事業開発・計画策定のお悩みに 知見活用リサーチで事業づくりの「見えない壁」を突破する(前編)
「事業づくりがなかなか進まない」「時間がかかる」「意思決定のしようがない」といったお悩みをお持ちの方は、多いのではないでしょうか。 事業づくりには、なぜ進まないのか、どうしたら進むのかをわからなくする「見えない壁」がいくつも存在します。
こうした状況には、各業界・領域のエキスパートの知見を活用するリサーチ手法が非常に有効です。
この記事では、大きく2種類に分けられる「見えない壁」を突破する想定ケースをご用意し、私が知見活用リサーチを実際におこなった過程を、解説を交えてお見せしていきます。
Speaker
中川さん
MIMIR 執行役員 百貨店からコンサルティングファーム、広告代理店 などで新規事業開発支援やリサーチを10年以上経験
現在はマーケティング部門を管掌。
6つのよくある「わからない」
事業開発や計画策定は、新しい価値を作り出す行為です。少なからず自分たちにとって新しい、未知の領域を開拓していく必要があります。
よって、事業づくりは必然的に「わからない」の連続になります。
実際に、私たちのお客様や事業づくりのエキスパートの方々の声を集めると、次の6つの「わからない」に、とくに多く直面することがわかりました。
- 機会探索:自分たちにとっての機会がどこにあるかわからない
- 市場調査:土地勘のない市場の構造やトレンド・喫緊の課題がわからない
- 市場調査:ターゲット市場の市場規模推定のやり方がわからない
- 仮説立案:顧客が真に何を求めているのか(真のペイン)がわからない
- 仮説検討:新興市場・新技術における市場構造や参入障壁がわからない
- 事業評価:スモールスタートで参入したあと、うまくいかない理由がわからない
2種類の見えない壁
こうした課題を、どのように解決していけば良いでしょうか。まず、「わからない」状態の原因は、大きく2種類の「見えない壁」に分けることができます。
A)情報が玉石混交に存在し、「どこに焦点を当てて調べるべきかわからない」
① 機会探索:自分たちにとっての機会がどこにあるかわからない
② 市場調査:土地勘のない市場の構造やトレンド・喫緊の課題がわからない
⑤ 仮説検討:新興市場・新技術における市場構造や参入障壁がわからない
B)調べても調べても「どこにも情報がない」
③ 市場調査:ターゲット市場の市場規模推定のやり方がわからない
④ 仮説立案:顧客が真に何を求めているのか(真のペイン)がわからない
⑥ 事業評価:スモールスタートで参入したあと、うまくいかない理由がわからない。
この2種類の「見えない壁」を突破するには、知見活用リサーチが有効です。
本記事シリーズでは、2種類の「見えない壁」を、それぞれ突破するために、以下のような想定シーンをご用意し、私が知見活用リサーチを実際におこなった過程を、解説を交えてお見せしていきます。
【置かれている状況】
今年4月から中計のコアである新規事業創出を任された若手の中川。
長年、リサイクルにおける流通の効率化に従事してきたが、外部環境変化のなかで事業成長を図るには、非連続な成長を生み出すことは必至。
役員からは、「昨今注目されているケミカルリサイクル、素材のサーキュラーエコノミーのバリューチェーン全体から新たな事業を考えよ」と言われたものの・・・
どこに事業機会があり、その中でもどこにインパクトがあるかまったくわからない状況。
果たして、中川は会社の命運を握る新規事業を生み出すことはできるのか!?
【実際に調査する2つのケース】
CASE1:新規事業の機会探索 (素材・化学業界を想定) ←今回はこちらを解説します。
CASE2:計画策定のためのターゲット市場の市場規模推定
事業機会が「どこにあるかわからない」を突破する
「事業機会がどこにあるかわからない」という状況は、「どこに焦点を当てれば機会が見つかるかわからない」という見えない壁が原因です。よく聞く声には以下のようなものがあります。
こうしたケースには、知見活用リサーチが非常に有効です。
早速、素材・化学業界における、「カーボンニュートラルによるサーキュラーエコノミートレンド」という環境下での機会を、実際に探索してみましょう。
まずは、SPEEDA EXPERT RESEARCHのFLASH Opinionを使って、事業機会の切り口をクイックに洗い出します。
FLASH Opinionとは?
