SPEEDAのデータが社内の共通言語に。意思決定のスピードが向上しました。

大手総合電機メーカーの横断マーケティング部門での活用

パナソニック株式会社

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SPEEDAが社内横断のマーケティングを支援

パナソニック株式会社はカンパニーを横断したマーケティング施策を推進するべく、2017年に全社横串組織の一つとしてデジタルマーケティング推進室を設置しました。今回は、そこで課長を務める岸原様にインタビューを行いました。売上高8兆円を超える大企業の「縦割り」を打破する取り組みと、その挑戦を支えるSPEEDAの活用法に迫ります。

サマリー

  • デジタルマーケティング推進室が、パナソニックに横串を通す役割を担う
  • SPEEDAを社内共通のデータプラットフォームとして活用し、本質的な課題に注力
  • 「社内複業」でスキルシェアが活発化。複業メンバーが各部の市場調査や資料作成などの課題をSPEEDAで解決

縦割りのマーケティングを「ヨコパナ」化する横断組織

デジタルマーケティング推進室の概要を教えてください。

岸原様:データを活用したマーケティングや商機の提案を社内横断的に行っています。パナソニックには分野別に4つのカンパニーと38の事業部が存在しますが、従来は各カンパニーが個別にデジタルマーケティングを推進していたため、せっかくの顧客データやマーケティング施策がバラバラになっていました。「それでは勿体ない」ということで、2017年に新設されたのがデジタルマーケティング推進室です。プロフェッショナルビジネスサポート部門に属しており、コーポレートやブランディングなどと並んで、専門的な知見をパナソニック社内全体に提供しています。今までの縦割りの体制――いわば「タテパナ」に横串を通し、「ヨコパナ」化することを目指して活動しています。

チームの体制についてもお聞かせください。

岸原様:2017年の発足当初は4人の組織でしたが、現在は20数名が在籍しています。私を含む専任メンバー6名と兼務メンバー7名に加え、社内複業を利用し参加しているメンバーも含んでいます。社内複業とは、自分の所属部署に加え、パナソニック社内で他部署の業務にも参加できる制度です。私自身も制度を活用し、デジタルマーケティング推進室と並行して家電事業(アプライアンス社)の新規事業創出取組みである、ゲームチェンジャーカタパルトに携わっています。

顧客データを統合し 「ゆりかごから墓場まで」 ライフスタイルに合わせた提案を実現

デジタルマーケティング推進室では、 具体的にどのような活動を行っていますか。

岸原様:主にデータベースマーケティングの推進と、社内のハブ的な活動に取り組んでいます。前者については、家電事業と住宅事業の顧客データを統合し、連携を促進することが主な業務です。先述の通り、以前は家電ならアプライアンス社が、住宅リフォームならエコソリューションズ社が個別にマーケティングを行っておりました。

しかし、両社はともに「住空間」を扱う事業ですから、連携によってシナジーが期待できるはずです。例えば、住宅を新築・リフォームするタイミングで家電の買い替えを行う可能性が高いと考えられます。そこで私達は、各カンパニーで管理していた顧客データを一つのデータマネジメントプラットフォームに投入し、「ゆりかごから墓場まで」ひとりひとりのライフスタイルに合わせた提案の実現を目指しています。

後者の「社内のハブ的な活動」についてはいかがですか。

岸原様:最新のマーケティング手法やデジタルトレンドについて、情報収集や社外との連携構築に取り組んでいます。各カンパニーのマーケティング担当者は、現場で顧客に向き合っているため多忙を極めています。だからこそ私達が最先端のトピックにアンテナを張り、社内に共有していく役割を担っているのです。 加えて、今まで事業部ごとに異なるものを利用していたBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの共通化にも取り組んでいます。SPEEDAも、社内の共通ツールとして活用を推進しているところです。

SPEEDAのデータを社内の共通言語として活用

どのようなきっかけでSPEEDAの導入に至りましたか。

岸原様:私が通っていたビジネススクールを通じてSPEEDAを知り、トライアルを利用したことがきっかけです。当時から本社でM&Aに携わっているメンバーがSPEEDAを使っていたこともあり、トップクラスの企業分析ツールだと感じていました。社内に最先端の知見やツールを広めるのが私達の役目ですから、SPEEDAの導入に迷いはありませんでしたね。

