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リコーが挑む”デジタルサービス変革”を加速させる機会探索

株式会社リコー

User's Voice

顧客のDXを支援しビジネスを成功に導くデジタルサービス、印刷・画像ソリューションなどを世界約200の国と地域で提供するリコーグループ。創業以来85年以上にわたり、“はたらく”に寄り添い続ける同社は、“はたらく”の未来を想像し、ワークプレイスの変革を通じて、人ならではの創造力の発揮を支え、持続可能な社会の実現を目指しています。
そして今、企業価値向上を目指す企業においては事業ポートフォリオの変革は避けられず、事業の評価・分析は複雑化しています。その難しさに対して、リコーグループではユーザベースのサービス(SPEEDA/SPEEDA EDGE/INITIAL)をいかに使い分け、活用されているのか。
今回、経営企画部経営企画センター事業開発室 室長 伴野仁治様、西中裕一朗様、経営戦略室 島智広様に伺いました。

サマリー

  • 事業セグメントごとにデータ取得し事業動向を捉えれば、事業ポートフォリオが異なり、企業単位では比較できない場合にも対応(SPEEDA)
  • 業界ごとに傾向が異なる数値は業界分類で母集団を作ることで分析の効率化を実現(SPEEDA)
  • 各部門の戦略に資する領域のスタートアップ探索に寄与(INITIAL)

経営戦略の視点で企業価値向上に貢献する

貴部署のミッションや想いについて、お聞かせください。

伴野氏:
経営企画センターは、経営戦略室、経営管理室、事業開発室で構成され、全社視点での企業価値向上をミッションとしています。その中で事業開発室は、非連続成長による企業価値向上を担っています。具体的には、M&A実行支援、M&A人材の育成、投資委員会の運営、CVCを始めとしたスタートアップとの連携などがあります。各々の事業価値の創出は事業側が担いますが、 事業単体の価値の総和よりも企業価値が向上するよう全体設計を行うのが経営企画の役割です。

現在、当社はデジタルサービス企業への変革を必要としています。これまでのメーカー型のスタイルでは、本社で価値を創り、グローバル展開してきました。こうした価値創出のあり方には、大きな変革が求められています。これからは、顧客接点のあるそれぞれの地域で価値を創出し、本社はサポートする体制に変えなければなりません。

※「2023年12月7日リコーデジタルサービス説明会」資料より抜粋

デジタルサービスの変革を加速できる機会を探索し、挑戦する

具体的な日頃の活動や目標について、お聞かせください。

島氏:
経営戦略室では、主に中期経営計画の策定・達成支援、ポートフォリオマネジメントに基づく経営資源配分、企業価値向上をミッションとしています。その中で、私は企業価値向上プロジェクトに参画し、企業価値向上の推進、外部情報の収集・分析を担当しています。
外部情報の収集・分析は、主に経営企画センターで共有しています。他社の経営戦略や業績など、いくつかの経営視点で決定したベンチマーク企業に対して、定性・ 定量的にデータを集め、自社のポジションを把握しています。より具体的には、ベンチマークした企業がどういった施策を行い、PBR(株価純資産倍率) を向上させているのかを、定量データと定性情報を掛け合わせて見ています。客観的に自社の状況を把握し、データを活かした取り組みを実践し、検証していくことを目標としています。

西中氏:
私はスタートアップとのアライアンス推進を担っています。当社は自社でものづくりを行ってきた背景から、かつては自前主義でしたが、激しい外部環境の変化の下、現況では外部と取り組みを始めることは必須だと考えています。 
戦略策定、テーマ推進・実行においても、外部に目を向けた上で、自前で進めるのか、外部の力を活用するかを判断し、プロセスを踏むことが最も重要だと考えています。
そのために、少しずつスタートアップ連携の成功体験を示すことで、価値を高め、オープンイノベーションをあたりまえにすることを目指しています。
具体的には、ビジネスユニットや研究開発部門、デジタル戦略部門から選出されたブリッジパーソンと事業開発室で、各部門に貢献するようなスタートアップをソーシングし、面談を経て、POCやその先の連携につなげる活動を行っています。

市場はさまざまな切り口から見ることが重要

ユーザベースの各サービスをどのように使い分けているのでしょうか。

伴野氏:
ユーザベースのサービスは、主にストック情報の取得に用いており、ツールは次の目的別、及び既存と新興の市場別に使い分けています。
(1)SPEEDA /既存市場の分析、トレンドの把握
(2)SPEEDA /既存市場における企業情報の取得
(3)SPEEDA/国内既存市場における類似企業比較分析
※海外既存市場に関しては別ツール使用
(4)SPEEDA EDGE /新興市場の分析・トレンドの把握
(5)INITIAL、他ツール/国内新興市場における企業情報の取得
※海外企業情報に関しては他ツールを使用
※フロー情報の取得はメールマガジンや各種ニュースサイト、SNSを使用。

※使い分けイメージ

SPEEDAを活用すれば、他社と新たな取り組みを検討する際に必要な情報も、3分程度で揃えることができます。また、中期経営戦略や組織設計において、大企業としていかに組織を運営しているかを網羅的かつロジカルに抽出したい時には、SPEEDAを使うことで説得力が増します。

