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【経営企画/仕事のお悩み編①】メンバーのスキル・経験不足の実態は?

【経営企画/仕事のお悩み編①】メンバーのスキル・経験不足の実態は? 【経営企画/仕事のお悩み編①】メンバーのスキル・経験不足の実態は?

スピーダでは、2023年7月に「経営企画担当者102名」を対象とした、アンケート調査をおこないました。本シリーズ「経営企画解体新書-仕事のお悩み編-」では、アンケート調査をとおして得られた、経営企画担当者のリアルな声をお届けしていきます。

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日本の経営企画部の理想と現実2023

調査概要

調査期間 2023年5月31日~6月7日
調査手法 サーベイ
有効回答 102件
調査対象 企業の経営企画担当者

3行サマリー

✅ もっとも多い課題は「メンバーのスキル・経験不足(21名/102名)」
✅ 課題の根本原因には「人・業務・組織」の問題がある
✅ 状況を変えたいと思いつつ、リーダーが自ら手を動かし・忙殺されている

経営企画担当者102名の共通課題


経営企画担当者102名への質問で「業務における特に強い課題」を聞いたところ、もっとも得票数が多かった課題は「メンバーのスキル・経験が足りない」となりました。

経営企画・仕事のお悩み……その実態は?

この課題「メンバーのスキル・経験が足りない」にはどんな背景があるのか、所属する経営企画部はどんな状態にあるのか、実際の回答をいくつかのCASEに分けてご紹介します。

実態①メンバーが未経験またはジュニア

企業内に1つしかない経営企画。それゆえ、世の中を見回しても経営企画の業務経験を持ったビジネスパーソンは少ないようです。未経験ゆえに経営企画で必要とされる専門性やジェネラルな知識がなく、成熟した組織になりにくいという実態がありそうです。

◼️不動産業界・40代
業務未経験者が着任することが多く、中途採用しようにも業務経験や業界経験者が少なくフィットしづらいため、
未経験者ばかりの部署になってしまう。そのため、プロとしての業務深掘りが未達しがちで、将来的な課題となっている。
たとえば、開示作業の場合。現在の業界の立ち位置や会社の業務分野について、部内の社員が勉強不足で対外的に説明できない。
そのため、株主等から不満がきている。その対応に部署の経験者等が忙殺されているので、長期的な企画業務ができない状態。
◼️不動産業界・50代
経営企画経験者を中途で採用しても、必要な知識を持っていない、経験していないことが多い。
たとえば、大手コンサル企画コンペで優勝していたが、EXCEL関数が満足に使えない、
トレーダー経験者だが金融環境のトレンド分析ができないなど、広い業務範囲に対して未経験かつ素人が多い。
新規知識が必要な場合でも自ら調査研究してくる人材が少ない。会社では調査研究の費用をなかなか認めてもらえない。
◼️小売業界・60代
前職メンバーとの比較になってしまう面も多々あるが、現メンバーは基本的な知識・知見・能力が著しく低いと感じている。
具体的には、財務諸表の理解力が低い、担当業務の主体性がない、
業界全体の動向・動向に基づくSWOTが認識されているとは言いがたい。
教育に注力しても、年齢的に成長を期待するのは難しいと思料している。
現会社のレベルを事前に理解していなかったのは自らの責任であるが、
結局は自分自身で多くの業務を遂行するほうが効率的な状況となっている。

実態② 戦略・企画業務の専門性に欠ける

経営企画は経営と現場を繋ぐ旗振り役。それゆえ、戦略的な議論や新規事業企画など、戦略・企画業務の専門性が求められることが多いようです。一方で、これらのスキル習得は難易度も高く、企業の変革をリードするうえでのボトルネックになるケースも少なくないようです。

◼️小売業界・40代
人材として、現場経験は豊富でも企画業務の経験がない方が多く、戦略的な議論や提案ができない。
また、基本的に幹部の御用聞きやイベントなどに忙殺されることも多く、本質的な企画業務をおこなえる時間が少ない。
さらに、経営企画として基本的な知識レベルを上げることに時間がかかる。
戦略的な分析、財務観点からの分析だけでなく、法務(会社法)など多岐にわたる知見を持っている人はほぼいない。
そのことが各部門との連携においても円滑に行えないことにつながっている。
◼️シンクタンク・30代
新規事業開発の立ち上げ経験者が少なく、マイルストーンの、置き方や進捗にずれが生じることで、
ローンチまでの時間が必要以上にかかることや、必要な分析が遂行できず事業機会の損失が多い。
同様の領域の競合も同じような新規事業は検討しており先行優位性を気づくためにはスピード感が大事だが、
論点を全て潰した上でないとゴーサインが出ないため、人材がいればスピード感を持って実施できると感じる。
スキル面では経営層への提言の際にストーリー展開をかける人が少なく、納得させるような資料になっていない。
◼️電気機器業界・40代
経営企画部は、事業が問題なく進んでいる場合は、事業への支援活動や伴走活動、定常的な業績管理がメインとなる。
そういったスキル・経験を持つメンバーは比較的多い。
一方で、事業のポートフォリオ転換や、特定事業の立て直し、変革推進となると、
事業部以上に事業を俯瞰的に捉える視点や経験が必要。
こういった人財は限られており、変革を推進する際のボトルネックとなりやすい。

