#経営企画 2024/7/23更新

【経営企画/仕事のお悩み編②】多忙で時間が足りない原因は?

【経営企画/仕事のお悩み編②】多忙で時間が足りない原因は? 【経営企画/仕事のお悩み編②】多忙で時間が足りない原因は?

経済情報プラットフォーム「スピーダ」では、2023年7月に「経営企画担当者102名」を対象とした、アンケート調査をおこないました。本シリーズ「経営企画解体新書-仕事のお悩み編-」では、アンケート調査をとおして得られた、経営企画担当者のリアルな声をお届けしていきます。

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日本の経営企画部の理想と現実2023

調査概要

調査期間 2023年5月31日~6月7日
調査手法 サーベイ
有効回答 102件
調査対象 企業の経営企画担当者

3行サマリー

短期目標の達成や課題解決が重視される傾向がある
形式的な資料作成や報告業務に追われてしまう
✅ 経営企画部が少人数でリソースがひっ迫している

経営企画担当者102名の共通課題

経営企画担当者102名への質問で「業務における特に強い課題」を聞いたところ、第2位は「新たな価値を生み出すための検討・施策に時間を割けていない」、第3位は「短期的な業務に忙殺され中期的な戦略を練ることが難しい」となっています。

そのほか、「形式的な資料作成に時間がかかり過ぎている(6票)」もふくめると、「短期的な業務への忙殺」による「戦略立案の時間不足」に課題を抱える担当者が多いことがわかります。

「短期的な業務への忙殺」はなぜ起こるのか

この2つの課題にはどんな背景があるのか、所属する経営企画部はどんな状態にあるのか、実際の回答をいくつかのCASEに分けてご紹介します。

原因① 組織として中長期ビジョンを持てていない

変化がはげしく、不確実性の高い環境下で成長をつづけるためには、組織のありたい姿を描き、中期経営計画を策定。具体的な事業計画・行動目標に落とし込むことが重要です。この視点が抜け落ちると、目の前の売上目標や課題解決にフォーカスせざるをえない状況に陥る傾向があるようです。

◾️サービス業・30代
中長期の業績目標があるものの、社会的意義やパーパスの言語化が追いついておらず、単年度ごとの業績・PBTに主眼がある状態。
今後のメガトレンド分析から競合分析・自社のポジショニングの策定などの中長期戦略や、
それを遂行する投資計画に対して時間を割ききれず、
短期的な業績モニタリングに傾倒している状態となっている。
中長期のPJを立ち上げても、直近の課題が優先されなかなか長期目線に立った戦略立案・実行をやり切れていないジレンマがある。
◾️電機メーカー・50代
事業目標が前年比増でしかなく、事業環境を考慮した戦略に結びついてない。
そのため、毎週・毎月の目標達成との乖離を埋めることのみが経営の関心事である。
その原因は、親会社の評価制度である。評価尺度が前年比売上や利益が増加しているかのみであり、
経営の質や企業価値の向上とは関係がない。
経営者は将来的なビジョンを描かず、ミッションやコアバリューもあいまい。社員には自主自律を求める。
◾️建設業界・40代
目の前の経営施策の実行に全力を掲げ、中長期的な課題に目を向ける時間が削減されている実態がある。
これは、経営企画や事業本部などだけの課題ではなく、取締役、執行役員といった経営幹部にも該当する。
大きな理由としては、喫緊の解決すべき経営課題が次から次へと発生するため、
その課題解決への打ち手を検討し、実行することに集中せざるを得ない状況。
また、単純明快な課題ではなく、要因が複数の組み合わせによる複雑な課題がほとんどで、経営判断の難しいものが多いと考える。
◾️出版業界・30代
弊部では今年度(22年7月〜23年6月)策定した長期ビジョンと挑戦的なKGIの実現に向けて、
新たな価値を生み出すための戦略会議体を創設し、役員・本部長による新たな価値を生み出す戦略の検討の場を用意しました。
しかし、当事者達の知識スキル不足や事務局のファシリテーション力不足、お互いの事業に干渉し合わない悪しき組織風土もあり、
十分な検討に至りませんでした。とくに本部長レベルですら、特命案件の主体者としてプレイヤーの動きを担っており、
短期業績の責任のプレッシャーから、目の前のことばかり考えており、
中長期的な価値創出のための深い思考をできていませんでした。

原因② 業務範囲が広い・作業量が多い

原因①のとおり、経営層の関心が「短期的な売上目標の達成・課題解決」にフォーカスされると、経営企画部は「細かな進捗報告」のための資料作成や会議の準備に多くの時間を割く必要があります。

ただでさえ経営企画部は経営と現場をつなぐハブ機能を担っています。多種多様なステークホルダーマネジメントを求められ、Role&Responsibilityが曖昧な仕事を拾っていく必要があるため、短期的な課題解決に向けた細かな進捗報告は、中長期思考を妨げる大きな壁になっています。

