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#新規事業開発 2023/3/3更新

セミナーレポート SPEEDA×専門家の知見で何ができるの?-新規事業の企画立案編-

SPEEDA×専門家の知見で何ができるの?-新規事業の企画立案編- SPEEDA×専門家の知見で何ができるの?-新規事業の企画立案編-

2022. 6.22 WED/ 株式会社ユーザベースが主催するセミナー『SPEEDA×専門家の知見で何ができるの?-新規事業の企画立案編-』が開催されました。国外国内を問わずビジネス環境の変化の著しい時代において、従来の事業からの転換、新規事業の開発推進を加速していく必要性は高まっています。一方で、事業企画・開発を推進したくとも、確かな情報を収集し、仮説検証を繰り返すプロセスや事業間の調整に大いに時間と労力が割かれてしまう状況があるのではないでしょうか。今回は、株式会社インテック テクノロジー&マーケティング本部の泉氏と、NECソリューションイノベータ及びNECで新規事業を推進されている山田氏をお招きし、実現性の高い事業企画創出において、経済情報プラットフォーム『SPEEDA』及び多様な業界の専門家の経験知を活用できる『SPEEDA EXPERT RESEARCH』をいかに活用されているのかお伺いしました。環境への即応が求められる事業企画・開発において、仮説検証に必要なオープン情報をさらに深掘りするのに効率的な実践方法について実際の『SPEEDA』のサービス画面を用いながら解説いただいています。お二方の挑戦の軌跡を御覧ください。

Speaker

泉 善司 氏

泉 善司 氏

株式会社インテック
テクノロジー&マーケティング本部事業企画部 部長

1993年インテック入社、営業として地域金融機関や官公庁の新規開拓、顧客深耕に従事。2007年から地域金融機関向けソリューション(主にCRM)を担当し、営業活動をしつつ、パートナー開拓、セールスプロモーションの企画・実行を牽引。2013年に本社スタッフへ移り、Webサイトリニューアル、セールスプロモーションの支援や営業研修を経験後、2020年より新サービス創出のための制度設計、企画推進、マーケティングリサーチの全社推進などに取り組んでいる。

山田 博一 氏

山田 博一 氏

シニアプロフェッショナル
NEC ソリューションイノベータイノベーション推進本部
NECデジタルビジネスオファリング統括部

ビジネスデザイナーとして、リアル拠点を活用したお客様の新規事業開発と業務変革に関する業務に従事。さまざまなデザイン思考フレームワークを活用した共創プロジェクトにおけるリードを担当。FORTH Innovation
Method公認ファシリテーター。地域の新規事業開発をNECソリューションイノベータにて実施中。

新規事業開発における役割と取り組み

1.企業紹介と事業企画の取り組み(インテック)

-まずは泉さんがインテックで担う役割と取組みについてご紹介ください。

泉 善司 氏(以下、泉):長年、営業として顧客深耕に従事した後、スタッフ部門の営業推進を経て、現在は事業企画部で新サービスの創出や制度設計、企画推進を担っています。

インテックは、金融、製造、流通、サービス、公共など多くの業種のお客様とお取引させていただいています。

1964年創業のいわゆるSIerと呼ばれる企業ですが、不確実性の高い時代といわれるなかで、従来通りのビジネスを推進していくだけでは、お客様の満足度や提供価値にギャップが生じていました。そこで、私たち事業企画部では事業やサービスの企画をはじめ、それらにまつわるルール策定やプログラムづくりなどを行い、「各事業部門と一緒に進めていく」スタンスで事業の立ち上げに取り組んでいます。

-既存事業と新規事業の両立を、泉さんのチームが支援されているということですね。

2.企業紹介と事業企画の取り組み(NEC)

-続いて、山田さんがNECで担う役割と取り組みについて教えてください。

山田 博一 氏(以下、山田):欧州で開発された「FORTHイノベーション・メソッド(以下、FORTH)」というイノベーションを生み出す手法を使って、新規事業開発を支援しています。従来のように、あてのない孤軍奮闘や、単一の天才に依存するイノベーション創出は終わりを迎えているように感じます。そのため、FORTHでは組織の壁を越えて「チーム」で目的地に向かって進むことが大事だと考えています。

事業開発はよく、いま何合目というように“山”に例えられますが、それはあくまでも“頂”が見えていることが前提です。しかし実際には、先が見えずに混沌とした中で検討を進めていく方も多く、そこを我々がファシリテーターとなり、NECのデザイン思考を用いたわかりやすいフレームワークを活用しながら一緒に推進していきます。

また私は、NECソリューションイノベータとNECを兼務しています。前者は全国各地に拠点があるため、より地域に密着した事業開発を支援するケースが多く、NECの場合は主に大手企業、もしくはトランスフォームへの切迫感が強い企業様と事業を推進しています。

『SPEEDA』×専門家の知見って新規事業開発で何ができるの?-インテック編

1.『SPEEDA』導入の背景:Googleリサーチに使っていた時間を提案力強化にシフトする

-『SPEEDA』導入に至った背景や当時の課題感について、泉さんから教えていただけますか?

