#新規事業開発 2024/7/22更新

3C分析を使って新規事業を考える方法

3C分析を使って新規事業を考える方法 3C分析を使って新規事業を考える方法

新規事業を考えるときには、いきなり事業アイデアを考え始めるのではなく、現状を分析し、課題を整理したうえで、その解決策として立案するのが理想的です。

単なる思いつきで始めてしまうと、事業の成否以前に、社内の審議を通過できない可能性が高くなってしまいます。

今回は新規事業の立案に役立つ、「3C分析」についてご紹介します。

3C分析とは

3C分析とは、Company(自社)、Customer(顧客)、Competitor(競合)の観点から分析をおこなう手法です。要素がシンプルなため、新規事業立案につなげやすいという特徴があります。

3C分析の進め方

新規事業を考えていくためには、まず「自社の強みは何か?」「既存顧客の課題は何か?」を整理することから始めましょう。

自社の強みが整理できれば、既存技術・サービスを応用して新規顧客の開拓が可能になり、顧客課題が整理できれば、既存の顧客基盤を活用したサービス・製品範囲の拡張が可能になります(下図マトリクス参照)。

前者の「自社の強み応用型」で事業を展開するか、後者の「既存顧客の課題解決型」で事業を展開するかを考えたうえで、3C分析の3つ目「競合」の分析をおこない、新規事業の戦略を組み立ていきましょう。

自社の強みを整理する

企業の強みにはさまざまな要素がありますが、代表的なものを挙げてみます。自社の強みがどの項目に当てはまるかを考えてみましょう(強みは複数でも可)。

新規事業で“自社の強み”が重要な理由はなんでしょうか?

「強み」とは他社が簡単に模倣できないものであり、それを使うことで競合に勝ちやすくなる要素です。逆に「強み」を活かさなければゼロベースで競争することになり、苦しい戦いが予想されます。

たとえば、化粧品会社は毎年巨額の広告費を投下しており、その蓄積がブランド力や認知度につながっています。異業種の企業が同じ立ち位置に立とうとしても、一朝一夕には実現できません。

また、人材力を大きな強みとする企業もあります。

曖昧な要素ではあるものの、現実問題として、有能な人材の確保にはコストと時間を投下する必要があり、これもすぐには模倣できない重要な要素といえます。

さらに人材育成を「仕組み化」できていれば、再現性や将来的な持続可能性も高く、より大きなアドバンテージとなるでしょう。

顧客の課題を整理する

次に顧客の課題を整理するために、代表的なものを挙げてみます。

最もよく挙げられる顧客課題は「変化への対応」ではないでしょうか。

とくに「新たなテクノロジーへの対応」には危機感を持つ企業も多く、課題を解決できるサービス・製品の訴求力が高まります。

業務効率化/経営効率化なども多くの企業が課題としており、代表的なものとして、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務改革やサービス改善などが挙げられます。

業界動向を知ることで、顧客課題の解像度を上げる

顧客の業種が特定できる場合は、該当する業界の動向や課題を調査することで、顧客課題をより具体化することができます。

たとえば、外食産業では、人手不足が深刻な一方、人件費を大幅に上げられない実態があり、自動化・省力化施策へのニーズが高まっていると仮説を立てることができるでしょう。

課題の種類を把握し、戦略を考える

また、課題の課題を以下3つのパターンに分けて考えることで、より有効な戦略を立てることができます。

昔から顕在化しているが、解決手段がなかった課題の場合、新たなテクノロジーの活用により解決できる可能性があり、技術開発がキーとなります。

社会の変化により、最近顕在化した課題や企業/消費者自身も自覚していない潜在的な課題の場合は、いち早くサービスを提供することが競争優位性につながります。

競合の動きを把握する

最後に、競合の動きを把握したうえで、自社の目指すべき方向性(戦略)を立てましょう。

たとえば、自動車業界では、トヨタ自動車は既存の競合であるVolkswagenだけでなく、広義ではTeslaやUber Technologiesとも競合します。将来はより直接的に市場シェアを奪われる恐れもあり、課題の1つと言えるでしょう。

複数事業を展開する企業の場合は、どこに焦点を置くかで結論が大きく異なります。

そのため、事業ごとに課題を整理し、全社戦略を見据えたうえで、新規事業を検討することも有効です。

たとえば、富士フイルムホールディングスの利益貢献事業は、プリンタ・複合機を展開するビジネスイノベーション事業からヘルスケア事業に移りつつあることがわかります。

またビジネスイノベーション事業では、印刷自体よりも生産性向上への寄与を提供価値とする方針です。

新規事業を考える

「自社の強み」「顧客の課題」を整理し、「競合の動き」を把握したうえで方向性が決まったら、いよいよ新規事業の具体的な検討に入ります。

自社の強みから新規事業を考える

1つ目に、自社の強みから新規事業を考える方法をご紹介します。

代表的なものでは、自社の強みを横展開できる市場、つまり既存事業で提供している価値が同様に発揮できそうな分野を探す手法があります。

その他、中期経営計画などで強化しようとしている領域から考える方法や、テクノロジー起点で自社の強みと相乗効果が見込めそうなものを探す手法などがあります。

顧客課題から新規事業を考える

2つ目に、顧客の課題から新規事業を考える方法をご紹介します。顧客の課題とはすなわちニーズです。

①誰の ②どんな課題を ③どうやって解決するのか を考えていくことで、新規事業の種とすることができるでしょう。

とくに事業計画の承認を得るうえで求められることの多い「今、自社が取り組むべき理由」は、③のテクノロジーや差別化要素を深堀りすることで見えてきます。

その他のパターンから新規事業を考える

上記2つのパターン以外にも、市場や自分起点で新規事業を考えることが可能です。

まず、既存の企業がカバーできていないニッチ市場(隙間市場)を探す方法。

ただし、ニッチ市場はスケールが見込めないため、自社の既存資源を活用するなど低コストで展開可能なことが条件となります。

また、自分や身近な人が欲しい製品・サービスを考える方法も有効です。

ただし、事業として成立させるためには、「今、自社が取り組むべき理由」があること、収益性や一定の市場規模が見込めることなどが条件となります。

新規事業は仮説と検証の繰り返し

以上のように、基本の流れは調査(自社の強み、顧客の課題、競合の動き)→新規事業立案となりますが、実際には仮説と調査・検証を繰り返すことになります。

その過程で当初とまったく違う事業案になることも珍しくなく、「PoC(Proof of Concept:概念実証)」の段階で、大幅な軌道修正を迫られることもあるでしょう。

しかし当初の案を磨いていくことで、より事業の成功確率が高まるため、恐れずに取り組んでいただきたいと思います。

【ご参考資料】

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