事業環境分析や業務改革において、FLASH Opinionやエキスパートインタビューを活用
JSR株式会社
【導入の目的】
・半導体業界における外部環境変化の把握や、自社において前例のない課題に対するソリューションとして、有識者の意見を取り入れたかったため
【抱えていた課題】
・外部環境と内部環境の変化に応じて、従来のビジネスモデル・ナレッジを脱し、業務改革を実現したい
【活用サービス】
・FLASH Opinion(24時間で5名以上のエキスパートから回答が得られるQ&Aサービス
・EXPERT Interview(特定領域のエキスパートへの1時間のインタビュー)
サマリー
- ・有識者へのインタビューを通して、他業界の考え方・市場予測のノウハウが獲得できた
- ・事業部を中心に、社内の意見だけにとらわれず、積極的に専門家の知見を活用するカルチャーが醸成された
“経営と現場のブリッジ”を担うミドルオフィスとして、事業部を支援したい
デジタルソリューション事業企画部のミッションと役割について教えてください。
現在、JSRグループでは「デジタルソリューション」と「ライフサイエンス」という2つの事業が中心になっており、デジタルソリューション事業では、主に半導体用の電子材料やディスプレイ用の材料を提供しています。
私はデジタルソリューション事業の経営企画のような役割を担ってまして、担当役員の下で、予算管理や中期計画策定、各種投資案件や事業再編・M&Aなどの企画をおこなっています。
我々の部としては、経営マネジメントと現場事業のブリッジ的な役割が多いので、ミドルオフィスとしての機能を意識していて、とくに業務改革に関して、事業部が見えていないことを支援したいと思っています。
社内の意見だけが正しいとは限らない。有識者をはじめ広く意見を聞く必要性
「SPEEDA EXPERT RESEARCH」を導入したきっかけを教えていただけますか?
2016年頃からスピーダ 経済情報リサーチを利用していたので、エキスパートインタビューができるスピーダ エキスパートリサーチという、新しいサービスができたことは認識していました。
日々の業務において、いろいろなコンサルタントのアウトプットを見る中で、エキスパートインタビューが重要な要素であり、有識者へのインタビューはとても強力なツールになるだろうと思っていたんです。
導入の一番のきっかけは、数年前から半導体業界で持ち上がっていた地政学的な問題、「日韓輸出問題」や「米中の半導体摩擦」です。
これまでの延長線上にない環境変化が起きたとき、答えのない問題に対して、有識者はどのように考えているのか、網羅的にサーベイなどができないかと考えていて、最初にサービス導入を検討しました。従来の情報収集は、社内の有識者に聞くことが基本。
たとえば、何か調査を始めようと思ったら、開発に聞いてみよう、営業に聞いてみよう、という初期動作でした。
従来の方法でうまくいくこともありますが、業界構造が変わったり、我々の事業のポジショニングが変わったりしたときに、果たして社内の有識者の意見が正しいのか、それだけにとらわれていると、従来の成功モデルから脱却できないかもしれないという問題意識がありました。
改革につながるようなファクトやオピニオンを生み出すためにも、実際のエンドユーザーの意見や周辺業界を含めた方々の意見を聞いてみると、また違った視点が見えてくるかもしれないと思い、利用をはじめました。
ニッチ領域でもインタビューする価値があるエキスパートが存在
ビジネスにおけるエキスパートの知見活用は、現状、多くの企業に広く浸透しているわけではありません。導入時のハードル・懸念点などはありましたか?
我々の事業は最終消費財やサービス産業に比べるとニッチだと思うので「聞くに値するエキスパートがいるのか?」という不安はありました。
ただ、インタビュー候補者をリストアップしてもらうと、特殊な技術領域でも経験・知見を持つエキスパートがけっこういて、これなら聞く価値があるなと感じました。
すでにSPEEDAを利用していたこともあるので、それ以外に導入のハードルはなかったように思います。
最初は「プロジェクト支援」という形でスピーダ エキスパートリサーチを組み込んで、エキスパートによる半導体材料のあるプロジェクトにおける「Enablement Program」を実施していただきました。
「時代に即した事業変革をしなければいけない」という経営の問題意識がある中で、我々の企画部門として調査をする際に、「このように外部有識者の知見を補強して使えますよ」というコミュニケーションから始められたので、導入がスムーズに進んだように思います。
目的に応じてFLASH Opinionとサーベイ、インタビューを使い分ける
スピーダ エキスパートリサーチの各サービスをどのように使い分けられてますか?
仮説がない段階や迷いがある段階ではサーベイを実施したり、仮説がある場合はFLASH Opinionでアイデアの壁打ちをして仮説を補強したり、仮説をより深めたいときにはインタビューをしたりしています。
全く知見がない分野では、最初からインタビューで基礎的なところから教えてもらうこともあります。
具体的な事例としては、新規事業探索の一環で、ある特殊な製造プロセス装置の市場予測手法についてFLASH Opinionで複数のエキスパートの回答が集まったときに、非常に説得力のある見解をくださった方がいたので、追加でインタビューを申し込み、より詳しくお話を伺いました。
周辺業界の市場の考え方においてブレイクスルーがありましたし、自分である程度計算できることが重要だと思うので、ノウハウの獲得という意味でもインタビューをして良かったと思います。
スピーディーなFLASH Opinionは、自分の「部下」のような存在
取材前のアンケートでは、FLASH Opinionの「スピード感」を評価していただきました。「24時間以内」という点は有効だと考えられますか?
