業界情報を軸として、規模ごとに効率的なインサイドセールス戦術を展開
ホリゾンタルSaaSプロダクトの新規開拓における活用事例
株式会社コンカー


経費精算や出張管理をはじめとする間接費領域の クラウドサービスを展開する大手企業、株式会社コンカーでは、見込み顧客からの案件創出を担うインサイドセールスチームが、エンタープライズ市場から中堅・中小(ラージ・ミッド)市場へとターゲットを広げながら、データに立脚した活動を展開しています。今回はマーケティング本部 セールスディベロップメント部の皆様に、インサイドセールス活動におけるスピーダ 営業リサーチの活用状況と効果についてお話を伺いました。
サマリー
- ・エンタープライズ向けには、「業界理解」を深めることで、アカウントプランの精緻化を加速
- ・中堅・中小向けには、1社あたりの調査時間を圧縮し、アプローチ数を最大化
- ・生成AI機能も取り入れて、情報収集から仮説構築までを標準化
大手から中堅中小まで、規模別に業界横断でインサイドセールス活動を展開
まずは皆様の扱っておられるプロダクトと、インサイドセールス組織について教えてください。
櫻井氏:コンカーは、総務・経理・ITなどのバックオフィス部門を対象とした、クラウドアプリケーションを提供しています。経費精算の「Concur® Expense」、請求書管理の「Concur® Invoice」、出張管理「Concur® Travel」 という3つの製品を軸に展開しており、利用者数は世界9,300万人、世界で最も広く採用されている法人向け出張・経費管理ソリューションで、市場シェア49.6%を占めています。(出典:IDC)
当社のインサイドセールス組織は「SDR (Sales Development Representative)」と呼ばれ、マーケティングや営業と連携しながら、案件創出を担っています。顧客企業の規模によって第一グループと第二グループに分かれ、私はその両方を統括しています。
櫻井氏:第一グループは、年商2500億円以上のエンタープライズ企業、従業員数800名以上年商2500億以下のラージ企業、そして関西エリアのエンタープライズ企業とラージ企業のウェスト企業のお客様を担当するチームです。マーケティングツールを利用してスコアリングし、どのお客様を優先的にアプローチをするか決めることも、インサイドセールスチームで担っています。
山崎氏:私は、中小企業様(ミッド)、既存のお客様(CDR)、公共のお客様(Public, Academic)を担当する第二グループを統括しています。長くグローバル市場でビジネスをしてきた実績と蓄積されたデータに立脚したAI機能、Suica/PASMO/nimocaで改札を通ればデータが自動で連携される等の各種サービス/決済手段とのデータ連携に強みがあり、幅広い領域のお客様でご採用が広がっております。AIの機能は、既にアメリカでは活用が進んでおり、日本市場でも間もなく展開予定*のため 、お客様にご案内を開始しております。
*参考:コンカー、AIとビッグデータを活用し、出張費精算・経費精算のない世界の実現へ
マーケティング本部 セールスディベロップメント部 第二グループ シニアマネージャー 山崎 康行 氏
ツールを使っていく中で、少しずつユースケースを拡大
2020年に「スピーダ 顧客企業分析(旧称 FORCAS)」をご契約いただき、現在は主に「スピーダ 営業リサーチ(旧称 FORCAS Sales)」を活用いただいています。スピーダの導入経緯について教えてください。
マーケティング本部 セールスディベロップメント部 ディレクター 櫻井 由香 氏
櫻井氏:スピーダを導入する前は、ツールなどは何も使っておらず、営業と話し合って例えば、「ここはきっといける」「最近金融業界で大きなところが導入したから金融をやっていこう」といった、ざっくりとした勘を頼りとした戦略でやっていました。しかし「世の中、ツールを使って優先順位をつけているらしい」というのを伝え聞いて、スピーダ 顧客企業分析を試験的に導入しました。
使い始めた当初から、分析結果のスコアが営業の肌感とも合っていて、信頼できる情報だと感じました。その後はターゲット企業のグルーピングなど、ツールを使いながら徐々にユースケースを広げていきましたが、その過程でスピーダ 営業リサーチも、調査時間の圧縮を目的に利用を始めています。