INITIALはスタートアップの個社探索や、企業群での調達規模のトータル金額を見る際に活用しています。これから伸びる市場や事業単位で見る際には、 基本的にはEDGEを活用しますが、INITIALのタグを活用したり、SPEEDAのトレンドレポートを使ったりすることもあります。市場の見方としては、INITIALもEDGEも、一つの切り口だと捉えています。そこで、必ずさまざまな切り口から見るようにしています。

SPEEDAの活用シーンについて、お聞かせください。

島氏:
ベンチマーク企業の定量データを取得し、可視化・分析をする際に、SPEEDAを使用しています。主に自社のポジショニングと他社の動向・施策や、それらが株価にどう影響しているかを見ています。企業価値向上への取り組みでは、ベンチマーク企業の施策と結果が、非常に参考になります。定量データを取得するうえでは、20〜30社をSPEEDAから同一基準で、一括取得するので、効率面・品質面ともに助かっています。
私たちの業界も各社ごとに事業ポートフォリオの変革が進み、企業単位での比較が難しくなっています。SPEEDAから事業セグメントごとのデータを取得すれば、事業セグメント単位での比較が出来るので、非常に役立っています。また、業界によって水準が異なる指標値などは、SPEEDAの業界分類で母集団を作ってから確認すると効率よく分析できます。

プリンティング業界以外でも、いくつかのベンチマークの視点を設定して調査しています。事業PFMやROIC経営、デジタルサービスへ変革している企業などに注目し、経営企画内で共有しています。例えば、物づくりメーカーからデータサービスに移行したある企業をSPEEDAで調べると、そこから、弊社と同様の取り組みを他社が行っていることに気づきます。こうした視点や仮説は、定量データだけではなく、SPEEDAの定性的なニュースから広げていくこともあります。

INITIAL の活用シーンについて、お聞かせください。

西中氏:
INITIALの用途はソーシングがほとんどで、各部門の戦略に資する領域のスタートアップ探索に使用しています。具体的には、キーワードに対して、どういうスタートアップが良いかを探索したり、スタートアップが見つかった際、その事業内容に近い企業を探索したりすることもあります。タグ機能はあまり使わず、その時々で事業部と親和性が高いキーワードを起点に探索し、アウトプットを部門に共有し、フィードバックを受ける流れを繰り返しています。
資金調達レポートや、INITIAL主催のセミナーも活用しています。例えば、事業開発で課題を抱えている部門に対しては、事業開発の壁を乗り越えた事例のセミナー情報などを共有しています。

さまざまなツールを活用しながら、新規事業創出につなげる

今後、ユーザベースに期待することについて、お聞かせください。

島氏:
可視化・分析にはBIツールを利用しています。SPEEDAからダウンロードした状態のデータでは読み込めないため、現在はPythonでデータを整形する手間が発生しています。今後、BIツールでそのまま利用できる形式でデータ出力が可能になれば、ユーザーの裾野も広がるのではないでしょうか。

西中氏:
各部門との横断的な活動履歴はExcelで記録しています。INITIALでも管理機能が付加されていく一方、Excelからの移行は難しいのが実情です。私たちのように頻繁にINITIALを使用する社員以外は、INITIALのアカウントを保有していません。今後は、そうした社員も、私たちがINITIAL上で付けたチェックやスタートアップとの面談記録などを閲覧できるようになれば嬉しいです。

伴野氏:
SPEEDAやINITIALが”個”で使うツールから、”チーム”として使えるツールになることを期待しています。例えば、データをローカルに落とさず共有またはBIツールなどとシームレスにつながり、加工や分析ができ、議論を行えるようにすることでより早く、質の高い意思決定ができるのではないかと考えています。組織やチームの中で日常的に使われるような位置づけになり、活用シーンがより広がるのではないでしょうか。アジャイル経営を実現するためのコミュニケーションやコラボレーションを加速させる存在になればいいですね。

今後の展望について、教えてください。

島氏:
データを客観的・統計的に捉え、活用する文化を浸透させたいです。戦略・戦術をきちんと実行した上で検証し、さらに改善していくことを目指しています。

西中氏:
まず、スタートアップと大企業が連携して成功した事例を示し続ける必要があります。この件数が増えてくると次は、どうすればよりうまく連携できるか、を検討する段階に入ります(仕組化)。そして、この仕組みをトライ&エラーで繰り返しリコーにフィットさせていくことでオープンイノベーションをあたりまえにしていきたいと思っています。

伴野氏:
当社はまだ変革の途中です。新たな事業創出の手段としては、M&A・出資・オープンイノベーションなど、さまざまな方法がありますが、初期的な分析・調査についてユーザベースのツールを活用しながら、事業ポートフォリオの変革を加速したいと考えています。

株式会社リコー

jp.ricoh.com/
  • 特色

    複合機やプリンターなどのオフィス向けの画像機器を中心に展開。海外展開ではローカルの顧客向けにカスタマイズできるのが強みで世界シェアは首位。産業向け、商用印刷事業など成長分野に注力。

  • 業種

    製造・メーカー

  • 部署・職種

    経営企画・事業戦略

  • 企業規模

    5000人以上

  • 主な利用シーン

    事業戦略・全社戦略の策定

  • 株式会社リコー

    経営企画部
    経営企画センター
    事業開発室 室長
    RICOH Innovation Fund

    伴野仁治様

  • 株式会社リコー

    経営企画部
    経営企画センター
    事業開発室
    RICOH Innovation Fund

    西中裕一朗様

  • 株式会社リコー

    経営企画部
    経営企画センター
    経営戦略室

    島智広様