泉:営業推進を担当していた当時、営業の提案力に課題感を持ち、その打ち手を検討するなかで『SPEEDA』を知りました。顧客業界や動向などについてGoogleで何時間もかけて検索していた時間を、提案内容や戦略に割けるのではという青写真を描き、まずは営業に使ってもらうことにしたのが2018年です。2019年頃から商品企画など他部署も『SPEEDA』を日常的に利用するよう、巻き込んでいくうちに「営業だけでなく事業企画にも、ターゲットとなる業界の外観などを短時間で理解できる『SPEEDA』が使える」ことがわかってきました。

-公開されている定量・定性の情報を『SPEEDA』で収集される一方で、さらにその情報を深掘りしたい時には定性調査:インタビューを行われていたと事前に伺いました。当時、事業開発におけるキーパーソンに話を聞きたいときはどうしていましたか?

泉:主に、社内のコネクションです。役員層の人脈や、営業経由でお客様の中から該当者を辿るケースが殆どでした。役員や営業担当者に趣旨を伝え、キーパーソンとの関係性や時期を配慮した上で申し入れをしますので、スピード感が必要な場面では、もどかしい思いもします。必要に応じて、申し入れの書面を個別に作成する手間や、関わった人に面談結果の報告も発生します。社内のコネクションでは想定するキーパーソンに辿り着かないときもあり、ちょうどそのタイミングで『SPEEDA EXPERT RESEARCH』の紹介を受けました。

他部署を含め、リサーチ力がついてきた頃だったので、「『SPEEDA』でオープン情報を捉えた上で、さらに実態を深掘りしたい」と考えました。紹介を受け、『EXPERT Interview』で専門家に1時間インタビューを行ったり『EXPERT Report』でレポート資料を作成いただいたりと、2020年頃から『SPEEDA EXPERT RESEARCH』サービスを積極的に活用し始めました。

2.専門家の知見活用:オープンとクローズド情報の行き来で解像度を高める

-並行して専門家からのコメントを24時間以内に得られる『FLASH Opinion』も活用いただいていますが、『SPEEDA』とどのような使い分けをされていますか?

泉:まずは『SPEEDA』で、ある程度網羅的に理解して、より解像度を高めるために『FLASH Opinion』を使っています。ある程度の肌感を掴んだあと、さらに『EXPERT Interview』で専門家にインタビューを行って補完するときもあります。そして、方向性が見えてきたところで『SPEEDA』に戻ったり、企画の実現性を見るために『FLASH Opinion』を再度使ったり、検証の輪をぐるぐる回しています。とくに『FLASH Opinion』は手軽に使いやすい上に、負担感のない料金体系で重宝しています。24時間以内に、多いときは20名近くから回答を得られるので、内容に濃淡はあれど、どのような立ち位置の方がコメントをしているのかを把握できることは、仮説の立案や検証の時間短縮に、非常に役立っている実感があります。

-今回、『FLASH Opinion』を活用した新規事業企画の具体例をご用意いただきました。泉さん、ご紹介いただけますか。

泉:インテックでは広域仮想ネットワークサービスからマルチワイヤレス技術を用いて、ケーブルや端末、空間や場所などに制約のない環境を創出し、お客様の課題解決を支援する新しいソリューションの企画に、事業部門とともに取り組んでいます。

その中の一つ「ダイバーシティ&インクルージョン」分野の事業企画の際に、『FLASH Opinion』を活用しました。

例えば「働き方改革について、各企業が何を課題にしているのか」という問いを投げたときには、24時間以内に10名から回答をいただきました。

設問設計について、こういうことを聞きたいのだけど伝わるのか、そもそも設問文をうまく作れないときには、『SPEEDA EXPERT RESEARCH』の担当の方からアドバイスをもらっています。インタビューやヒアリングに長けていないメンバーでも、確度の高い回答を得られるためとても助けられています。また、質問に対して補足説明欄が設けてあるのも安心です。課題の解像度を上げるのに十分な情報をテキストで回答いただけることが、重宝している大きな理由です。

-『FLASH Opinion』にて専門家から得られたエビデンスは、事業構想を練っていく上でどのように使われていますか?

泉:事業構想段階では、回答者の立ち位置と回答内容の分析を、仮説の裏付けとして使うケースが多いですね。社内関係者の理解を促すには、企画テーマの社外有識者の意見は貴重です。回答内容から、さらに深掘りをしたほうがよさそうな事柄が浮かび上がってくることもありますので、事業構想のブラッシュアップにも使います。

3.『SPEEDA』お気に入り機能:「有報・適時開示検索」で上場企業の課題感を把握

-機能開発をどんどん進めているところですが、『SPEEDA』でよく使う機能やお気に入りがあれば教えてください。

泉:企業の有価証券報告書や各種開示資料を検索できる「有報・適時開示検索」ですね。有報は章立てが決まっているため「ページ単位での絞り込み」機能を使って検索します。例えば、事業リスクや経営課題だけに絞るとノイズが入らず、前後関係を読み解く中で関連するキーワードも見つかりやすくなります。公表ベースですが上場企業が何を課題としているか、何をリスクと言っているかがわかってきます。また、
『EXPERT Report』など他で得た情報と併せて検証していくような使い方もしています。

