#経営企画 2026/1/15更新

【Salesforce流】自社データ×マーケットデータで毎年 経営戦略を策定する5ステップ

【Salesforce流】自社データ×マーケットデータで毎年 経営戦略を策定する5ステップ 【Salesforce流】自社データ×マーケットデータで毎年 経営戦略を策定する5ステップ

予測不能な激流の時代において、経営戦略の策定は企業全体の方向性を決定づける「羅針盤」として重要な位置付けを担っている。本記事ではAIソリューションの開発の先駆者であるSalesforceが、データとAIを生かして経営戦略の策定と実行を推進し、データドリブン経営を実践しているのか、ストラテジー&プログラム統括本部 セールスプログラムマネージャー 古賀 孝志氏に毎年の経営戦略策定プロセスの実例をひも解きお話しいただいた。

※本レポートは「Speeda Day '25」 パートナーセッション「激流のAI時代の羅針盤たれ。経営企画はデータで組織を動かす」の内容を再構成したものです。

Speeda Day '25

「Speeda、新生する」というコンセプトのもと、2025年10月9日に東京ポートシティ竹芝ポートホールにて開催されたSpeeda主催の1DAYイベント。情報収集・分析の先にある「意思決定と実行のありかた」を変えるべく約400人のお客様にお越しいただきました。当日はSpeeda史上最大の転換点として、AIエージェントを起点にした新プロダクト「Speeda AI Agent」のデモンストレーションやユーザー企業様によるセッション、ネットワーキングなどが行われました。

「データとスピード」持続的な事業成長を実現する、2つの成功要因

属人化された業務プロセス、データ入力の手間、バラバラに構築されたシステム──。データ活用の重要性は理解できても、その実践には多くの障壁が存在する。Salesforceの古賀氏は、データの活用状況は業績と相関があると指摘する。

「IDC Japanが2023年に発表したアンケート結果によると、日本企業の約4割がデータを活用しきれていないことがわかりました。しかしデータを充分に活用し、部門横断で業務改善/予測分析に活用できている企業は売上・営業利益ともにプラスになることがわかっています」(古賀氏)

株式会社セールスフォース・ジャパン ストラテジー&プログラム統括本部 セールスプログラムマネージャー 古賀 孝志 氏

ここで古賀氏は、Salesforceの「Sales Strategy Team」におけるAI活用の実践例について解説した。同チームは営業企画、経営企画、事業企画を1つにした役割を担っている。営業やカスタマーサポートなどのデータを蓄積し、外部データも活用することでデータドリブンな経営の意思決定を推進している。

「持続的な事業成長の鍵は2つあります。それはデータを活用すること、そしてスピーディに意思決定することです。リアルタイムなデータをもとにPDCAサイクルをスピーディに回すことにより、課題がクリアになり、解決に向けたアクションを取ることが可能になります」(古賀氏)

Salesforceが毎年行う 経営戦略策定の5ステップ

経営のPDCAサイクルにおける「P:Plan(計画)」を立てる際に重要なのは、「戦略策定」とその戦略を実現する「組織作り」だ。

Salesforceでは例年、次の5つのステップで経営戦略を策定しているという。

  1. 基幹戦略の策定:大型商談に注力する、AI関連製品に注力するといった、産業・規模・商品などの大まかな方向性を決定

  2. 組織設計:基幹戦略を実現するための組織作り

  3. 財務計画と人員計画:どのような事業体制、営業組織でマーケットに向き合うかを決定

  4. テリトリー設計:どの営業担当がどのようなお客様を何社担当するのかを明確化

  5. 目標設定と報酬設計:各営業本部、各営業担当の目標及び報酬制度の検討

この5つのステップ全てをデータドリブンで行い、サイクルを回していくことが大切だと古賀氏は力説する。

なかでも基幹戦略策定のステップで重要なのは、「内部データ」と「外部データ」の両方を活用することだという。

「日々行っているメールや商談など1つ1つの活動から生まれる内部データと、TAM(可能性のある最大の市場規模)や成長率などの外部データを照合し、分析することで初めて自社の勝ちパターンが見えてきます。すると製品ごとに市場やホワイトスペースが推定でき、どこにどれだけのリソースを投入すべきか設計できるようになります」(古賀氏)