当時から、インサイドセールスのメンバーが、会社情報や決算資料などの情報収集にかなりの時間・工数をかけていたことに課題感はありました。その部分の時間短縮になるという提案をいただき、導入を決定しました。
エンタープライズ向け:業界理解を深め、ニュースで顧客企業にアンテナを立てる
ここからは、それぞれの規模別市場を担当されている現場のインサイドセールスのご三方に、それぞれのチームにおけるスピーダ 営業リサーチの使い方について教えていただきます。
マーケティング本部 セールスディベロップメント部 第一グループ 兼 イネーブルメント 佐藤 諒 氏
佐藤氏:第一グループで西日本の大手企業を担当しています。エンタープライズ向けインサイドセールス活動においては、アカウントプランを精緻に作るために、全体像を掴む「業界理解」、「部署理解」、そしてCXOなどキーパーソン個人の経歴なども含めた「人物理解」の3つが重要になってきますが、いずれも掘り下げた情報収集には時間がかかっていました。
その中で特に重宝しているのが、業界情報です。それぞれの業界の動向・トレンドを「業界サマリー」「業界レポート」で把握し、同業界の競合他社についても把握しています。会社概要や役員の情報、グループ会社構造など必要な情報が1画面でぱっと分かるのが便利です。
他によく見るのが、ニュースの画面です。「閲覧履歴」のタブから最近追っている顧客企業だけのニュースが見られるので、重要な動きがないか日々チェックしています。毎朝、全国紙を読んだら次にはスピーダのニュースを見るようにしていますね。
スピーダ 営業リサーチの「業界サマリー」および「ターゲットニュース」画面
中堅・中小向け:1社あたりの情報収集を最速で行い、より多くの顧客にアプローチ
松﨑氏:第一グループで西日本の中堅企業を担当しています。中堅になると、担当する社数が多くなってくるので、1社あたりにかけられる調査時間もなかなか多くは取れません。さらに元々コンカーのお客様は業界が多様な中、私は西日本担当なので、まんべんなくいろいろな業界を見ている形になります。
その中でやはり、事業内容・売上高・従業員数などの基本的な情報、同業界プレイヤー、IR資料に出ている情報などを最短の時間でインプットするためにスピーダが役立っています。よく見るのは、「会社ごとの事業セグメント(どれくらいの割合でその事業をやっているか)」や同業界プレイヤーですね。ぱっと社名を見たときに、どんな事業をしている会社なのかがわからないこともあります。そこで事業内容を瞬時にインプットできるのはとても便利です。
マーケティング本部 セールスディベロップメント部 第一グループ 松﨑 庸佑 氏
スピーダ 営業リサーチで情報を得たあと、最新情報が更新されているかどうかをダブルチェックする意味で企業の公式Webサイトも調べることもありますが、情報としてはほぼ間違っていませんね。具体的な商材のイメージなど、一次情報として公式Webサイトで補うものはありますが、必要な情報の90%程度は、スピーダから得られている感覚です。
マーケティング本部 セールスディベロップメント部 第一グループ 桃井 拓 氏
桃井氏:私は現在第一グループで大手企業を担当していますが、新卒入社後しばらくはSMB(中小)を担当していました。大手・中堅・中小という企業規模の区切りにはグラデーションがありますが、SMBになるほど、インバウンド対応を含めてより一人あたりの担当社数は多くなってきます。また、SMBの場合、企業情報を検索しても情報量が少なく、公式Webサイトを見ても取得できる情報が限られています。
だからこそ、SMB向けでは「業界理解」が重要になります。スピーダの業界小分類単位で、その業界で上場している競合他社のページを見れば、かなりの情報が取れます。新卒入社してすぐの頃は、自身の経験・知識だけでは企業理解が浅い状態でしたが、スピーダ 営業リサーチを使うことで、不足している知識をうまく補ってこれたと思います。
インサイドセールスの業務基盤にスピーダを採用し、プロセスを効率化・標準化
貴社内におけるスピーダの活用促進や、セールスイネーブルメントの取り組みについて教えていただけますか?