『SPEEDA』×専門家の知見って新規事業開発で何ができるの?-NEC編

1.『SPEEDA』導入の背景:新規事業のアイデアの元となるインプットを充実させたい

-次は、山田さんに『SPEEDA』導入に至った背景について伺います。

山田:ビジネスデザインの方法論にデザイン思考を組み合わせて新規事業を加速しようと思ったときに、まずはアイデアの元となる「インプットの量が必要」だと考えたのが『SPEEDA』の導入きっかけです。

さらに、一から伴走型支援をしてもらえたり、ある部分だけアサインできたり、顧客に応じた最適な形でサービス提供してもらえるのが有り難いですね。加えて、キーパーソンからの情報を得たい時に、セクションを経由しなくていいのは大きなメリットです。例えば、この領域について急ぎ、情報を得たいけれど、あそこの部署に確認しないと…という話は、どこの会社にも「あるある」ではないでしょうか。ダイレクトに一次情報を専門家から収集できると、社内調整をショートカットできて時間短縮になります。

2.専門家の知見活用:仮説に対して自分が確信を得るためにエビデンスを使っていく

-『SPEEDA』で得られるファクト情報と、『SPEEDA EXPERT RESEARCH』で得られる専門家の見解をそれぞれご活用いただいておりますが、事業開発においてそれらを有効に使うにはどうしたら良いかと思われますか?

山田:『SPEEDA』のオープン情報と、『SPEEDA EXPERT RESEARCH』のクローズド情報の二種類ありますが、やろうとしている新規事業の形態によるのではないでしょうか。常識を疑うようなサービスを検討するのか、既存のサービスに少し足りないものを反映していくのか。後者の場合、『SPEEDA』である程度仮説はつくれます。

-『SPEEDA』のオープン情報の活用の一方で、山田さんが実際に『SPEEDA EXPERT RESEARCH』で専門家の知見を活用されるのはどんな場面でしょうか。

山田:「この事業はどのような形態になっていくのか」「本当にそうなんだろうか」みたいな疑問を解き明かしたいときに『EXPERT Interview』を使います。ある意味「失礼なことを聞いても大丈夫」みたいなところもあるので、あえて顧客には質問できないことも聞いてみます。例えば「なぜ、このビジネスは上手くいかないのでしょうか?」と直球で質問をぶつけ、課題があって本当に難しいのか、実は解決方法があるのかなど感触を探ります。

そして心がけているのは、「エビデンスの使い方を間違えない」ことです。上司や顧客を説得するために使うだけでなく「自分がこの事業をやれるという確信を得るために、どう使うか」を優先した方がいいと感じています。仮説を持ってインタビューをしに行くイメージです。一方で、仮説にとらわれているのなら、仮説を前面に出して質問するという手もあります。
「とらわれなのか、こだわりなのか」を認識しながら調査やインタビューを進めていくのがポイントだと考えています。

-なるほど、ありがとうございます。私も何もわからないフリして聞いたり、「これでは売れないですよね」と自分の検証したサービスをあえて悪く言ったり、そうすると意外とざっくばらんに評価してもらえたりします。インタビューも、スキルが必要な世界ではありますので。

山田:そうですね。『SPEEDA』のサービスがそのように使えるのは、「失敗したくない」我々にとっては安心材料です。

3.『SPEEDA』お気に入り機能:「KPI検索」でスイートスポットを見つける

-山田さんが、特に『SPEEDA』でよく使われている機能や、お気に入りの機能を教えてください。

山田:SaaSのARRや解約率、ECプラットフォームのGMV(流通取引総額)やアクティブユーザー数などの重要指標が比較できる「KPI検索」をよく使っています。これだけを使うというよりは、記事と連動して活用しています。例えば、「脱炭素化の記事でよく目にする企業のKPI設定は実際どうなっているのか」を検索していくと、過去データも含め一覧で確認できます。業種業態の違いはあれど企業特性が見えてきますので、それを記事と併せて見ることで理解が深まり、さらにスイートスポットを見つけることも可能です。

今後の展望とメッセージ

-それでは最後に、今後の展望と事業開発に取り組む方へメッセージをお願いします。

泉:「天才一人に依存するよりも、チームで」と山田さんから冒頭にお話しがありましたが、我々も同じ思いです。今、一企業単独で何か新しいことを生み出すのはなかなか難しい環境にあるので、やはり「共創」がテーマになると考えています。『SPEEDA』を共通言語にして情報交換ができるといいなという期待感もありますので、ぜひインテックに「一緒にやろう」とお声がけいただけるとうれしいです。

山田:今年に入ってリモートからリアルに移行しつつありますが、これからリアルな活動に割く時間が増えていくと思います。何に時間を割いていくかが重要になってきますので、そんなときに『SPEEDA』などのサービスを徹底的に効率よく使うことで、このセミナーのように新規事業をやっている方たちとのコミュニケーションや、まさに「共創」に使う時間をつくっていければと考えています。

-本日は貴重なお話をありがとうございました。