「パイプジェン・マネジメント」とは? 案件を創出し続け、成果の再現性が高い営業組織をつくる考え方について解説
「営業の属人化」「勘と経験頼りの戦略」「変化する市場への対応遅れ」──。 多くのマネージャーが直面するこれらの課題を、パイプライン創出(案件の創出)にフォーカスし、仕組みとデータで解決する新しい営業マネジメントの手法が「パイプジェン・マネジメント」です。 このページでは、書籍『パイプジェン・マネジメント:マネージャーのための明るい営業戦略』で語られている「パイプジェン・マネジメント」の考え方について解説し、案件を創出し続ける営業戦略についてご紹介します。
『パイプジェン・マネジメント』の重要性
2025年11月10日、ユーザベースの上席執行役員 スピーダ事業CROを務める作田 遼による初の書籍『パイプジェン・マネジメント:マネージャーのための明るい営業戦略』が発売されました。セールスフォース・ジャパンで当時、最年少の営業部長に就任し、最強チームを率いながらも“連続未達”を経験した作田が、自らのマネジメントを根本から見直し、27カ月連続/7年連続目標達成を実現した「案件を創出し続ける」マネジメント手法を体系化した一冊です。
書籍では、パイプラインマネジメントの基本から「パイプジェン・マネジメント」を実践するためのモニタリング手法、プロダクトやステージ別の最適な戦略の選び方、そしてチームが一丸となってパイプライン創出にコミットするためのストーリーの作り方などについて解説しています。
パイプジェン・マネジメントとは何か? なぜ今この手法が重要なのか
営業組織の未来を担う新しい考え方について、4つのポイントを解説します。
Q1. パイプジェン・マネジメントとは具体的に何ですか?
A.
「パイプジェン・マネジメント(Pipeline Generation Management)」とは、案件を「管理する」のではなく、案件(Pipeline)を「創出する(Generation)」仕組みを組織的に実行するマネジメント手法です。案件創出を継続的に促進し、パイプライン全体の大きさとかたちをコントロールすることが重要です。
「パイプラインマネジメント」は商談の進捗管理という意味合いで使われることも多いですが、「パイプジェン・マネジメント」は、案件の「管理」とともに商談の「創出」も重視し、ビジネスを生むための戦略・プロセスまでをマネジメントの対象とします。
Q2. なぜ、パイプジェン・マネジメントが重要なのですか?
A.
すでに動いている案件のプロセス管理だけでは、成果を出し続けるのが難しいためです。
目標予算を達成し続けるためには、プロセスの管理はもちろんのこと、パイプラインに十分な案件を投入し続けること、すなわち「案件の創出」をマネジメントすることが不可欠です。パイプライン創出の重要性はわかっていても、パイプライン創出の管理を適切にマネジメントできている営業組織は多くはありません。
質が高く、適切な量のパイプラインを投入し続けてこそ、パイプラインマネジメントが機能すると言えます。
Q3. 営業マネージャーにとって本質的に重要なことは何ですか?
A.
自身も成果を創出し続けることに苦しんできた作田の経験と分析を踏まえれば、営業マネージャーの本質は「ビジネスを創ること」と「ビジネスを前に進めること」だといいます。
新規開拓、アカウントプランの作成、パートナーチャネルの活用など多種多様な営業手法の目的は、いずれも「新しいビジネスをどう創るか」に集約されます。言い換えれば、多くの営業戦略は「パイプラインに案件を投入する」ための活動です。
営業マネージャーにとって重要なことは、チーム全体で案件創出をマネジメントし、「ビジネスを創り続けること」です。それは良質なパイプラインを生み出すためのアクションと試行錯誤を徹底し、パイプジェン・マネジメントに力を注ぐことでもあります。
Q4. 書籍『パイプジェン・マネジメント』では、具体的にどのような戦略が紹介されていますか?
A.
本書では、案件創出を仕組み化するための具体的な戦略が多数紹介されています。主なものとして、以下の3つが挙げられます。
- 未来を予測する「早期警告システム」の構築:
- 案件を時間軸で「Day 1 パイプライン」と「期内発掘パイプライン」に分け、3カ月以上前から戦略的なテコ入れを可能にするモニタリング手法です。「Day 1 パイプライン」とは、四半期の初日に存在する商談のことを指します。一方、「期内発掘パイプライン」とは、この四半期で生まれた商談のうち、期内に受注見込みの商談のことを指します。「Day 1 パイプライン」は前四半期までの「仕込み」の成果であり、「期内発掘パイプライン」は営業チームの「即効力」を測るものです。これらをモニタリングする早期警告システムを構築することで、期末の数字合わせに追われるのではなく、先を見越したマネジメントが実現します。
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再現性を生む行動パターンの仕組み化:
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トップパフォーマーの行動を分析し、「カタログセリング」「ユースケースセリング」「プロジェクトセリング」の3つのセリングスタイルを定義。スタイルに応じた行動量と質を設計することで、チーム全体のパフォーマンスを底上げし、成果の再現性を高めます。
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- 実行の強度を生み出すストーリーテリング:
- どんなに優れた戦略も、現場のメンバーが納得し主体的に動かなければ成果につながりません。メンバーの「腹落ち」を促し、戦略を現場で徹底させるための対話術・ストーリーテリングの手法を解説しています。
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出版の背景や著者による詳細なコメント
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【近日公開】NewsPicksトピックス
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>『パイプジェン・マネジメント』について解説するコラムを始めます。
※連載が始まり次第、お知らせいたします。
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『パイプジェン・マネジメント』を加速させる営業組織におけるAI活用の実態と未来「営業AI白書 2025」
営業マネージャーが日々多忙を極める中、ハイパフォーマーの思考や提案方法をどうインストールし、生産性を高めるのかも重要になってきています。ハイパフォーマーの手法を組織に実装するためにひと役買えるのが、AIの存在です。中には、AIを「営業マネージャーの分身」として活用するケースも出てきました。
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