事業ライン内の新規事業創出を支援する“出島”のような組織
新規事業に力を入れるようになった背景を教えてください。
上田:2017年ごろは、社内にも新規事業開発を専門に行う部署はありましたが、プラットフォームという領域を軸とした事業開発は行っていませんでした。プラットフォーム事業ラインは、NECと一体となった事業が大半であり、自ら事業を創出していくような業務の割合が少ない状況でした。しかし新たなチャレンジをすべく、NECの依存度を低くし、プラットフォーム事業ラインの強みである「OSから上物のサービスまで、ICTをフルレイヤーで事業をしている」ことと、その幅広い技術力と知見を生かして、2017年に現在の前身となる組織を設立しました。
細川:新規事業を効率的且つ効果的に進められるようサポートしていくことが、我々のミッションです。
皆さまの役割を教えてください。
上田:当社のプラットフォーム事業ラインには6つの事業部があり、各事業部を横断した事業課題や計画の策定・推進しているのがプラットフォーム企画本部です。プラットフォーム企画本部の中でも、私たちのチームは、各事業部の新規事業の創出と人材育成の支援を役割としています。そのミッションは主に4つあり、マーケティングインテリジェンス、ビジネスモデルの構築支援、具体的な取り組みを形式知として蓄積し横展開していくインキュベーション、そして、新規事業創出に対する組織文化醸成・人材育成です。
スピード命の新規事業の検討と事業部への情報提供にSPEEDAは欠かせない存在
SPEEDA導入前はどのような課題を抱えていましたか?
上田:導入前までは、既存の調査レポートを自社で購入したり、社内ライブラリーにある資料を活用していました。しかし、最新の調査レポートは、利用希望者が多く、社内ライブラリーから入手まで2〜3ヶ月かかることもあります。有識者の意見を聞きたい場合も、自分たちではアプローチすることが難しく、得られる情報量と入手までのスピードに課題を抱えていました。さらに、事業部の支援を行う場合も新規事業のプロセスや仕組みにおいて足りないピースが多々あり、これまでのような我流のやり方を見直す必要がありました。
そこからSPEEDAを導入することになった経緯と決め手について教えてください。
上田:最初のきっかけは、事業部側から「SPEEDAを使いたい」という声が上がったことです。すでにSPEEDAを導入している別の事業ラインからも推薦がありました。自分たちで行うデスクトップリサーチでは入手しづらかった情報を取得でき、価格的にも導入しやすいことが大きな決め手となりました。
また、SPEEDAを導入して良かったことを教えてください。
細川:業界が俯瞰できるレポートを調査会社から買わなくてもすぐ手に入ることです。さらに業界ごとの企業一覧から地方新聞の記事まで、自分で検索を使って探すよりも詳細に調べることができますし、レポート出力をPDF以外の形式で選べて、データを再利用できることがSPEEDAの魅力です。
高野:業界レポートやトレンドレポートはステークホルダーも図示され、業界内での関係性を理解できるので、次に調べることが何かを想定しやすいと感じています。
導入後はどのような変化がありましたか?
細川:社内やNECグループ内にも沢山の情報がありますが、アプローチして手に入れるまでにリードタイムが生まれてしまっていました。しかし、SPEEDAを利用すると、すぐに業界の動向から個々の企業の情報まで調べられるため、初動が早く非常に便利です。本来、リサーチ業務は早く完了させて次のステップに進むべきなので、そのスピードが格段に上がりました。
高野:事業部から相談が来たときに、すぐに業界レポートを見ることができるので、自分たちの知識レベルを迅速に上げられるようになりました。
SPEEDA×SPEEDA EXPERT RESEARCHの活用で事業創出を支援したい
SPEEDA EXPERT RESEARCHもご利用いただいていますが、導入した理由を教えてください。
上田:新規事業においては、様々な方にインタビューをしてファクトファインディングや仮説の検証をすることが必要ですが、そのやりづらさをずっと感じていました。「誰に聞いたらいいのかわからない」「聞きたい人がいてもアプローチしづらい」、そういった課題を解決してくれるのではないかという期待から導入の検討がすぐに進みました。
細川:チケット制というシステムも魅力です。リサーチ会社にインタビューを頼む場合、依頼したい内容を説明し、見積、契約まで思いのほか時間がかかります。リサーチ会社を利用せずに、自分たちの人脈をたどって、特定の技術の適用領域を専門とするインタビュイーを探そうとすると、さらに時間がかかってしまいます。このことから、スピード感をもって適切な方に依頼できるSPEEDA EXPERT RESEARCHはとても役立っています。
具体的にどの機能をどのように活用されていますか?
