧客の言語化」ワークショップを実施し、共に顧客像を明確に定義することで、新たな市場開拓の道筋を確立しました。

※本対談は2025年11月12日開催、『ターゲット戦略が加速する「顧客の言語化」〜営業×マーケティングの協働で見出した、新規開拓の突破口〜』セミナーを再構成したものです。

94年の歴史を持つ老舗企業が新規開拓に舵を切った背景

──まず、貴社の事業概要について教えてください。

野木 氏:都築電気は、1932年に都築商店として創業しました。当初は電話工事を中心としていましたが、現在は情報ネットワークソリューションサービス事業として、お客様の成長と課題解決に尽力しています。

──新規開拓に注力するようになった背景をお聞かせください。

野木 氏:2023年度に発表された3年間の中期経営計画「Transformation 2026」で「成長6領域の強化」が掲げられたことが大きなきっかけです。当社では、従来の工事・機器導入中心のビジネスから、クラウドCTIやクラウドPBX、動態管理サービスといったSaaSビジネスへと事業転換を進めています。それに伴い、従来とは大きく異なる販売スタイルを取る必要性が出てきました。特に新規開拓では、マーケティングを起点としたビジネス拡大が求められるようになった、という背景があります。

都築電気株式会社 ビジネスプロモーション統括部 セールスプロモーション部 副部長 野木 広美 氏

──現在のマーケティング体制について教えてください。

野木 氏:当社は営業・技術・マーケ&サポートの3本部制です。マーケティングは営業とは別の部門であり、全社横断の機能として位置づけられています。担当範囲は広いですが、リード獲得からインサイドセールスとの連携による商談化まで一気通貫で担っているため、施策が売上にどのように結びつくかも責任をもって把握できることにメリットを感じています。

施策先行からの脱却。営業とマーケティングが協働で描くターゲット戦略の新プロセス

──インサイドセールス部門との連携を見直される以前の状況と、現在のプロセスについて詳しくお伺いできますか。

野木 氏:以前はマーケティング側が「セミナーを開催しましょう」「広告を出稿しましょう」と施策ベースで提案する施策先行型でした。しかしこの方法では、いざ営業が動き出す段階になると、「具体的にどの顧客にどう働きかければよいのか」が不明瞭で、手探りでのアプローチとなってしまうケースがありました。その結果、「とにかく数字につながればいい」 という思考に陥り、お客様の課題解決に貢献するという本来の目的が形骸化してしまうことも。
その際マーケティング部門では、施策の実行そのものが目的となってしまい、「この施策でどんな顧客価値を届けたいのか」という本来フォーカスすべき視点がおろそかになっていたと感じます。

マーケティング部門と営業部門の目線がそろっていない点が課題であった

そこで、プロセスの改善に重点的に取り組み、マーケティングと営業が協働で「本来のターゲット顧客は誰なのか」を細かく描くことにしました。

具体的には以下の3段階です:

  1. 目線を合わせる - 「何のためにやるのか」目的を確認
  2. 狙いと強みを共有する - お客様の課題解決と都築電気の強みを整理
  3. どのように実行するのか考える - 具体的な施策を検討

それまでHow(どのように)先行で施策を行っていたところを、Who(誰を)・What(何を)を強化するプロセスに変えました。
この結果、マーケティング施策が不要なケースや、別のアプローチの方が効果的だとする選択肢も生まれました。

和田 氏:営業経験から言うと、この考え方は非常に腹落ちしやすかったです。ターゲットを明確に定義すると、「この層にはマーケティング施策ではなく、経営層へ直接アプローチした方が効率的」など新たな方法が見つかることもあります。

商談や受注が生まれれば、その後に続くマーケティング施策のアイデアも必ず出てくると思っています。必ずしもマーケティング施策が入口である必要はないのです。

都築電気株式会社 ビジネスプロモーション統括部 セールスプロモーション部 デマンドチーム チームマネージャー 和田 洋明 氏

野木 氏:マーケティング施策は行わないという意思決定をした時でも、リードを集める動きは持続し、適切なタイミングにいつでも施策を行えるよう準備しています。

顧客解像度を高める「言語化ワークショップ」の実践

──マーケティングと営業で新しい進め方を確立されたのですね。それを加速するために実施された「顧客の言語化ワークショップ」についても詳しくお聞かせください。

小嶺:「顧客の言語化ワークショップ」の初回については、ユーザベースがファシリテーションを務めましたので、私からご説明させていただきます。

ワークショップの目的は、顧客ニーズを的確に捉えたマーケティングの実現で、20名ほどを5チームに分けて実施しました。「誰に(Who)・何を(What)・どう営業する(How)」を言語化することに重きを置いて、Howより先に、WhoとWhatを掘り下げることがポイントです。お客様の業界や規模だけではなく、特徴、課題感、役職・役回りなども含めてWhoをターゲティングするところから始めました。

Who・Whatを決めてから、How(具体的なマーケティング施策)を決めることで、再現性の高いマーケティング施策を企画立案できる

野木 氏:Howより先にWhoとWhatを深掘り・可視化することで、今までにはなかった側面が見えてきたのです。「この役職や業務担当者に必要なのは実はこのサービス」「こういう課題を持っているところにはこの製品が適している」など、新たな視点での意見が多く交わされました。
WhoとWhatを言語化することで、Howの内容がより受け手に響くものになりました。

和田 氏:その後も、営業・マーケティング・技術部署から様々なキャリアのメンバーが集まり、初回の内容をブラッシュアップするため、オフラインでの追加ワークショップを社内で3〜4回実施しました。