結果的に、重要な中長期の戦略・施策の検討は、外部のコンサルタント任せになっている組織もあるようです。

◾️金融業界・30代
業務量はもちろんだが、それぞれが別個の業務であり、関連性がないためにマインドシェアを非常に多く割かれてしまっている。
実際にはもっと事業や経営、会社を前に進めることに集中的に検討をする時間を設けたいのだが、それが叶っていない。
カレンダー上の予定をblockして、集中して検討する時間を設ける試みもするが、
緊急性の高いMTGやタスクにより、予定をかぶせられてしまうことがほとんどである。
◾️菓子業界・50代
各種報告資料(月次・年次)の作成や、会議体の運営、予算策定業務、部門間調整など、多岐にわたる担当業務に忙殺され、
クリエイティブな領域に考えを巡らせる時間的な余裕がない。
また、現場・現地への往訪の時間を作り出すことも難しく、情報採取が報告書や会議体などから得る二次情報になり、
現場のリアルにアップデートできていない。
◾️保険業界・30代
一度策定した経営計画の進捗管理や親会社に対する報告、細かな社内庶務や部署間の調整業務に追われ、
腰を据えた中長期的な会社の方向性や戦略について議論する環境にない。
とくに経営企画部はどの部署にも属さない課題を、部署横断的に調整をおこなう部署との意識が強く、
その調整業務や調整結果のレポーティングに追われている状況。
中長期的な戦略は役員層がコンサル等から入手した外部インプットにより、トップダウン的に下りてくるものであり、
ボトムアップで情報を取りに行く姿勢も非常に薄い。
よって、外部へのアンテナが低く、内側の論理に傾いた施策支援をおこないがちとなっている。
◾️電力業界・30代
上長、役員への報告資料作成に多大な時間がかかり、本来時間を割くべき業務に時間を割くことができない。
とくに資料は従来から決まった形式・トーンで作成する必要がある。
せっかくキャリア採用などで外部の意見を取り入れようとしても活かすことができず、資料作成要員化している。
また、経営層はコンサル信仰が強く、自社の社員だけでは意思決定のためのプロセスを踏むことができず、
コンサルを介する必要がある。
必ずしもコンサルの力が必要ではないのにも関わらず、このようなプロセスを踏む必要があり、
形だけにこだわり過ぎていると感じることが多々ある。資料作成の簡素化(形式にこだわり過ぎない)、
必要なプロセスの見直し(本当に必要なものは何か)が課題であると思う。

原因③ 少人数体制/専任がいない

短期目標へのコミット、多岐にわたる業務をこなしながら、戦略や施策検討に時間を割くことは簡単ではありません。加えて、「少人数で対応している」「専任がおらず兼務している」経営企画部が多い実態も明らかとなり、業務効率化に取り組む必要があることがわかりました。

◾️情報通信業・30代
そもそも経営企画の専任がおらず、経営管理部長として経営企画を兼務している状況。
人事制度策定、総務、法務、内部監査対応、情シス、財務経理周りも兼ねながらの状況のため、
経営企画としては全般的な部門間の間隙に落ちるポテンヒット課題を拾って何とかする役割に加え、
予算策定と月次決算報告、KPI管理程度がせいぜい。
中期経営計画の策定にはそもそもの市場環境の調査や競合と比べた際の自社の強みや市場機会の把握などが必要なものの、
頭を使う以前の基礎的な調査や考えをまとめる深い思考の時間を取ることができないことが課題です。
◾️情報通信業・20代
当社の経営企画では、新規事業のマーケティングや営業を含め、さまざまな分野に少人数で対応しております。
エンジニアがメインの会社であるため、人材採用予算も限られており、少人数で業務を回していることから、
本来の業務である中長期的な経営課題の解決や新しい取り組みに注力できていないことが課題となっている。
また、他部門担当の役員をはじめ、経営企画の知識や経験がないにも関わらず直感で意見を出し、
否定/肯定する際はエビデンスを出すように指示が出てくるため、その調査や分析にもリソースを割かれており、
業務が増えている原因となっています。
◾️金融業界・60代
現在のマンパワーでは定型業務を含め、日々の業務をこなすだけで精一杯の状況。
今期は現中期経営計画の最終年度であり、
現中期経営計画の進捗状況をふまえて、
次期中期経営計画の策定準備にもある程度のウェイトをかけていかなければならない時期に差し掛かっている。
現在の業務を選択と集中により、中止もしくは縮小できる業務を洗い出し、
それで捻出した時間を新しい業務につぎ込もうとしているが、
どうしても簡単にはいかない面がある。
◾️電力業界・60代
自社内の経営や事業部門からのニーズに応えながら会議や報告のための資料作りに忙殺されている。
また親会社からの要求事項(資料作成を要するもの)も多く、同様に時間を取られている。
これらの多くが同時期に重なることが多い。ピークに対応した体制を持つこともできず、毎年同じような状態が繰り返されている。
メンバーは結果的に目の前の業務をこなすことに追われて、じっくりと分析したり、先々を見据えた検討に時間を割けていない。
「経営企画」らしい仕事ができていないとの思いから、仕事に対する満足感も低くなっていると感じる。

【ご参考資料】

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