山崎氏:インサイドセールスの業務がスピーダを使う前提のオペレーションになっていて、「使いこなす上での支援」は特に必要としていません。中途でも新卒社員であっても、スピーダの画面に沿って情報収集をすることで、結果的に企業理解やトークの質が一定標準化されていきます。今日集まった5名は、スピーダ活用の「タスクフォース」として、「AIセールストーク」機能をより活用するためにどういった情報を入力していくかなど、定期的なディスカッションを行っています。
佐藤氏:前述した業界情報の収集はもちろん、AI企業課題サジェストやAIセールストークを確認することで、「仮説構築」においても一定部分まかなえています 。セクターによって個別化の状況などに差はありますが、全体のプロセスとしては、かなり効率化できていると思います。
櫻井氏:先述の通り、特にエンタープライズセールスにおいては「業界(市場)・部署・人物」の3つすべてを理解することが重要なのですが、ひとつめの「業界理解」については、スピーダ 営業リサーチを利用することで、かなり時間・工数を削減できたと思っています。そのぶん、重要度の高い部署や人物に関する調査により多くのリソースを投入できることは、大きなインパクトがありますね。
スピーダ 営業リサーチの「同業界プレイヤー」および「AI企業課題サジェスト」画面
ツールやプロセスが進化するほど、個々の強み・示唆が差別化になる
最後に、これからの活動の展望や、スピーダに関する要望について教えてください。
櫻井氏:インサイドセールスは、他社では「デジタルセールス」とも呼ばれ、どんどん進化が進んでいます。より多くの価値を提供していくためには、より多くのメンバーがツールを前向きに活用していくことが欠かせません。世の中には「AIだけのインサイドセールス」といったサービスも出現してきていますが、AIではなく、人間がやるからこそ提供できる価値を高めていくことが必要だと考えています。
桃井氏:生成AI活用は全社でテーマになっていることの一つです。生成AI関連機能については、リテラシーを問わず誰でも使いやすいように、また、スピーダを利用しているだけで高度なAI活用が自然とできている状態まで、ますます進化してほしいです。
佐藤氏:調べているターゲット企業に関するニュースから入ってきたら、即プッシュ通知が来るようになると理想的ですね。人事異動などの重要なニュースが入ってきたタイミングで、すぐにアプローチしようという判断ができるようになります。
松﨑氏:スピーダは「存在する情報を集約する」ところに長けているサービスであると認識していますが、今後はより「示唆を与えてくれる情報」も提示してもらえるとありがたいです。たとえば直近でも顧客の課題について示唆を出してくれる「AI企業課題サジェスト」機能は役立っています。
山崎氏:各企業でスピーダの活用が広まれば広まるほど、「トークの質」については、「スピーダを活用して作成するトーク」が当たり前の基準になっていくと思います。優れたツールがあるからこそ、その中では個々人がその基準に「自身にしか出せない、自分ならではの知見や示唆」を付加価値として上乗せすることがお客様の視点から見た時の差別化に繋がるのではないでしょうか。
※2025年1月取材。本文中に記載の企業名・役職・数値情報、スピーダの仕様等はインタビュー当時のものです。
株式会社コンカー
www.concur.co.jp/業種
情報通信・IT
部署・職種
マーケティング
企業規模
100〜499人
主な利用シーン
営業・マーケティング戦略策定
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株式会社コンカー
マーケティング本部 セールスディベロップメント部 ディレクター
櫻井 由香 様
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株式会社コンカー
マーケティング本部 セールスディベロップメント部 第二グループ シニアマネージャー
山崎 康行 様
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株式会社コンカー
マーケティング本部 セールスディベロップメント部 第一グループ 兼 イネーブルメント
佐藤 諒 様
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株式会社コンカー
マーケティング本部 セールスディベロップメント部 第一グループ
松﨑 庸佑 様
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株式会社コンカー
マーケティング本部 セールスディベロップメント部 第一グループ
桃井 拓 様