高野:「FLASH Opinion」「EXPERT Interview」「EXPERT Report」「EXPERT Seminar」を全て利用しています。最初に使ったのは「EXPERT Interview」です。一次情報を得るにはインタビューが重要になりますが、我々だけのネットワークではリーチしにくいところにもインタビューできるのは非常にありがたいです。
大塚:新たな価値を考える場合に、市場ニーズを起点とする「マーケットイン型」と、自社保有技術を起点とする「シーズアウト型」があります。実際には二つの視点を行き来しつつ仮説検証しますが、プラットフォーム事業ラインでは、技術シーズベースから新事業検討に着手するケースが多いです。そのため、マーケットをいくつか想定した時に、SPEEDA EXPERT RESEARCHで専門家の意見を聞いた上で次のステップに進めるということは非常に価値を感じています。
大塚:それから、「EXPERT Seminar」も活用しました。ある分野でシェアNo.1の会社の方にセミナー形式で30分程度お話いただいた後、直接インタビューも行うという「EXPERT Interview」も組み合わせたプログラムを実施したところ、参加メンバーに非常に喜ばれました。
細川:私は「FLASH Opinion」を2つの使い方で利用しています。ひとつは、知見の少ない業界での商習慣の実態などを知るために、もうひとつは、自分たちで考えた仮説の妥当性や視点のズレの有無を確認するためです。10人ほどの有識者からわずか1日で知見が得られ、スピーディに傾向を捉えることができます。自分1人で行うと1ヶ月はかかるプロセスを2〜3日でできるわけですから、気軽に使えるカジュアルなツールとして重宝しています。
SPEEDA EXPERT RESEARCHを効果的に使うポイントはありますか?
細川:SPEEDA EXPERT RESEARCHには様々な機能があるので、それらの機能を組み合わせて事業部の求めるものにうまくコーディネートすることが効果的に使うポイントです。ここが、私たちの役目だと思っています。
大塚:例えば、「FLASH Opinion」を使う際は、事業部にしっかりとヒアリングして、有益な情報が得られるような問いを作ることを意識しています。「自分たちのこの技術を事業にしたい」というアイデアに的確に対応できるよう、これまでの「FLASH Opinion」の活用経験も活かしながら支援しています。
SPEEDAとSPEEDA EXPERT RESEARCHの両方をどのように活用していますか?
高野:SPEEDAで、業界レポートを見て、業界やターゲットの事業を俯瞰して理解し、プレーヤーを把握した後、一次情報を得るためにSPEEDA EXPERT RESEARCHを使っています。
細川:私たちは事業部を支援する立ち位置ですから、新規事業創出の各プロセスで事業部からくるさまざまな課題やニーズに合わせて、SPEEDAとSPEEDA EXPERT RESEARCHを最適に使い分けて活用しています。
今後の展望をお聞かせください。
上田:現在、新規事業創出支援の仕組みを立ち上げています。まずは仕組みをしっかり整えていくことと新規事業に携わるメンバーの人材育成と風土醸成の2軸で進めていきたいと思っています。
細川:私たちが実現したいのは、事業部が各フェーズで立ち止まらない環境を作ることです。そのためにももっとSPEEDAとSPEEDA EXPERT RESEARCHを活用していきたいと思っていますので、使いこなし方を共有し合えるようなユーザー会のような場があればぜひ参加していきたいですね。
NECソリューションイノベータ株式会社
www.nec-solutioninnovators.co.jp/部署・職種
新規事業開発
業種
システム開発・SIer・ソフトウェア開発
部署・職種
新規事業開発
企業規模
5000人以上
主な利用シーン
新規事業開発・研究開発
-
NECソリューションイノベータ株式会社
プラットフォーム企画本部
事業戦略グループ
シニアプロフェッショナル上田岳宏
-
NECソリューションイノベータ株式会社
プラットフォーム企画本部
事業戦略グループ
プロフェッショナル細川豊
-
NECソリューションイノベータ株式会社
プラットフォーム企画本部
主席プロフェッショナル大塚俊一
-
NECソリューションイノベータ株式会社
プラットフォーム企画本部
事業戦略グループ
プロフェッショナル高野裕之