24時間以内に、5名以上のエキスパートから1問1答形式で見解を収集できるサービス。
実際におこなった質問がこちらです。
この質問におけるポイントは以下のとおりです。
①SPEEDAなどを活用したデスクトップリサーチで簡単に業界構造を把握し、事業機会や業界/顧客課題を単刀直入に聞いてみましょう。(難しく考えたり、遠慮しなくて大丈夫です!)
②切り口としては、「バリューチェーン/プロセス」「他業界の同テーマ」「他業界の同機能(営業/マーケなど)」「技術/シーズ起点であれば、顧客側に立った便益での問いかけ」など幅広く聞いてみましょう。
③対象は「特定業界/領域のエキスパート」と「コンサルタントやアカデミックなどの幅広く支援しているエキスパート」の両方から得るのがおすすめです。
FLASH Opinionで集めた知見の簡単な「眺め方」
FLASH Opinionで質問した24時間後には、6名のエキスパートから計3,200字の回答が集まりました。
はじめに、回答から知りたい「事業機会」にあたる部分を抜き出します↓
この回答から、今回明らかにしたい内容に則して「メーカーの技術革新以外での事業機会」として、次のことを見出すことができます。
❶「製造業の中でも、サプライチェーンの中で素材調達部分の成熟度が他業界よりも劣っている業界は、戦略構築やSCMに事業機会がある可能性」。
❷「川上の素材メーカーと協業し、自社のリサイクル流通網と最適化ノウハウを掛け合わせることで素材提供のバリューチェーンをアップデートできる可能性」。
❸「やはり、石油由来と比較した際の価格上昇に対するエンドユーザーの許容度は重要論点。炭素税のような法規制以外に何か深掘りできるところはあるか?品質維持に関してもメーカーとして具体的にどのように解決しようと考えているのか?そこに大きな事業機会がありそう」。
❹「業界としては、金属スクラップ再生、PET/プラ→特に用途先市場として食品や建設、自動車、家電、劣後するが電池関連(特にリチウム等の再生材活用)などがありそう。
❺「欧州の先進事例をベースに、国内の法規制の動向を予測しつつ、埋まらない従来素材との価格差を価値に変えるブランディング/マーケティングにも可能性はあるか」。
❻「一方で、植物由来原料がメジャーになった際の大規模伐採が本末転倒とは確かに。コスト削減のためのアジア・アフリカからの環境を無視した調達など、元原料の調達やそこの環境整備、トレーディングにおける事業機会もあるか」。
このように、回答を眺めながら、欲しかった情報や関心のある情報に、少しずつ焦点を合わせていきましょう。
ここまでの調査(FLASH Opinion)で、事業機会の可能性や市場の概観が見えてきました。「どこに焦点を当てて調べるべきかわからない」状態が一歩進んだと思います。
次回は、さらに事業機会を絞り込み、深掘りするために、回答いただいたエキスパートの中から、1名の方にインタビューをおこなっていきます。
【参考資料】エキスパートネットワークサービスと他の調査手法の違いを解説
「SPEEDA EXPERT RESEARCH」は、 ビジネスの「知りたい・わからない」ことを、確かな経験をもつ最適なエキスパートから知見を獲得できるサービスです。変化の激しい時代の中、新たな事業開発や経営計画は未知で不確実な事柄を絶えず調査する必要があります。
調査手法のひとつとして、なぜいま外部知見の活用が求められているか、資料としてまとめています。ぜひご活用ください。
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ご利用シーン
- オープンソースでは得られない、業界市場の深い情報・知見がほしい
- 戦略策定や参入検討において、業界市場の将来性を把握したい
- 新規事業アイディアや仮説に対して、フィードバックがほしい
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