実態③ 組織が“アナログ”から脱却できない

世の中の「当たり前」が変化していけば、新たな知識やスキルが必要とされます。テクノロジーや社会情勢の変化が激しい今のビジネス環境において、そのような新常識を習得する必要性が高まっています。一方で、大きな企業であればあるほど、過去の成功体験やプラクティスを変えるのが難しいのも事実。企業でもDXが叫ばれAIが台頭する時代に、このようなカルチャー変革やスキルの習得に難しさを感じている経営企画も多いようです。

◼️不動産業界・40代
本件はスキル・経験不足のみに起因するわけではなく、上位下達な企業カルチャーに根本的な原因があるかもしれない。
体系的な知識の把握がままならず、結果として、当該分野に精通しているわけではない役員の勘にもとづく発言に対して、
言われるがままに対応してしまい、その帰結として手戻りが発生するなどの混乱が生じてしまう問題がある。
◼️専門商社・60代
当社は中堅の専門商社かつオーナー企業として、創業90年を超えるものの順調に成長を遂げてきた。
そのため、危機意識が低く、「既存の事業を維持すれば安泰」という意識がミドルマネージャーに染みついている。
経営陣・経営企画は社外からの採用がほとんどで、ミドルマネジャーの停滞感を生む要因となっている。
会社の将来的発展や新たな事業を考える有望な次世代人材が育成できていない。
◼️小売業界・50代
本部社員・店舗社員のITリテラシーが低すぎてIT化・DX化がいっこうに進まない。
慢性的な人手不足により社内・店舗からのシステム担当要員の調達も思うように進まず、
外部から適切なスキルを持った人間の採用もうまくいっていない。
社内で基本的な言葉・用語が通じないことも多く、
日常的に発生するネットワーク障害、店舗機器故障、パソコン操作、
メニューマスター不備にかかる問い合わせにかなりの時間を割いている。
BPOセンターなど、外部に委託することも検討しているがコストが合わず二の足を踏んでいる。

実態④ 育成環境がととのっていない

上述してきたように、経営企画の仕事はジェネラリストとしての守備範囲の広さが求められる一方で、戦略・企画業務においては高度な専門性が求められます。そのような人材はなかなかおらず育成が急務なようです。一方で、経営企画の仕事はどんどん広がっていくという実態や、会社の人事ローテーションで育成が進んできた人材を他部署へ輩出せざるを得ない実態もあり、継続的な育成環境を整えるハードルは高そうです。

◼️小売業界・40代
「経営企画」という業務・所管部署のミッションについて、社内において“確たるコンセンサス”がないまま、
業務スコープが広がる一方であることに起因している。
そのため、部員に求めるスキルセットやビヘイビアを定義できないまま、パッチワーク的に体制を補強しているのが実情。
いわゆる「基本動作」としての年度予算の策定、月次のモニタリング、予実差異が生じた場合の対応などを身に着けてもらい、
あとは日々「応用問題」を解いてもらう。というより泥縄の対応をしているため、育成も何もあったものではない。
◼️食品業界・40代
現所属企業の場合、経営戦略の骨子を策定するのは経営層であり、役職・階層が比較的上の方々でも、
作業をする側に回ってしまっている傾向。
早期段階から、戦略を策定する経験が積めず、人財が育っていない現況にある。
また、経営企画人材の育成もしていないため、ローテーションにより、約3年でほぼすべての人財が他部署へ異動となるため、
強固なノウハウ・知見が蓄積されていない。
◼️エンタメ業界・50代
現在、経営企画部門として、俯瞰して経営課題を見る力と経営課題を具体的な解決策に落とし込み、
ステップを踏んで、実行していく力が求められます。
しかし、メンバーは目の前の業務(KPI管理や予実管理)に忙殺され、会社全体からの戦略的視点がなく、
タスクの優先順位が付けられていない状態です。また、経営サイドへの提言力、社内に向けた発信力も物足りない状態です。
メンバーのスキル不足・経験不足については、採用力の強化と人材育成システムの再構築が必要と考えています。
とくにメンバーの人材育成については、危急の課題となっています。

【ご参考資料】

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