ありがたいお言葉です。パナソニック社内では、どのようにSPEEDAを使っていますか。

岸原様競合やインサイトの分析、また事業の意思決定に必要なデータを参照するために、複数のサービスと組み合わせて利用しています。社内で活用例を募ったところ、BtoB商品の営業戦略担当からは「海外戦略の意思決定に必要な資料づくりにSPEEDAを活用している。これから進出を検討している地域の市場調査を行う際にも、手軽にデータの収集ができて役立っている」との声がありました。私が担当している事業では、連携を検討している企業の財務ポートフォリオをSPEEDAで調査し、先方の事業展開に仮説を持ったうえで打ち合わせに臨んでいます。

※SPEEDAのデータを共通言語に、複数のサービスを組み合わせて分析を行っている

※SPEEDAの業界レポートの一例(図は「総合電機」業界)。業界の市場環境・競争環境を俯瞰したレポートと関連するデータを網羅的に確認できる。 

SPEEDAのどのような点にメリットを感じていますか。

岸原様確かなファクトデータを素早く収集・可視化できることです。SPEEDAを導入する以前は、複数の部署で資料作成に多大な手間を取られていました。データを収集し、表計算ソフトで分析し、データを修正・更新するたびに前のバージョンとの変更点を探さねばなりませんでした。海外事業の場合は、そもそも馴染みのない市場で信頼できる情報源を探すことさえ苦労していたとも聞いています。本来はデータ分析の後に行う知的生産こそが大切なのに、そのための下準備に時間がかかりすぎていました。SPEEDAを導入してからは、必要な情報を一瞬でグラフ化できるようになりました。これまではきれいな分析資料を作ることに時間を取られていましたが、現在は本質的な意思決定に注力できるようになりました。 また、SPEEDAはウェブ上のプラットフォームなので、場所や環境に関係なく使えるのもいいですね。SPEEDAで参照したデータを社内の共通言語として活用するようになったことで、メンバーの情報収集力、分析力、意思決定のスピードが向上しました。

※SPEEDAではデータのグラフ化・編集も画面上で直感的に行うことができる。

社内複業メンバーが、各部の課題をSPEEDAで解決

こうした社内横断の取り組みは、現場の理解を得られず浸透しにくいという課題が聞かれます。 パナソニックではどのように対処していますか?

岸原様:デジタルマーケティング推進室には各部のデジタルマーケティングに携わる社員が兼任や社内複業によって参画しているので、現場の課題が集約されます。部署ごとのノウハウを持ち寄ってのスキルシェアも活発です。 また、こうしたメンバーの存在によって、デジタルマーケティング推進室で共有されたことが所属部署での活動に落とし込まれているのも大きなポイントです。例えばSPEEDAの活用ひとつとっても、現場の社員が「自分ごと」として捉えなければ広まりません。壮大な話をするよりも、上司に提出する資料や事業計画用の資料づくりなど、現実的な悩みの解決に寄与することが必要だと考えています。兼任・社内複業のメンバーがSPEEDAを活用して自部署の小さな困りごとに対応してくことがメンバーに対する信頼を生み、ひいては「デジタルマーケティング推進室と協働してみたい」という現場の反応につながるのではないかと思います。

SPEEDAを活用し、データドリブンな 組織を育てたい

今後、SPEEDAを活用してどのようなことに挑戦したいですか。

岸原様:先日デジタルマーケティング推進室のメンバー全員で、データドリブンマーケティングの必要性について議論しました。これからは一層、従来のような経験や勘に頼ったマーケティングでは立ち行かない時代になると考えています。 SPEEDAを使ってより的確に情報をとらえ、筋道の立った施策を提案できる人を社内に増やしていきたいです。そのために、私達自身もSPEEDAをより使いこなせるようになりたいですね。

2019.7 インタビュー

パナソニック株式会社

holdings.panasonic/jp/
  • 特色

    総合電機大手。白物家電などのアプライアンス事業をはじめ、住宅分野や車載分野などを手がける。

  • 業種

    製造・メーカー

  • 部署・職種

    マーケティング

  • 企業規模

    5000人以上

  • 主な利用シーン

    営業・マーケティング戦略策定

  • パナソニック株式会社

    プロフェッショナルビジネスサポート部門 デジタルマーケティング推進室 課長

    岸原直人 様