たとえば次年度のリソース配分を考える際に、今年度の「売上データ」だけで意思決定するとしよう。しかし売上データだけでは、利益やコスト構造が明確にならないためリソースを増やす意思決定を下すのは難しい。では「売上データ」に「経費データ」を加えてみるとどうか。受注までにかかった1人当たりのコストや利益率が明らかになるため成長事業が明らかになり、リソース配分の方向性が変わってくるだろう。

※スライド内のデータは全てダミーとなります。

さらに売上や利益などの「内部データ」に加えて、「マーケットシェアと市場規模」という外部データを加えてみるとどうなるか。すると「利益率×マーケットシェア」のポートフォリオができあがるため、取るべき戦略の方向性が明確になるという。

「たとえば〈マーケットサイズは小さいが、シェアが大きく、利益率が高い〉事業部の場合、利益を投資に回す意思決定が必要です。一方で〈マーケットサイズもシェアも大きいが、利益率は低い〉事業部の場合、成長が鈍化しているためリソースの最適化が必要でしょう」(古賀氏)

このように「内部データ」と「外部データ」を組み合わせて分析することが、データドリブンな意思決定をするうえで、最初の、そして最も重要な基幹戦略につながっていく。

「勝ちパターン」をデータで定義 AIとの”差分”を見逃すな

戦略策定の次の実行フェーズでは、自社の「勝ちパターン」をデータで定義することが重要だと古賀氏は強調する。

「『大型商談を実施する』という基幹戦略を決めた場合、どのような顧客からの受注が大型商談につながっているのか、内部データと外部データを組み合わせて分析します。Salesforceでは、分析の結果大型商談の8割は業界内で100位以内の企業であり、成長の兆しとも言えるシナリオを持っていることが判明しました」(古賀氏)

※スライド内のデータは全てダミーとなります。

Salesforceではこの勝ちパターンを現場の営業活動に活かすため、ターゲティング支援ダッシュボードを開発。インサイドセールスやカスタマーサクセス、プリセールスまで誰もが直感的に使えるよう整備することで部門間連携が進み、営業組織全体の生産性向上につながったという。

また、日々の営業活動では売上変動リスクを事前に察知することも重要となる。ここで有効なのが、AIによる売上予測の有効活用だ。

「予測の正しさにフォーカスが当たりがちですが、大切なのは、AIの予測と人間の予測になぜ差分があるのかを議論することです。現場で起きているリアルな状況を把握しているのは、営業本部長など現場の最前線にいるリーダーです。AIの予測に加え、現場の実態を1つの基準として活用することで分析の質に厚みを持たせることができます」(古賀氏)

案件の「量」と「質」を部門横断で適切に把握するためには、AIと人、両方の思考を充分に分析することが重要なのだという。

▶︎SalesforceのAI 15分解説 デモ動画はこちら

https://www.salesforce.com/jp/form/demo/sales/next-sales-ai-demo/

現場の実践知を経営戦略へフィードバック

古賀氏は最後に、経営戦略策定におけるデータ活用において最も重要なポイントについて、「現場の実践知を、経営戦略にフィードバックすること」だと述べた。

「現場で得られた勝ちパターンや想定外の課題といったインサイトを必ず経営戦略へフィードバックし、プランの再策定をする必要があります。このフィードバックループをつくることこそが、企業の持続的な成長の源泉です」(古賀氏)

経営戦略の強さは、データの多様性によって生み出される。しかし大量のデータを人の力だけで処理・分析するには限界もある。こうした分野でAIの力を借りるためにも、データドリブン経営の第一歩としてデータの蓄積が重要だ。

現場と経営の間でデータドリブンにPDCAサイクルを回し続けることで、AI時代でも経営における「羅針盤」を見出すことができるだろう。

Speaker

古賀 孝志氏

古賀 孝志氏

株式会社セールスフォース・ジャパン
ストラテジー&プログラム統括本部
セールスプログラムマネージャー

株式会社リクルートにて営業職を経て事業企画へ。戦略立案から現場浸透、商品企画など、営業組織を軸とした部門横断プロジェクトを多数リードする。
2021年より株式会社セールスフォース・ジャパンに参画。営業戦略室にてオペレーション最適化やPMIを推進し、早期の事業シナジー創出を実現。
現在はセールスストラテジー本部にて、戦略実行のためのアクション設計および全社収益構造の最適化を担う。
戦略策定から組織変革、実行に至る全フェーズの実践経験をもとに、データとテクノロジーで現場の行動変容を促す、再現性の高い事業成長モデルを構築している。

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