たとえば、経営陣への報告を翌週にひかえていて、調査テーマに関する仮説を出したいとします。そのときに、自分の仮説とは違うことを現場が言ってきた、これはどちらが正しいのか把握しないと次に進めない。
このような状況下において、走りながら考えられるFLASH Opinionは非常に有効です。
たとえば、決して悠長に構えている経営陣ばかりではないので、事前に「あの件どうなってる?」と聞かれることがあります。
FLASH Opinionでは1件、また1件とリアルタイムで回答が届くので「今、聞いています」と言うのではなく、「1人の有識者に話を聞くことができました」「このような意見がありました」というように、途中経過を報告することができます。
「この件について調べておいて」と言って、回答結果が出た瞬間にメールで連絡が届く。ビジネスで重要な「報告」という点において、これはとてもありがたいです。
私の中でFLASH Opinionは、頼りになる「1人の部下」というイメージですね。
FLASH Opinionの利用で工夫していることや意識していることはありますか?
エキスパートに質問を投げかけて、最大公約数的にみんなが肯定してくれたら「これはいけそうだ」と考えられると思いますが、1人でも反対の意見を言っているとき、かつそれが自分の中で解決できていない論点の場合は、かなり重要なポイントだと捉えます。
FLASH Opinionの回答はどのようなアウトプットにまとめられていますか?
使い方はケースバイケースです。自分の頭にインプットするだけの場合もありますし、ローデータをサマライズしたり、回答を一部抜粋して、資料のappendixにソースとして表示したりすることもあります。
自分の提案に「有識者の声」を加えることで説得力を上げる材料になりますし、答えがない問題に対して、肯定・否定の声を両方提示して検証できることもメリットだと思います。
エキスパートサービスを有効に活用していただいていますが、チームメンバーの活用状況はいかがですか?
当初私のチームメンバーには「便利だから使ってね」と言うだけでは、なかなか使われませんでした。やはりインタビューの実施はその準備も含めて、経験が無いと心理的にもハードルが高いものと思います。
そのため、今は調査テーマをアサインして「エキスパートサービスを使ってアウトプットをまとめてみて」という形から始めてもらっています。また、準備方法についてMIMIR社の方にアドバイスを貰ったりもしています。
とくにFLASH Opinionは、質問に加えて「持っている仮説」や「回答で言及してほしいこと」などの補足説明を書くことができるので、いきなりインタビューを実施するよりもハードルが低い印象です。
まずは一度、「こういう流れでやるといいのか」とわかってもらえるように、あまり緊急性のないプロジェクトから使ってもらうのがいいのかなと思います。
起点は「昔と同じ仕事のやり方でいいのか?」という問題意識
スピーダ エキスパートリサーチの利用を通して変化したことはありますか?
我々の事業もいろいろな環境変化があります。
半導体産業を始めとしてディスプレイやモバイルデバイス産業は、非常にダイナミックな動きをしていて、当社材料への需要変化、業界における技術変化、業界における顧客構造の変化等、今までの業界や社内の“当たり前”の概念が変わっていっていると感じます。
そのような中で、我々企画部も「昔と同じ仕事のやり方でいいのか?」という問題意識がずっとありました。
我々の業務は経営陣の要請に基づいて調査したり、調査結果をもとに現場と一緒に提案したりといったことが主体ですが、その過程においては、これまでのビジネスモデルやナレッジに頼りがちになります。
従来のやり方を否定するような意見は出づらいのですが、それはやはり「いつも同じ人や近しい人に聞いているからではないか?」と。だからこそ、外部の声を聞こうと考えました。
たとえば、材料メーカーではなく装置メーカーの意見を聞く。大手のクライアントではなくロングテールと言われるようなお客さんの意見を聞く。エンドユーザーの意見を聞く。
そのような視点をもつことで、社内からも尖った意見が出やすくなり、提案内容の説得力も出てきます。
実際にエキスパートサービスを利用する中で、「自分たちの都合の良い結論に引っ張られないようにする」という意識の変化があったと思います。
私個人としても日々の業務の中で「本当にそうなのか?」「一度専門家に聞いてみよう」「少し調べてみよう」とワンクッションを置く余裕を持てるようになりました。
業務改革を推進するためには、組織のカルチャーも変わらないといけない
今後、スピーダ エキスパートリサーチを使ってどのようなことをしていきたいですか?
これまで申し上げたとおり、外部環境も内部環境もいろいろと変わっていく中で、ビジネスの戦略もそうですが、やはり事業を推進するためのカルチャーまで変わらないと、本当の意味での事業改革はできないと思うんです。
そのような部分を我々の企画部門で支援していきたいと思っているので、これからも積極的に外部の意見を活用していきたいです。
スピーダ エキスパートリサーチはどのような方にお勧めできますか?
自分もそうだったのですが、事業会社で海外に駐在されている方は、何でも自分でやらなければなりません。
そのような駐在員の方や、同じように事業会社の社長室のような、少数で責任の重い仕事をされていて、周りに経験者や聞ける有識者がいない方にとくにお勧めだと思います。
今までは自分で文献を読んだり、身近な企業に聞きに行ったりしながら、わからなくても何とかやってきていると思いますし、その行動が自分を成長させる醍醐味にもなると思うのですが、FLASH Opinionで筋の良い質問を投げれば、24時間以内に5名の有識者から専門的なアドバイスがもらえる。これはすごく画期的だと思います。
たくさんの重要なタスクがある中で、自分がやるべきことに集中できる、そしてゴールまで最短で行くために使えるサービスがあるということは、非常にお勧めできるというか、むしろ昔の自分も含めて積極的に教えてあげたいですね。
JSR株式会社
www.jsr.co.jp/業種
素材・化学
部署・職種
経営企画・事業戦略
企業規模
5000人以上
主な利用シーン
事業戦略・全社戦略の策定
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JSR株式会社
デジタルソリューション事業企画部
企画チームリーダー金森 様