まず、WhoとWhatをさらに詳細な項目に落とし込み、シートに整理していきました。お客様の声が大きなヒントになったのはもちろんですが、各部署の多様な知見が集まったのが非常に有益でした。営業だけでなく、技術者がお客様のお困りごとを聞かせていただく機会もあり、現場目線の貴重な意見が引き出せたと感じます。
部門やキャリアを問わずお互いの意見を受け入れ、気づきを得ながら、自社の強みを再認識することができました。

野木 氏:営業部門も技術部門も最終的な目的は、「当社の製品を通じてお客様の課題を解決すること」に尽きます。ワークショップは、全員がこの目的に向かっているという共通認識を得る場となりました。

和田 氏:追加ワークショップでは、言語化したターゲット像を実際の企業リストに落とし込んでいきました。ここで活用したのがSpeeda(「スピーダ 顧客企業分析」)です。例えば「柔軟な働き方の提供に課題を感じている企業群」をターゲットにする場合、Speedaを駆使することで、これまで定めたWho・Whatと企業リストに齟齬がないかを確認できました。

小嶺:課題感やニーズを言語化した内容をSpeedaの企業リストに紐づける際には、一つひとつの解釈を丁寧に確認しながら精度を高めていく必要があります。営業の皆さまのご意見も取り入れながら、当社も並走し、時間をかけてターゲットを明確化していきました。

株式会社ユーザベース スピーダ事業 カスタマーサクセス本部 小嶺 涼子

──部門間の連携をワークショップだけで終わりにするのではなく、継続的に共に施策や数字の改善を図る仕組みも作られたと伺いました。

和田 氏:現場が常に当事者意識を持って戦略を意識できるように、定期的な取り組みを2つ実行しています。
1つ目は、「伴走支援定例」と呼んでいる営業担当者との月例会議です。施策の結果や課題、商談状況、お客様からの声などを共有する会議体としています。
2つ目は、BIツールを活用したファクトデータの共有です。今までは可視化されたデータがなく、会議でも議論しづらい状況でしたので、ワークショップをきっかけに社内で作成しました。施策の数字推移や、施策ごとの商談貢献度の高さを見える化しています。

野木 氏:数字をもとに振り返りをする習慣がつくと、その背景にある構造的な要因まで踏まえて評価ができるようになりました。例えば、有効商談率が良いのは実はターゲット外の顧客だったというケースもあり、我々の思い込みを数字で検証できると同時に、営業に向けて改善提案を行う際の客観的な根拠にもなりました。

営業現場に生まれた3つの変化とこれからの展望

──ワークショップで得られた学びが、現場にどのような変化をもたらしたのかお聞かせください。

和田 氏:前向きな変化として3点挙げられます。
まず、ターゲット顧客に関する会話が営業現場で活発化しました。ワークショップの参加者とコミュニケーションを取ると、自然にお客様の話題が出るようになり、顧客解像度が高まったことを実感しています。
次に、営業からお客様への説明力が向上したことです。ワークショップで自社の強みを言語化できたことで、営業として自信となる要素が増えたのではないでしょうか。
最後に、言語化の手法が営業間で共有されて、学び合う文化が醸成されました。本ワークショップで扱ったプロダクト範囲を超えた営業部門からも相談いただくようになり、全社レベルで知識共有・相互啓発が浸透しつつあります。

野木 氏:我々の取り組みは未だ成長段階です。部門を超えて得た気づきと連携を活かしながら、課題を着実に解消し、PDCAを回してさらに進化していきたいと考えています。

こちらも併せてお読みください:
新規顧客開拓活動におけるスピーダ 営業リサーチの活用事例|都築電気株式会社

Speaker

野木 広美 氏

野木 広美 氏

都築電気株式会社
ビジネスプロモーション統括部 セールスプロモーション部 副部長

1996年、都築電気株式会社に新卒入社。入社以来、販売推進部にてマーケティングの前哨部門として、基礎構築からパートナーアライアンス、社内外のリレーション強化に取り組んできた。当時、社内にはマーケティングという思想が十分に定着しておらず、サービスサイト、メールマガジン、セミナー・展示会、広告、動画、事例作成など、多岐にわたる施策をゼロから企画・運営。これらの取り組みを通じて、マーケティングを社内文化として根付かせることに力を注いできた。現在は管理職として、マーケティング全体の運営を統括しながら、活動のさらなるブラッシュアップを推進。マーケティングを事業戦略の柱として位置づけることを目指し、社内への浸透に取り組んでいる。

和田 洋明 氏

和田 洋明 氏

都築電気株式会社
ビジネスプロモーション統括部 セールスプロモーション部 デマンドチーム チームマネージャー

2012年都築電気株式会社に新卒入社。大手自動車メーカーをはじめ、名古屋地区民需企業のソリューション営業を担当し、ビッグアカウントからSMB領域まで幅広く経験。2022年から、全社マーケティング部門に異動し、自社プロダクトを中心としたデジタルマーケティングの企画・実行を手掛け、マーケティング戦略の標準化企画、具体的施策の実行・管理に従事。2024年4月よりセールスプロモーション部デマンドチームチームマネージャーに就任し、マーケティング、インサイドセールス機能の両面から、プロダクト/アカウント攻略のための企画提案・実行・管理をメンバー、営業部門と共に試行錯誤しながら推進中。

小嶺 涼子

小嶺 涼子

株式会社ユーザベース
スピーダ事業 カスタマーサクセス本部

コンタクトセンターのアウトソーシング及びそれに係るソリューションサービスを提供する富士通コミュニケーションサービス株式会社(現・パーソルコミュニケーションサービス株式会社)にて、テクニカル系コンタクトセンターで経験を積み、インバウンド・アウトバウンド業務のスーパーバイザーを担当。その後インサイドセールス部門の立ち上げや、MA導入・運用支援を経験。2020年7月よりユーザベースに参画し、カスタマーサクセスとして大手企業ユーザー様を中心に支援。

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